新型コロナ関連記事が激減
朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し（小見出し含む）を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「9月版」をお届けします。
憲政史上最長の首相在職期間を務めた安倍晋三氏の辞任を受けて、次期自民党総裁は誰になるのか、注目が集まりました。
9月1日の朝日新聞朝刊一面は「主要派閥 菅氏支持の動き」と報じ、安倍政権において官房長官を務めた菅義偉氏が最有力であることを伝えています。
2月以降、朝日新聞の一面でもっとも多く使われた語句は毎月新型コロナウイルス関連の語句（5月以外すべて「コロナ」。5月のみ「解除」）でしたが、9月に至って初めて「菅」がトップに躍り出ます（23回）。
トップ10を見てみても、新型コロナウイルス関連の語句は2位の「コロナ」のみで、ほかは総裁選挙関連語句（「総裁選」「首相」「自民」「派閥」）やアメリカの大統領選挙関連語句（「米」「トランプ」）となっています。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いたわけではなく、7月下旬に初めて全国の1日あたりの感染者数が1000人を超えると増加の一途をたどり、8月31日には1300人、9月9日には1412人、9月19日には1503人と、わずか2カ月で1.5倍に増えています（出典：NHK「特設サイト 新型コロナウイルス」）。
決して減ることはなく右肩上がりで増えているのですが、増加のスピードが一定で緩やかだったこともあり、特筆すべきニュースとして報道されにくくなった時期と言えるのかもしれません。
朝日新聞の一面に掲載された記事の内容分類を見てもその傾向は顕著に現れています。
4月には129記事で一面に掲載された全記事の65.8%を占めた新型コロナウイルス関連記事も9月には26本に減少し、占有率14.6%まで下がっています。
順位も1月を除いて常に1位でしたが3位に後退（1月は中東関連記事がトップ）、代わりに「総裁選」「経済」関連記事がともに29記事（16.3%）でトップとなっています。
総裁選は波乱なし
安倍晋三氏の首相辞任を受けて始まった自民党の総裁選挙。9月14日に投開票が行われることが決まります（9月2日夕刊「自民党総裁選 14日投開票を決定」）。
9月2日に正式に総裁選に名乗りを上げた菅義偉氏は、「安倍氏の路線を継承する」と宣言。着実に党内の支持を集めます。
石破茂氏、岸田文雄氏も立候補し、3者で総裁の椅子を争いますが、9月14日に行われた党大会に代わる両院議員総会において菅氏が勝利。
9月16日、衆参両議院は午後に開かれた本会議で総理大臣指名選挙を行い、菅氏を第99代内閣総理大臣に指名しました。
この指名選挙では、自民、公明両党などが衆院で314人、参院で142人が菅氏に投票した一方で、野党側は立憲民主、国民民主、共産、社民各党などが立憲民主党の枝野幸男代表に投じています。
前任の安倍氏が2012年12月26日に就任して以来、約7年8カ月ぶりとなった首相交代劇となりました。
ドコモ口座事件が話題に
9月9日、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使った預金の不正な引き出しが明らかとなりました。
第三者によってドコモ口座と銀行口座が勝手に連携され、数十万円が引き出されたこの事件では、9月15日までに約2676万円の被害が確認されています。
不正に現金が引き出されるだけでも問題であるにも関わらず、この不正引き出しの被害はドコモ利用者やドコモ口座利用者以外にも発生しており、ドコモ口座と提携している銀行口座を利用している場合、誰しも被害に遭う可能性があることが後日判明。騒然となりました。
朝日新聞の一面でも9月中に6記事が掲載されており、事件の影響の大きさが分かります。
■2020年9月の主な朝日新聞の一面見出し
9月3日 「菅氏 安倍路線を継承 総裁選立候補へ 会見」
9月9日 「菅氏支持 議員の8割」
9月9日 「ドコモ口座悪用 預金被害 地銀など17行 連携中断」
9月12日 「演劇 映画館 満席容認 イベント開催 制限緩和了承 分科会」
9月15日 「自民総裁に菅氏」
9月19日 「ジャパンライフ元会長逮捕 オーナー商法詐欺容疑」
9月23日 「全世界から入国 来月再開 観光客除き 1日1000人程度」
9月26日 「GoTo来月拡大 イート開始 トラベル東京追加」
9月30日 「NTT ドコモを完全子会社化 携帯料金下げ対応へ」
