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日本の政党にはどんな党があるのか・その政策は?疑問を簡単解説

投稿日2022.10.29
最終更新日2025.01.29

政党とは、政治的な理想を達成するために結成された団体のことです。
本記事をご覧の方の中には「選挙に行こう」と思っている方がいるかもしれません。

選挙の際一番分かりやすい判断基準の一つは、それぞれの政党がどのような政策を掲げているかです。
しかし、それぞれの政党についてよく知らないということもあるでしょう。

そこで今回は

  • そもそも政党とは何か?
  • 日本の政党にはどのような党があり、どんな政策を掲げているのか

についてご紹介していきたいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、政党とは

政党とは

政党とは、政治の理念や政策が一致している人間が、その主義・主張を実現する為に集まり活動する政治団体の中において、一定の条件を満たした規模のものをいいます。

また現在の日本のように、政党を中心として政治家が活動し、政党を基軸として政治を運営していく仕組みを「政党政治」といいます。

国会の議席の多数を占めた政党の党首は、内閣総理大臣に指名され組閣します。
このように組閣したり、政権を担当する政党のことを「与党」、政権に加わらない政党のことを「野党」と呼びます。

(1)政党であるための条件

国会において「政党」と認められるためには、公職選挙法によって、以下2つの条件のどちらかを満たしていなければなりません。

  • 国会議員(衆議院議員または参議院議員)が5人以上所属している
  • 直近の国政選挙(衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙)で全体の2パーセント以上の得票がある

この条件を満たしていないものは「政党」とは認められず、「政治団体」となります。
政党として認められると、国から政党交付金が貰え、団体献金を受け取ることができ、選挙期間中は比例区での候補者擁立がしやすかったり、選挙カーやビラの枚数などでも有利になります。

(2)政党助成金

政党や政治家が、国民の為に政治活動をするに当たっては様々なお金がかかります。
例えば事務所を構える家賃や秘書を雇う人件費、交通費などです。

そのため昔から政治家のお金にまつわる汚職事件(リクルート事件など)が絶えないわけですが、1994年に、国から政党に活動資金を渡せば汚職事件も無くなるだろう、との考えで成立したのが政党助成法です。

政党助成法は、国民一人当たり250円の公費(政党交付金)が、国会議員の人数や選挙での得票率に比例して各政党に分配される制度です。
ちなみに2024年の政党交付金の合計額は約315億円でした。

一方、政党助成法の成立後もそれだけで資金を賄うことはできず、各政党や政治家は、

  • 企業や団体からの献金
  • 議員個人の後援会による政治資金パーティ

などによる資金調達を継続しています。

2、日本の政党

次に、いまの日本の政党について見ていきます。
先述の公職選挙法による基準で、現在(2024年10月時点)政党として認められているものと、その主な主義主張は以下のようになります。

自民党 経済政策: 経済成長と分配の好循環を目指し、企業の賃上げを促進するための税制優遇措置を提案しています。また、デジタル化の推進や科学技術への投資を強調しています。 

安全保障: 防衛費の増額や憲法改正を通じて、自衛隊の明記や緊急事態条項の創設を主張しています。

立憲民主党 社会保障: 消費税率の一時的な引き下げや、低所得者への現金給付を提案し、家計支援を重視しています。また、医療・介護・年金制度の充実を図るとしています。 

人権問題: 夫婦別姓の選択制導入やLGBTQの権利保障、同性婚の合法化を推進しています。

国民民主党 減税: 所得税や消費税の減税を通じて、国民の可処分所得を増やすことを目指しています。

生活費の引き下げ: 電気代やガソリン代の引き下げなど、生活費の負担軽減に取り組んでいます。

公明党 公教育の再生: 子どもの幸せを最優先とし、公教育の質の向上や子育て支援の充実を図っています。
日本維新の会 社会保障: 月額6万円のベーシックインカム導入や、社会保険制度の改革を提案しています。また、教育の無償化を主張しています。 

行政改革: 規制緩和や地方分権の推進、国会議員数の削減と報酬の削減を提案しています。

日本共産党 経済政策: 中所得層への10万円の現金給付や、最低賃金を時給1,500円に引き上げることを提案しています。また、消費税率を5%に引き下げることを主張しています。

環境政策: 2030年度までに温室効果ガスの50%から60%削減を目指し、再生可能エネルギーの推進を強調しています。

社会民主党 労働政策: 労働者の権利保護や、最低賃金の引き上げを主張しています。また、非正規雇用の正規化を推進しています。 

平和主義: 憲法9条の堅持や、軍備拡大に反対する立場を取っています。

参政党 政治改革: 新たな政治参加の形を提案し、国民の声を直接政治に反映させる仕組み作りを目指しています。 

教育政策: 教育改革や子育て支援の充実を掲げています。

れいわ新選組 社会保障: 障害者支援の強化や、ベーシックインカムの導入を主張しています。また、消費税の廃止を提案しています。 

経済政策: 積極的な財政出動による景気刺激策を重視しています。

(1)自民党

国会議員数などで日本最大の政党であり、政権与党でもあるのが自民党です。
具体的な国会議員数は、衆議院(全465議席中)で196議席(会派:自由民主党・無所属の会)、参議院(全245議席中)で113議席(会派:自由民主党)を占めます。

自民党は1955年の結党以来、1993年の細川連立政権発足による下野(与党が政権を失い、野党になること)、2009年の民主党による政権交代の一時期を除けば、約60年以上の長きにわたって一貫して戦後日本の政権運営を担ってきました。

当時(1955年)の社会党との2大政党制(2つの主要な政党が議席のほとんどを占めている状態)がいわゆる「55年体制」とよばれ、日米安保条約・自衛隊を認める自民党が保守、反対する社会党がリベラルと呼ばれるようになりました。

自民党は党是(目的)として、憲法改正を唱え続けています。
この憲法改正の重要なポイントは9条の改正です。
憲法9条を改正しようとする背景には日本の自主独立を実現する為に、自衛隊を合憲であると明記したいという狙いがあります。

また一部の利益だけでなく、国家全体の為の政治を担う「国民政党」を表明し、

  • 経済成長(企業の収益をあげて消費者に消費を促す)
  • 社会福祉の充実(病気や怪我によって極端な貧困に陥ることを防止する)
  • 教育改革(教育費の負担を下げる)

などの政策を掲げています。

(2)立憲民主党

2017年10月の第48回衆議院総選挙の際に、当時の民進党が二つに分裂してできた政党の一つです。
当時の民進党が、小池百合子東京都知事率いる希望の党との合流を表明した際に、政策路線の不一致などから反対した枝野幸男代表をはじめとした議員達が作ったのが立憲民主党です。

国会議員数は、衆議院議員が148名、参議院議員が42名(会派:立憲民主・社民・無所属)の、合計190名となっています。
政策としては党名の通り、立憲主義(憲法に基づいて政治を行う)を大切にするということを表明していますが、改憲に反対というわけではなく議論はするという一方、安倍政権のもとでの改憲には反対、というスタンスをとっています。

政策・指針としては

  • 憲法に自衛隊を明記することは認めない
  • 最低賃金を1500円以上に引き上げ
  • 政治資金の透明化

などを掲げています。

(3)国民民主党

2017年の衆院選の際、民進党から分裂したもう一つの政党です。旧・国民民主党が民進党と希望の党の一部メンバーの合流により結成されました。その後、2020年9月に一部メンバーが立憲民主党と合流し、新たな立憲民主党を結成しましたが、玉木氏ら一部の議員はこれに参加せず、新・国民民主党を設立しました。

国会議員数は、衆議院議員28名(会派:国民民主党・無所属クラブ)、参議院議員12名(会派:国民民主党・新緑風会)の合計40名となっています。

国民民主党は、穏健保守からリベラルまでを包摂する「国民が主役の改革中道政党」を目指し、「自由」「共生」「未来への責任」を基本理念として掲げています。

政策としては

  • 「令和の所得倍増計画」の実現
  • 社会保険料負担の軽減
  • 全世代型社会保障制度の構築

などを掲げています。

(4)公明党

公明党は自民党が下野していた民主党政権時代を除き、1999年から一貫して自民党と共に連立政権を担ってきました。
公明党所属の国会議員は、衆議院議員が24名、参議院議員が27名の、合計51名です。

公明党の政策としては、

  • 教育負担の軽減などの社会福祉の充実
  • 「平和の党」を標榜とする人間・人類の幸福追求を目指した施策(防災や減災、諸外国との平和な関係の構築を主要課題にすること)

などが挙げられます。

公明党は1964年に結党された歴史ある政党であり、地方議会にまで広く組織を持つ政党です。

(5)日本維新の会

2010年に当時の大阪府知事だった橋下徹氏を中心に結成された、大阪都構想を掲げる「大阪維新の会」がもとで、地方政党として活動していましたが、2012年の衆議院選挙で国政進出を果たします。

その後数回名前を変えたのち2016年に「日本維新の会」となりました。
大阪や兵庫などの関西圏では強い支持を得ている地域があるものの、全国的な広がりは課題となっています。

国会議員数は、衆議院議員が38名、参議院議員が18名の、合計56名です。

日本維新の会は、

  • 道州制の実現
  • 大学までの教育無償化
  • 大阪都構想

など特徴ある政策を掲げています。

(6)日本共産党

日本共産党は、1922年の設立(戦前は政府から非合法とされていた)以来、長い歴史をもつ政党です。
国会議員数は、衆議院で8名、参議院で11名の合計19名となっています。

共産党は、自民党と真っ向から対立する政党です。
政策・指針には

  • 憲法改正や日米安保体制には一貫して反対
  • 安倍内閣の発足以降は特に、安保法制や、沖縄辺野古基地移設問題などで強く反対
  • 原発を廃止し、自然エネルギーを利用する

などが挙げられます。日本共産党も、その長い歴史の中で地方にまで広がる組織を持っている政党です。

(7)社会民主党

前身の日本社会党から1996年に改称して発足したのが社民党です。
かつて55年体制では自民党と2大政党制の一翼を担った政党ですが、現在の国会議員数は衆議院議員が1名、参議院議員が1名の、合計2名の小勢力となっています。

政策や指針としては

  • 自衛隊縮小
  • 消費税の引き上げに反対
  • 憲法9条の改正には反対

など、社会民主党も自民党と対立する方向性の政党になります。

(8)参政党

2020年4月に設立された日本の政治団体で、「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」という理念のもと、既存の政党政治に危機感を抱いた有志が集まり結成されました。

現在の国会議員数は衆議院議員が3名、参議院議員が1名の、合計4名です。

政策としては、

  • 国や地域、伝統を大切に思える自尊史観の教育
  • 化学的な物質に依存しない食と医療の実現
  • 外国人参政権の制限

などを主張しています。

(9)れいわ新選組

代表の山本太郎氏が2019年4月に設立した政党です。
2019年7月の参院選において、得票率2%を上回り政党要件を満たしました。

現在の国会議員数は衆議院議員が9名、参議院議員が5名の、合計14名です。

政策としては、

  • 消費税の廃止
  • 最低賃金の引き上げ
  • 原発の即時廃止

などを主張しています。

(10)日本保守党

日本保守党は、2023年に作家の百田尚樹氏を中心に結成された日本の政治団体です。2024年の衆議院選挙において、比例代表で得票率2.1%を獲得し、公職選挙法や政党助成法で定める政党要件を満たしました。

現在の国会議員数は衆議院議員が3名、参議院議員が0名の、合計3名です

「日本を豊かに、強く。」をスローガンに掲げ、

  • 憲法改正
  • 移民政策の見直し
  • LGBT関連法の見直し

などを主張しています。

日本の政党に関するFAQ

Q1.政党とは?

政治の理念や政策が一致している人間が、その主義・主張を実現する為に集まり活動する政治団体の中において、一定の条件を満たした規模のものを指します。

Q2.政党であるための条件はある?

はい、あります。
以下の2つの条件のいずれかを満たしている必要があります。

  • 国会議員が5人以上所属している。
  • 直近の国政選挙で全体の2パーセント以上の得票がある。

この条件を満たしていないものは「政党」とは認められず、「政治団体」となります。

Q3.政党や政治家はどのようにして政治資金を集めているのか?

政党助成金や企業や団体からの献金、議員個人の後援会による政治資金パーティによって、政治資金を調達して、日々の政治活動に充てています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。政党の大まかな方向性や政策を知った上でニュースや街頭演説などに耳を傾けてみると、以前よりもその議員や政党が何を行おうとしているかがよくわかると思われます。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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