政権交代とは、政権を握る政党が変わることです。
2021年1月のアメリカでは、共和党から民主党へと政権交代が起きました。
今回の記事では、
- 政権交代の概要
- 政権交代の背景
- 政権交代のメリット・デメリット
- 過去の政権交代事例
についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、政権交代とは
政権交代とは、政権をもつ政党が変わることです。
日本では、「議院内閣制」を基礎としてます。
衆議院議員選挙で、多くの議席を獲得した政党が「与党」として政権を獲得し、政治運営を主導していきます。
政権交代が起きれば、
- 政治の運営方針
- 外交政策
などが大きく変わることも、珍しくはありません。
まずは
- 政党の概要
- 政権交代するタイミング
についてみていきましょう。
(1)政党について
政党とは、同じ政治的な考えをもった人々によって組織される政治団体です。
多党制である日本には
- 自由民主党
- 立憲民主党
- 国民民主党
- 公明党
- 日本共産党
- 日本維新の会
- 希望の党
- 社会民主党
など様々な政党が存在しています。
特に自民党の歴史は古く、1955年に結成されています。
2020年までの65年間のうち、野党となったのはわずか2回です。
約56年間に渡り自民党が政権を担っており、日本政策の大部分は自民党が動かしていることになります。
2021年6月時点での自民党の議席数は、衆議院が277議席、参議院が126議席です。
参考:会派名及び会派別所属議員数|衆議院
参考:会派別所属議員数一覧|参議院
(2)政権交代のタイミング
政権が交代となるタイミングは、
- 任期の満了時
- 議会の解散
によって、衆議院選挙が行われたときです。
ちなみに政権交代が実現したのは、戦後26回の衆議院選挙のうち
- 第1次吉田内閣(自由党)から片山内閣(社会党)
- 宮沢内閣(自民党)から細川内閣(日本新党)
- 麻生内閣(自民党)から鳩山内閣(民主党)
- 野田内閣(民主党)から第二次安倍内閣(自民党)
の4回のみです。
2、政権交代が可能となった背景
政権交代の背景には、1994年に細川内閣下で導入した「小選挙区比例代表並立制」が大きく関係しています。
従来の衆議院の選挙制度であった「中選挙区制」は、1つの選挙区から最大5人の候補者が当選するというものでした。
中選挙区制では、自民党のような、大きな政党からは複数の候補者が出るため、同じ党内での票の奪い合いが発生しました。
この同じ政策を掲げる同党内で当選するために、有権者へのサービス合戦が繰り広げられ、政治腐敗といった問題へとつながってしまいました。
一方、野党は共倒れを恐れ、ほぼ1つの選挙区に1人の候補者しか出ませんでした。
これにより、たとえ全員当選しても、政権交代につながる見込みはほぼ無かったのです。
このような状況を踏まえ、
- 同じ政党同士で争わない
- 野党と与党が同規模の候補者を立てられる
といった2つの条件を満たす、選挙制度が求められました。
それが、現在の「小選挙区比例代表並立制」です。
「小選挙区制」では、各選挙区からは原則1人しか当選しません。
選挙区の狭い「小選挙区制」により、同士討ちを防ぎ、有権者に対して、より政策や主張を訴えやすくなりました。
「比例代表制」では、各党の得票率に応じて、議席が配分されるため、小政党も不利になりにくいという利点があります。
こうして2つの制度の利点を活かすことで、政権交代が可能な環境が生まれたのです。
3、政権交代のメリット・デメリット
政権交代が起こった場合、具体的にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ここからは、その両面についてみていきましょう。
(1)政権交代のメリット
メリットには
- 前政権の政策や組織の見直す機会になる
- 国民の政治への関心度が高まる
などの点があげられます。
政権交代によって、新しい政権は、政策の洗い直しのきっかけを得るでしょう。
自民党以外の政党が
- 予算額の妥当性
- 政策目的の適切さ
を改めて判断することは、政権交代の大きなメリットといえるかもしれません。
(2)政権交代のデメリット
デメリットには
- 政治方針の転換で混乱を招く
- 外交で他国からの信頼を損なうリスクがある
- 経済や株価が不安定になる
などの点があげられます。
政権交代によって、国の方針が変われば、必要な予算や労力も大きく変わります。
経済面で大きな影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
実際に、2012年12月の自民党への政権交代時には、強い期待感から株価が上昇しました。
また、一時的な政権交代は、世界からの信用度にも影響します。
政権交代によって国の方針や態度が変われば、諸外国との関係性も変化することが考えられます。
一方で、長期政権は、政権を維持する力や国民からの大きな信任があるとみなされるため、国際社会からの信用度も高くなる傾向にあります。
4、過去の政権交代事例
戦後の日本では、多くの期間で政権を握っていたのは自民党でした。
ここでは、支配政権の交代という意味での政権交代である、
- 1993年に起こった、宮沢内閣(自民党)から細川内閣(連立政権)
- 2009年に起こった、麻生内閣(自民党)から鳩山内閣(民主党)
についてご紹介します。
(1)宮沢内閣(自民党)から細川内閣(連立政権)への交代
1993年に、宮沢内閣(自民党)から細川内閣(連立政権)へと政権交代が起きました。
この政権交代のきっかけには、
- リクルート事件
- 東京佐川急便事件
など、政治賄賂に関する事件が発覚したことが挙げられます。
リクルート事件とは、大手リクルート社が、自民党などの幹部議員に、未公開株のばらまきや献金をした事件です。
東京佐川急便事件とは、東京佐川急便の元社長が、自民党副総裁の金丸信氏に、5億円もの献金をした事件です。
どちらも自民党幹部への賄賂に関する事件でした。
この事件により、国民の信頼を失った自民党は、1993年6月に内閣不信任決議案が出され、衆議院は解散。
総選挙では、
- 社会党
- 新生党
- 公明党
- 日本新党
- 民社党
などからなる、民主改革連合8党派によって、非自民連立の細川政権が誕生し、政権交代を実現させました。
しかし、1年足らずで金銭スキャンダルなどが発覚し、細川首相は辞任します。
その後、非自民連立内閣の首相に羽田氏が選出。
しかし、社会党の離脱をきっかけに、内閣は約2ヶ月で総辞職します。
そして、
- 自民党
- 社会党
- さきがけ党
による連立政権が発足し、再び政権が自民党へと移ったのです。
(2)麻生内閣(自民党)から鳩山内閣(民主党)への交代
2009年8月末の衆議院議員選挙で、「官僚主導から政治主導へ」を掲げた民主党が、自民党を打破しました。
民主党は308議席という圧倒的な勝利を収め、政権交代が実現したのです。
しかし、3年余りで民主党内の対立が深まり、首相が2回も代わるなど、政権の不安定さが浮き彫りになりました。
鳩山内閣では、
- 子ども手当
- 高校無償化
などを盛り込んだ結果、一般会計総額が90兆円を突破。
約44兆円の赤字国債を発行しました。
さらに、米軍普天間飛行場の移設問題などもあり、2010年6月に辞任します。
その後は菅内閣、野田内閣を経ます。
そして、野田内閣の任期満了直前に行った解散総選挙で、政権は再び自民党へ移りました。
政権交代に関するQ&A
Q1.政権交代とは?
政権交代とは、政権をもつ政党が変わることです。
日本では、「議院内閣制」を基礎としてます。
衆議院議員選挙で、多くの議席を獲得した政党が「与党」として政権を獲得し、政治運営を主導していきます。
Q2.政権交代のタイミングは?
政権が交代となるタイミングは、
- 任期の満了時
- 議会の解散
によって、衆議院選挙が行われたときです。
Q3.政権交代のメリットは?
メリットには
- 前政権の政策や組織の見直す機会になる
- 国民の政治への関心度が高まる
などの点があげられます。
まとめ
今回は、政権交代について解説しました。
本記事が政権交代を理解する上での助けになれば幸いです。