生活に浸透し始めた新型コロナとの「暮らし」
朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「10月版」をお届けします。
8月以来、2カ月ぶりに「コロナ」が朝日新聞の一面の見出しでもっとも多く使われた語句となりましたが、使われ方に変化が見られます。
かつては感染者数の更新や(例:3月4日夕刊「新型コロナ 国内感染者1000人 超す」)、政府や自治体の対応(例:3月31日朝刊「夜の繁華街出入り自粛を 新型コロナ」)に使われていましたが、10月に入ると新型コロナと共生する社会の姿を紹介する記事が増えていきます。
・「陰謀論 コロナ下で支持広がる」(10月16日朝刊)
・「19歳 ひとり親 ご飯ないと検索 コロナ禍 復職できず」(10月18日朝刊)
・「コロナ下の戸別訪問」(10月21日朝刊)
・「箱型オフィスあちこちに コロナ禍での本業不振をカバー」(10月21日夕刊)
・「キャンピングカー コロナ禍でも加速」(10月23日夕刊)
4月には65.8%にまで達した「新型コロナウイルス」関連記事の見出し数も、10月の紙面では12.6%まで減少。新型コロナウイルスが社会にとって珍しいものではなく、常に隣りにあり続ける日常へと変化していった時期と言えるのかもしれません。
かねてから保守系の国会議員に対して厳しい論調で臨む朝日新聞らしく、新型コロナウイルスに変わって熱心に取り上げたのは、「学術会議問題」でした。
一面の見出しに使われた語句トップ10を見ても、「会議」(22回)、「学術」(17回)、「任命」(8回)、「除外」(7回)と4つがランクイン。
数多くの記事が掲載されたことが分かります。
小見出しも含む見出しが立った回数も21回となり、全体の10.6%を占めています。
トランプ氏、新型コロナ感染
10月2日未明、トランプ氏はTwitterで「自身と妻のメラニア氏が新型コロナウイルスの検査で陽性になった」と公表しました。
アメリカでは信心深いキリスト教信者など多くの人が、マスク着用を拒否。トランプ氏もその一人でした。
トランプ氏はその日のうちにワシントンDC郊外の陸軍病院に入院。ホワイトハウス内で人工呼吸器を使用したことも明らかになります。
5日にスピード退院したトランプ氏でしたが、12日には数千人が集まる選挙集会に「マスクなし」で復帰しています。
大統領選挙の投票日のわずか1カ月前にコロナ禍と闘う大統領をアピールし、ウイルスに罹患しながらも復帰した力強い大統領の姿を演出したことによって、大統領選でも有利に働くのではと分析する識者もいましたが、選挙の結果は違った結末を迎えることになりました。
一方、日本国内の新型コロナウイルスの感染者数は増加の一途をたどります。
とはいえ、日々の増加数は数人から十数人で推移しているため、社会全体で大きな危機感を抱くには至らない状況でもありました。
10月1日に1583人だった1日あたりの新規感染者数(全国)は、10月15日に1650人に達し、10月23日に1710人、10月31日に1770人と推移しています。
東証トラブルで終日取引停止
10月1日には、東京証券取引所での全銘柄の株式売買が終日停止するトラブルが起こりました。
売買システムで株価など相場情報の配信に障害が発生したことで、午前9時からの取引が全停止。
同じシステムを使用していたため、名古屋・札幌・福岡の証券取引所も同様に売買が終日停止に追い込まれ、大混乱となりました。
システム障害によって、終日売買がストップしたのはこれが初めてのことでした(10月2日朝刊「東証、終日取引停止 機器故障でシステム障害 きょうの売買『通常通り』)。
■2020年10月の主な朝日新聞の一面見出し
10月1日 「座間事件の被告 9人殺害認める」
10月2日 「東証、終日取引停止 機器故障でシステム障害 きょうの売買『通常通り』」
10月3日 「6人除外 首相 法に基づく 推薦通り 任命義務なし」
10月3日 「トランプ氏 コロナ陽性 軽い症状」
10月8日 「出張帰国 2週間待機を免除 中韓など入国拒否解除」
10月9日 「核ごみ処分場調査応募表明 北海道寿都町 きょう神恵内村も 2年 で最大20億円交付」
10月14日 「最高裁『不合理でない』 非正社員の退職金・賞与なし 一部命じた高裁判決、変更」
10月14日 「月5000円切る大容量、ソフトバンク検討 携帯値下げ競争へ」
10月23日 「派閥会長を石破氏辞任」
10月27日 「携帯値下げへ 総務相が競争促進策」
10月30日 「国内感染10万人超 初確認から9カ月」
10月31日 「GoToトラベル延長へ 雇用助成金特例も 3次補正方針」