中国:首都北京でロックダウンを実施
2021年1月20日、中国当局は首都である北京で新型コロナウイルスの感染者が7人確認されたと発表。160万人を対象にロックダウンを実施しました。
対象となる160万人は南部大興区の住民。感染者7人のうち6人が、この地区で確認されたことを受けての措置と考えられます。
このロックダウンによって、160万人の大興区民は、当局から特別許可を受け、3日以内の「コロナ検査陰性証明」を提示しない限り、市外へ出ることが禁止されるとのことです。
ほかにも、大興区人民政府は、50人以上の集会禁止、結婚式の延期と葬儀の簡略化、区内すべての幼稚園と小学校、初級中学を自宅学習にするよう命じています。
イギリス:3度目のロックダウン
2021年1月4日、ジョンソン首相は、イングランドで1月5日から2月中旬まで、新たなロックダウンを実施すると発表しました。
イングランド全土で学校閉鎖も含む大規模なロックダウンが行われたのはこれが3度目です。
ロックダウンによって、国民は原則外出禁止が徹底されます。
例外的に外出が許可されるのは、
- 生活に不可欠な買い物をする場合
- リモートに絶対に切り替えられない仕事を行う場合
- コロナ検査を受ける、運動が必須など医療上の要請があった場合
- 家庭内暴力からの脱出など、法律で許可される理由がある場合
とされました。
ほかにも、
- 葬儀参列者は30人まで
- 結婚式の参加者は6人まで
- 飲食店は持ち帰り、宅配、ドライブスルーのみ
など、細かい制限が課せられています。
ロックダウンには罰則規定があり、違反した場合は200〜6400ポンド(日本円で約2万8000円〜約89万5000円)が課せられます。
ドイツ:布マスク禁止施策を打ち出す
ドイツは感染第2波以降、2020年から2021年にかけて段階的にロックダウンを強化していきました。
2020年11月2日からは1ヵ月間、部分的なロックダウンを実施し、
- 私用および不要不急の旅行の自粛
- 集会は2家族、10人以下に制限
- レストラン、バー、ジム、プール、映画館、劇場を閉鎖
- プロスポーツは無観客開催
- 学校や託児所は運営継続(12月半ばから閉鎖)
などの施策が取られました。
しかし、年末にかけて新規感染者数が1万人で高止まり、1日の死者数が1000人を超える日も出るなど感染拡大が収まらない事態に、ロックダウンを強化します。
2021年1月5日、メルケル首相は人口10万人あたりの7日間累積の新規感染者数が200人を超える地域に対して、居住地から15キロまでの移動制限を課しました。これは、ドイツ全土の1/6の地域が対象となります。
さらに1月19日には、それまでの施策に加えて、マスク着用の義務化を追加したロックダウン強化策を発表。メルケル首相は「今行動しなければならない」と国民に訴えました。
それまでドイツ国内では、水洗いのできる布マスクが広く普及していたのですが、この宣言により、ドイツでは公共の場においては、米国労働安全衛生研究所の規格「N95」に相当する欧州の規格「FFP2」や、OPマスクと呼ばれる医療用マスクの着用が義務づけられています。
カリフォルニア州:2度目のロックダウンも住民は反発
1日平均22万人の新規感染者数が報告されているアメリカでは、全土を対象にしたロックダウンは行われていません。各州が独自の対策で感染対策を行っているのが現状です。
アメリカ国内でいち早くロックダウンを行ったのはカリフォルニア州。2020年3月にロックダウンを行い、ステイホームを訴えました。
この際、生活必需品を扱うスーパーマーケットやドラッグストアなど、生活に必要不可欠な店舗以外、すべての事業活動を停止する強力な施策を打ち出しました。
住民が一丸となってロックダウンに対処したものの、12月に入ってからも感染拡大は収まらず、カリフォルニア州ロサンゼルスは12月7日から2度目のロックダウンに踏み切ります。
しかし、ロックダウンによる住民のストレスや施策に対する反発に抗しきれなかったのか、12月の宣言の際には一部緩和された形で実行されました。
- 小売業は入店可能な最大客数の20%以下で営業可能
- スキー場やゴルフ場も営業可能
- 映画館、バー、理美容室、ネイルサロンなどは営業停止
- 屋外はもちろん、私有地の室内においても同居する家族以外で集まることは禁止
- 飲食店はテイクアウトとデリバリーのみ
それでもカリフォルニア州の感染者数の増加には歯止めがかからず、年が明けた2021年1月3日には45352人の新規感染者数が報告されるなど、事態は深刻な状況に陥っています。
インド:大規模封鎖を行うもデメリットも
2020年9月には1日あたりの新規感染者数が10万人に迫る事態に陥っていたインドですが、2021年1月現在は1日平均14112人と、減少傾向にあります。
インドでは2020年3月25日からロックダウンを始め、6月からは1月ごとに4回に分けて活動制限の解除が進められました。
行われたロックダウンが宣言されたのは、4時間前の3月24日20時。
モディ首相は国民向けのテレビ演説で、「感染を抑えるには21日間が極めて重要」と語りかけ、「外出という行為を忘れてほしい。全国的なロックダウンという決定は、自宅の外に境界線を引くということだ」と訴えました。
インド全土で外出を徹底的に封じる強力なロックダウン施策はデメリットも生みました。
低賃金で働く現場労働者が国民の9割を占めるといわれるインドで経済活動が停止したことによって、多くの貧困層がセーフティネットからこぼれ落ち、命の危険にさらされたとの指摘が一部でなされています。
都市部への出稼ぎ労働者は生活の糧を奪われ、家族の暮らす農村へ帰ろうと思っても交通機関が停止してしまっているため、数百キロ、場合によっては1000キロを超える距離を徒歩や自転車で移動する大量の人々も出たと言われています。