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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー若者の将来不安を払拭し、物心ともに豊かな日本を。 立憲民主党 高松さとし議員 インタビュー

若者の将来不安を払拭し、物心ともに豊かな日本を。 立憲民主党 高松さとし議員 インタビュー

投稿日2025.1.29
最終更新日2025.01.29

2024年10月27日に第50回衆議院議員選挙が投開票され、99名の新人議員が誕生しました。全政党の中で最多の39人の新人議員が誕生した立憲民主党の中にあって、高松さとし議員は若者の将来不安を払拭し、物心ともに豊かな日本を実現しようと日々活動を続けています。今回のインタビューでは、高松議員が政治家を志したきっかけや2010年代に続いた野党再編を当事者としてどのようにみていたのか、これから注力したい政策についてお伺いしました。

(取材日:2024年1月9日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋 圭史 )

高松さとし議員インタビュー

高松 さとし(たかまつ さとし)議員
1974年東京都練馬区出身。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻都市持続再生学(東大まちづくり大学院)を練馬区議在職中に終了(6期生、級長)。
NTT(日本電信電話株式会社)やNTTコミュニケーションズ株式会社勤務、
ITベンチャー企業役員を経験。
練馬区議会議員(2期)を経て2024年10月の衆議院選挙に出馬、初当選。

就職氷河期世代として感じた社会のあり方への違和感

ー高松議員が政治に関心を持つようになったきっかけを教えてください。

きっかけは大学4年生のときでした。当時は就職氷河期にあたり、私自身も就職活動に苦労しました。学生時代にどれだけ努力をしても社会に認めてもらえない人が周りにたくさんいるような環境に身を置き、そのような社会のあり方に違和感を覚えました。

同じ時期にオウム真理教による地下鉄サリン事件や日本も大きな影響を受けたアジア通貨危機が発生し、時代が大きく変化する時期でもありました。生まれた時代に関係なく、誰もが生きづらさを感じることのない社会を作りたいと思うようになり、政治の道に進むことを意識しました。

とはいえ、身近に政治家がいるわけでもなかったため、政治家までの道のりは遠いように見えました。まずは社会を知ろうと思い、大学卒業後は民間企業に就職しました。就職したNTTは本当によい会社で、仲間にも恵まれ、ずっとそこで働きたいと思っていましたね。

その後は友人とベンチャー企業を立ち上げる機会にも恵まれました。その会社の合併・売却までを経験し、ビジネスの世界で幅広い経験が積めたと感じた頃、「自分が本当にやりたいのは政治だ」と改めて思いました。その中で松下政経塾にめぐりあい、政治家への道を本格的に目指すことになります。

ー自民党の地方議員として政治家としてのキャリアを始められました。

自民党との縁は、33歳で松下政経塾を卒業した後、自民党の議員秘書として経験を積んだことにあり、自民党所属の練馬区議会議員として2期6年勤めました。昭和の時代からあらゆる世代や意見を包摂する国民政党として日本をリードしてきた自民党に所属し活動できたことは私の誇りです。

ただ、自民党は業界団体からの支援に依存したり、地域の有力者が中心となったりする、昔ながらのムラ社会的な側面を持つ政党でもあります。社会が多様化する中で自民党だけでは拾いきれない声があることも感じていました。

その中で小池百合子さんが立ち上げた地域政党・都民ファーストの会に合流することになり、自民党を離れました。活動の場を練馬区政から国政へと変えようとする中で希望の党をめぐる動きや国民民主党の分裂など必ずしもスムーズにいくことばかりではありませんでした。ただ重徳さん(現在の立憲民主党政調会長)をはじめ同世代が国会の場で活躍する姿をみて、いつかは自分も、という思いで、7年間の浪人生活に耐えることができました。

現在、立憲民主党に所属している理由は「生活者」と「当事者」の視点を重視している政党だからです。国会は、社会の縮図を反映する場であるべきです。多様な経歴やバックグラウンドを持つ議員が集まることで、現実を踏まえた理性的な議論ができる場となります。私自身、2歳と5歳の子どもを育て、77歳の母を介護しながら、電車で国会に通っています。このような日常の感覚を政治に反映させることが重要だと考えています。

高松さとし議員インタビュー

今の選挙制度の中で、あくまで二大政党制を目指すべき

ー野党再編や分裂を経験してきた当事者として野党再編の可能性や今後をどのようにみていますか?

今から約30年前に導入された小選挙区制は、その導入によって二大政党制が誕生することが期待されました。民主党が政権を失い野党になり、分裂して以降、自民党の一強状態が続きました。ようやく昨年の総選挙で与党が過半数を割り、緊張感のある国会になってきたと思います。いつでも政権交代の可能性がある政治環境を作り、充実した国会論戦を可能にするために、野党が一つにまとまり二大政党制を目指していくべきだと昔から考えています。

高松さとし議員インタビュー

ー現在は比例代表制の影響か野党が分裂しています。

民主党政権が短命に終わったことも要因の一つでしょう。自民党が抱える地方議員や党員、強固な組織力に比べて、かつての民主党は選挙の時の「風」に頼る部分もあり、組織としての足腰が弱かったように思います。

もちろん現在も野党間で一体的に行動する必要性は認識されていますが、他党との連携よりも、小規模な政党でも党首としての地位を優先する傾向があることも事実です。

野党各党の戦略的な連携を進めなければ、野党勢力は分散し続ける期間が続くと思います。選挙制度の改正か野党の改革か、どちらが優先されるべきかという議論があります。ただ、選挙制度を変更するだけでは十分ではなく、野党自身が組織基盤を強化することも重要です。野党勢力が協力し合い、明確なビジョンを持つことが、将来的な二大政党制の確立への道筋になると考えています。

若者の将来不安を払拭し、物心ともに豊かな日本を

ーこれから高松議員が一人の議員として特に注力したい政策はなんですか?

一人の国会議員として気候変動とそれに伴う食料安全保障を柱に取り組んでいきたいと思っています。記録的な暑さは農業に深刻な影響を与えています。食料安全保障の考え方はようやく政治の世界でも共有され始めましたが、今後ますます重要になる政策課題だと認識しています。

日本の食料自給率が40%を切る中で、新たな食料調達の仕組みを構築しなければ、有事の際に国民の暮らしと命を守ることは不可能です。一次産業は成り手不足・働き手不足に悩まされています。農業や漁業を夢のある産業にするためにはテクノロジーを積極的に活用することも必要です。一次産業を未来につなげる取り組みを進めることが食料の安定供給にもつながってくると思っています。一次産業の再興は一朝一夕で成し遂げられるものではありません。長期的なビジョンを掲げて、粘り強く取り組む政治の覚悟が問われていると感じます。

高松さとし議員インタビュー

ー最後に高松議員がどのような社会を作りたいのかを教えてください。

「今こそ物心ともに豊かな日本を。」これが私が掲げる理念です。「失われた30年」と呼ばれる長期の経済停滞に加えて、社会的な規範が揺らいでいる現象が最近では発生しているように見えます。若者が闇バイトに手を染めることはその象徴ではないでしょうか。

令和の時代に入り、社会の構造そのものが大きく変わっています。戦後の日本は、大企業が中心となる社会構造の中で成長してきました。その時代にあって、大企業勤務によってある程度の所得と生活水準が保障された。ただ令和の時代にはそのようなモデルが失われつつある。そのような「正解」がない時代では、どうしても先行きが不透明になります。

先行きの見えない中で、一度レールを外れると社会復帰が難しいと思い込んでしまえば、「今だけ、金だけ、自分だけ」といった刹那的な考えが広がることもやむを得ません。これは政治の責任でもあります。だからこそ若い世代に将来の希望を感じてもらえる社会づくりを進めることが急務です。
人生には介護や育児、健康問題など予測できない事情がどうしても発生します。どのような状況に置かれても再スタートを切れる社会を作ることこそ若者の将来不安を軽減するカギであり、政治が果たすべき役割もまたそこにあると思っています。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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