「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー自由民主党・山田賢司議員に聞く!GXの可能性と外交安全保障

自由民主党・山田賢司議員に聞く!GXの可能性と外交安全保障

投稿日2026.1.16
最終更新日2026.01.16

山田 賢司 やまだ けんじ 議員

1966年大阪府出身。神戸大学法学部を卒業後、住友銀行入行。
2012年の衆議院議員総選挙に自民党公認で立候補し初当選(5期)。
2018年の第4次安倍内閣で外務大臣政務官、2022年の岸田内閣で外務副大臣を歴任。2024年には自由民主党副幹事長を務め2025年の高市内閣にて経済産業副大臣兼内閣府副大臣に就任。

欧州を中心に脱炭素の取り組みが活発化し、日本でも「GX推進法」が制定されるなど注目が集まる環境分野。一方で貿易摩擦や安全保障を巡る世界情勢は複雑化し、政治の舵取りも難しい局面が続いています。今回のインタビューでは経済産業副大臣として高市政権の成長戦略を支える山田賢司議員に、GXを通じた成長戦略と外交安全保障についてお聞きしました。

(取材日:2025年12月24日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史 )

外交安全保障の対応を間違えると取り返しがつかない

ー山田議員は金融機関に勤められていましたが、もともと政治に関心をお持ちだったのでしょうか。

いえ、私はサラリーマン家庭に生まれ育ち、身内に政治家がいたわけでもなく、自分がなるとは考えてもいませんでした。政治家というのは政治家の一族や秘書、あるいは官僚など、特別な人が就く仕事だと思っていましたので。大学を出て民間企業に就職し、民間は稼いで税金を納めていればいいというくらいの感覚でした。

その頃は仕事中心の生活でしたが、ある時、取引先の社長さんから「仕事ばっかりじゃなくて地域のボランティアをやりませんか」とお誘いをいただき芦屋キワニスクラブという奉仕団体の立ち上げに参加しました。「世界の子どもたちに奉仕する」をモットーに掲げる世界的な組織で、日本にも多数のクラブがあります。2010年には会長に就任するなど、活動には力を入れていましたが、政治家をめざす直接の契機となったのは、まったく別の出来事でした。

2010年9月に尖閣諸島付近で違法操業していた中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりするという「尖閣諸島中国漁船衝突事件」が起こりました。その場で漁船の船長や乗組員を一旦は逮捕しましたが、直後に中国政府の圧力を受けて釈放して帰してしまいました。帰国した船長が誇らしげにピースサインで飛行機を降りる映像を鮮明に覚えていますが、本当に許せないと思いましたね。

ー尖閣諸島中国漁船衝突事件の後、どのような経緯で出馬に至ったのでしょうか。

あの事件でつくづく感じたのは「外交安全保障の対応を間違えると取り返しがつかない」ということです。当時の民主党政権に言っても仕方ないので、自民党に意見を送ろうと思ってホームページを開いたのですが、次の衆議院議員選挙の候補者の公募を行っていました。偶然にも私がボランティア活動を行っていた兵庫県の西宮・芦屋である兵庫7区での公募でした。

これは私に「やれ」と言っているのではないかと運命的なものを感じ、締切り間際でしたが小論文や必要書類を揃えて提出しました。私としてはダメ元で提出したのですが、しばらくして「やってくれないか」というご連絡をいただき、即決しました。自民党本部で当時の谷垣総裁と握手をし、出馬に向けて動き出そうとしたその翌日、東日本大震災が起こりました。

震災によって選挙どころではなくなったのですが、既に会社には退職を伝えていたため、1年半くらいは無職となりました。ただ、その間にもさまざまな活動を通じて地域との交流を深めることができ、2012年12月の選挙で初当選することができました。

ーそこから5期にわたって議員を続けてこられましたが、特に重視してこられた政策は何でしょうか。

私としては「外交安全保障」「経済」「教育」を3本柱に据えて取り組んできました。その中でも特に力を入れているのが、国会議員としての原点でもある外交安全保障です。社会保障や教育も大切ですが、それらを提供できるのは国家の基盤があってこそです。国家が存続して初めて様々な政策が実現できるので、外交安全保障はあらゆる政策の土台として重視しています。

他方で、小選挙区制の下では、地域から選出されている議員は自分しかいないので、自分の関心の高い分野だけでなく、すべての分野をカバーするとともに、地元の課題にも精通しておく必要があります。議員になる前は私も「政治家っていつも何しているんだろう?」という目で見ていましたが、実際になってみて国会議員がものすごく勉強していることを知りました。「メディアが報じる姿と、実際の姿は違う」ということを痛感しましたね。

ー山田議員が考える、政治家に必要な資質は何でしょうか。

政治家は結果がすべてなので、実行する力があるかどうかだと思います。どんなに優れた法案や政策を提案しても、実現しなければ意味がありません。賛同を得られないものを作っても実現しないので、妥協すべきところは妥協して、できるだけ多くの賛同を得られる形にまとめ上げる力が必要なのです。言い換えれば、100点満点だけど実現しない政策より、70点だけど「これで救われる人がいる」という政策を実現することの方が重要なのです。そのための合意形成の能力が政治家にとっては大切だと思います。

世界に必要とされる技術力とルール形成を主導できる国へ

ー経済産業副大臣として山田議員が推進されているGX(グリーン・トランスフォーメーション)の現状について教えてください。

賛否両論あるGXですが、私としては非常に前向きに捉えています。「なぜそんな高コストなことをするのか」とか「脱炭素が何の利益になるのか」といった声はあるものの、世界の主要な流れが「GXに向けて進む」と決まった以上、その枠組みの中でどう国益につなげていくかを考えることが肝要です。ポジティブな目で見れば、さまざまな面で日本にプラスとなる要素が見えてくるはずです。

ーGXに取り組むことは、日本にとってどのような意味がありますか。

大きく2つの側面があります。ひとつはエネルギー安全保障。日本は石油・石炭などの化石燃料の大半を輸入に頼っています。生活に欠かせないエネルギーを海外に依存しているという状況は、やはり問題です。国民の命や暮らしを守るためには海外依存率を下げていくことを考えなければなりません。GXはその鍵を握る取り組みのひとつです。

もうひとつはビジネスチャンスです。日本には高い研究開発力と技術力があります。世界のルールが新しくなる中で、日本の強みを生かすことができれば大きなビジネスチャンスが生まれます。新たな制約や条件をブレイクスルーする過程で技術革新が起こり、日本独自の優れた技術が生まれることで世界から必要とされる国になるのです。

これは巡り巡って日本の安全保障につながるため、この2つは相互にリンクしているのです。「エネルギー安全保障」「経済成長」「脱炭素」は、相互に矛盾するトリレンマのように言われることもありますが、私たちは「トリプルブレイクスルー」と表現しており、同時に解決する道があると考えています。

ー海外に依存し続けることで、具体的にどのようなリスクが生まれるのでしょうか。

まず経済安全保障には「自立性」「不可欠性」「ルールメイキング」という3つの要素があります。国民生活の根幹に関わる物資やシステムを海外に依存していると、自国の判断が他国の圧力によって左右されてしまいます。そうならないために、国内で生産体制を確立するか調達先を分散する、これが「自立性」です。反対に世界が「日本の製品や技術がないと困る」という状況を作り出し、世界にとって日本が不可欠な存在となる、これが「不可欠性」です。

日本が弱いのがルールメイキングです。かつて「技術で勝ってビジネスで負ける」と言われてきました。せっかく高い技術を開発してもルールを変更されて日本の優位性が失われるということがありました。日本が国際的なルールを作る側に立つことが必要です。優れた技術力や高い研究開発力を活かして技術的に先行するだけでなく、ルール形成を主導してグローバルな影響力を持つ、「技術で勝ってビジネスでも勝つ」という状況を目指さなければなりません。

GXは、日本が技術で先行できる分野だと肯定的に捉えています。短期的な採算性の問題などもあると思いますが、ブレイクスルーしなければ海外に負けてしまうので、必要な投資だと捉えて積極的に推進していきたいと考えています。

ーGXを推進する上で国際情勢の動きをどのように見ていますか。

注意しないといけないのは「先進国だけの論理でGXを進めて良いのか」という点です。発展途上国の中には、未だ電気も通っていない地域があります。国民が生きるために電力が必要だという国に対して「火力発電所へのファイナンスは禁止」というルールを押し付けるのは一方的です。

この数年はトランプ政権下のアメリカが脱炭素の枠組みから離脱すると宣言し、ヨーロッパもガソリン車など内燃機関車の販売を禁止するとしていた方針を見直すなど、世界的に大きな変化が起こっています。また、多くの国は原子力をGXの大きな柱として位置づけて推進する方向を打ち出すようになってきていますが、わが国では原子力発電に対して悲観的です。

ー原発への逆風は日本のエネルギー政策にどのような影響を与えていますか。

「原子力発電=悪」という風潮が生まれてしまったことで、原子力学を学ぶ人がいなくなってしまうことを懸念しています。これまでは世界でもトップクラスの研究者や技術者が日本にいたのですが、次世代を担う日本の人材が枯渇し、むしろ日本の優れた技術を継承するのに外国人しかいないという状況になる可能性もあります。核融合(フュージョン)や水素などの次世代技術もありますが、当面のエネルギー安全保障の重要性を考えれば人材育成にもっと力を入れる必要があります。

成長分野を支える人材が育ってこそ自立した国の姿を描ける

ー高市政権は「責任ある積極財政」を掲げていますが、財政と成長投資のバランスについてどのようにお考えですか。

歳出は決して悪ではなく、「ここは伸びる」という将来の日本にとってプラスになる分野には集中して投資すべきだと思っています。もちろん、投資によって経済効果が出るかどうかを精査する必要はありますが、何もしなければ経済力を失っていくだけです。

重要なのは「前年比〇%」のように前例に基づいて決めるのではなく、「世界と戦っていくためにはいくら必要か」という観点で規模を考えることです。昨年の2倍の額であろうと必要であれば、足元で思い切って投資するべきです。半導体が良い例で、1兆~2兆円という規模の資金を投資しています。これは、投資しなければ半導体を海外に依存する国になってしまうからです。

ー山田議員が特に重要視している成長分野は何でしょうか。

先ほど述べた半導体はもちろん、かつて日本が強かった造船分野も重要ですね。四方を海に囲まれている日本が、自分たちで船を製造できないという状況は変えなければなりません。またバイオや創薬も重点分野です。自国で薬を開発する重要性はコロナ禍で露呈したと思います。

このような議論をするときに「造船は国土交通省」「創薬は厚生労働省」といった縦割りの話になりがちなのですが、あくまで「経済安全保障」というトータルな視点で見ることが大切だと考えています。

ー近年ではコンテンツ産業も成長分野として注目されていますね。

そうですね。私は文化芸術は非常に重要だと考えています。日本の文化芸術は海外でも高い評価を受けていますが、日本人自身が日本の文化を過小評価しています。
日本のコンテンツ産業の海外売上高は半導体や鉄鋼の輸出額を超え自動車産業に次ぐ成長分野です。また、経済効果を生むだけでなく、実は外交上も重要な役割を果たしています。母国で日本の漫画を見た人が日本に親近感を持ち、日本語を勉強してくれます。そこから日本に来て就職する人も出てくるでしょう。このような下地があってこそ、良好な外交関係が保たれるのです。そうした観点から、日本のコンテンツ産業の海外展開支援や、文化芸術の担い手であるクリエイター支援に力を入れています。

ー最後に、山田議員がめざす日本の国家ビジョンを教えてください。

「自立した国」になることです。自立というのは「孤立する」という意味ではなく、自分の足でしっかり立って前に進む国になることです。「輸入をするな」と言いたいわけではありません。「輸入できなければ立ち行かなくなる」という状態にしてはいけない、ということです。

そのためにも成長分野への投資をしていくことが必要なのですが、そこで重要なのは教育だと考えています。「これから社会がどう変わって、そこにどのような人材が必要なのか」という観点から産業政策と教育政策を融合させたグランドデザインを描いた上で、それを基に今後の教育の在り方を考える必要があるのではないでしょうか。成長分野を支える人材が育ってこそ、自立した国の姿を描けると信じています。

山田 賢司 議員

やまだ けんじ
山田 賢司
  • 生年月日 1966年4月20日
  • 出身地 大阪府東大阪市
  • 学歴 神戸大学卒業
  • 職歴 住友銀行を経て2012年の衆議院議員総選挙で初当選(5期)。
    2018年の第4次安倍内閣で外務大臣政務官、2022年の岸田内閣で
    外務副大臣を歴任。2024年には自由民主党副幹事長を務め
    2025年の高市内閣にて経済産業副大臣兼内閣府副大臣に就任。
   
この記事の監修者
『政治ドットコム』は、株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。
株式会社PoliPoliは「新しい政治・行政の仕組みをつくりつづけることで世界中の人々の幸せな暮らしに貢献する。」をミッションに、政策をわかりやすく発信し、国民から意見を集め、政策を共創するウェブサイト『PoliPoli』などを運営しています。

・株式会社PoliPoli:https://www.polipoli.work/
・『PoliPoli』:https://polipoli-web.com/
・株式会社PoliPoli 公式X:@polipoli_vote
・政治ドットコム 公式X:@polipoli_seicom

株式会社PoliPoli 政府渉外部門マネージャー 秋圭史
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)