後藤 なみ ごとう なみ 議員
1986年東京都生まれ。共立女子大学文芸学部を卒業後、
明治安田生命、リクルートを経て「希望の塾」入塾。
2017年の都議会議員選挙で初当選(3期)。
現在、党代表代行、党政務調査会長、会派政務調査会長を兼務。
足立区選出、一児の母。
待機児童問題の解消や子ども1人あたり10万円相当の出産支援など、大胆な政策で子育て支援に取り組んできた東京都。2026年以降は、さらに手厚い支援で子育て世帯の負担軽減をめざします。今回のインタビューでは都民ファーストの会の政調会長を務める後藤なみ議員に、政治家になった経緯や初当選からの歩み、3期目の抱負をお聞きしました。
(取材日:2025年11月21日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史 )
介護業界を見て痛感した、現場の実情と制度の乖離
ー民間企業で働かれていた後藤議員が政治家に転身した経緯を教えてください。
リクルート時代に建築不動産業界やIT業界の中小企業を中心とした法人営業を担当していたのですが、「HELPMAN JAPAN」という介護業界の雇用創出を目的としたプロジェクトが立ち上がったので、自ら手を挙げて異動しました。「日本で一番課題の大きい雇用問題にチャレンジしたい」という思いを持っていたからです。
以来1000か所以上の介護現場を訪問し、課題をヒアリングする中で感じたのは「制度が現場の実態と全然マッチしていない」ということでした。モチベーションが高い職員さんが低賃金が理由で辞めてしまったり、「国が悪い」とネガティブな姿勢になってしまう経営者がいたり、さまざまな課題に直面しました。そこで「現場の実情に適した制度に変えるべきでは?」という思いを抱いたのです。
そして、介護業界で自分で起業するか、あるいは公益的なセクターに入るか、リクルートの中で課題解決をめざすか、迷っていたときに小池知事の街頭演説を見たのです。「東京を大きく変える」というお話をされていて、私が抱いていた「介護を大きく変えたい」という思いと重なるものがあり心が大きく動かされました。それがきっかけで小池知事が主催する「希望の塾」に通い始めたのです。
ーその後は実際に小池知事の近くで都政に関わってこられたわけですが、小池さんの印象はいかがですか。
結果に責任を持つ姿勢は、最初に演説を聞いて受けた印象のままです。深夜でも仕事をされていて、圧倒的な仕事量と判断の速さは、傍で見ていても驚くほどです。
一方で、少し意外だったのが、小池知事は役職や年齢などのラベルで人を見ないことです。若手の意見も真剣に聞きますし、幅広くフラットにアイデアを取り入れるので、多くの政策が前に進むのだと思います。
ー1期目と2期目を振り返って、実際に都政に関わってみて感じたことを教えてください。
やはり政治のスピード感をもっと上げていく必要があると思います。近年、民間企業のスピード感や社会の変化は本当に速く激しいので、これまでの政治では追いつけません。その要因に行政ならではの仕組みが理由となっている側面もあります。例えばそのひとつが「年度主義」です。何か政策を進めようとすると、予算化して、それが組まれて実行されるまでに1年かかるわけです。次々と迫ってくる喫緊の課題に対しては、やはり今の制度では対応できない部分もあると思います。
また、制度を使う人の視点に立つと、時に制度が煩雑な部分もあります。特にスタートアップなどの事業者の皆様からは、何かを申請しようとすると、先に提出しないといけないものが多く、事業変化のスピードに合わせると時に煩雑という声はよく聞きます。税金なので仕方ない部分もあるのですが、民間の感覚に合わせてスムーズに進む仕組みができないか、検討の余地はあると思います。
当事者の声を聞き、その裏側にある「空気感」をつかむ

ー政治家として、大切にしている姿勢や考え方はありますか。
「真ん中の空気感をつかむ」ということでしょうか。声の大きい人だけでなく、多くの当事者の話を聞いて、その裏側に隠れている政策課題の本質や空気感を捉えることを大切にしています。例えば、近年の猛暑を巡ってさまざまな課題が明らかとなっていますが、ママパパに話を聞くと「子どもが外に出られなくてずっと動画を見ている」といった悩みが出てきます。そこから、体力や学力の低下などとの関連を調べて、クーラーが完備された体育館なら体を動かせるか?公園にシェードを付けられないか?という感じで行政としての解消手段を考え、最終的に政策づくりにつながっていくのです。
本来、政治は人の暮らしを豊かにしたり幸せにしたりするためにあるものです。だから、最終的な政治家の通信簿は「都民が改善を実感したかどうか」だと思っています。その意味では、既に行われている行政の施策が都民に届いているか、暮らしが変わったと実感できる予算規模となっているか、など様々な角度から検証し、提案することが求められているのではないでしょうか。
ー今は政調会長という立場ですが、先ほど言われたようなことを組織として実行していくために心がけていることはありますか。
今期は新人議員がたくさん入り、沢山の提案が上がってきています。中にはハードルが高いものもありますが、提案が上がってくるということは「取り組みが足りていないと感じている人がいる」ということでもあります。だから、自分の価値観だけで決めず、時には第三者の視点も取り入れて幅広く意見を聞くようにしています。
先陣を切って国全体の課題解決にトライするのも東京の使命

ーこれまで都民ファーストの会として特にコミットできた政策は何でしょうか。
都民が実感できた実績としては、子育て政策だと思います。小池知事の就任以降「都民ファーストの会が子育て政策をがんばってくれて助かっています」という感謝の声は数多く寄せられてきました。9割の人が「子育てするのに良い都市」と答えていたり、出生数が上昇したり、データでも成果が表れています。
この成果の背景には、都政の重要課題を子ども子育てと掲げ、大胆に予算を振り分けてきたことにあります。例えば、18歳までの全ての子育て家庭に月5000円を給付する018サポートでは、年間約1200億円の事業費がかかっていますが、こうした取り組みを進めようとすると、その分、何かを削らないといけないので、大変なことです。実際に東京都では毎年1000億を超える事業見直しで無駄を見直し、こうした事業費をねん出しています。この「実感につながる規模感」と、取り組む内容が「ズレていないこと」が政策実現の秘訣だと考えています。これは都民ファーストの会の議員のほとんどが子育て世帯の当事者だから実現できたことでもあります。自分自身の生活で感じた課題を基に政策を練り上げ、それが「実感」として解消したと感じるレベルにまでしっかり後押しすること。これこそが私たちの強みです。
ー東京都には他の自治体では難しい規模の政策を実現できる力がありますが、自治体間の格差についてはどのように思われますか。
格差というとネガティブな印象がありますが、結局は首長の方針の差ではないでしょうか。地方にも子育て政策で同じような成果を生んでいる自治体はあります。私たちは子育て支援が重要だと考えたので、小池知事とともに優先順位を上げて予算面でも集中投下してきました。それが結果的に都民のニーズに合致する形となりました。
また、首都東京として、「日本が直面する最前線の課題に挑み、その解決策を示す」という使命感もあります。だから国全体では難しいことも、まずは東京が先陣を切ってトライアルし、成功モデルを全国に広げていくことも重要だと考えています。
首長がしのぎを削っている時代なので、予算をなんとなく配分してベーシックサービスだけを提供しても、住民は満足しません。提供するサービス次第で、人口が動くような時代なのです。東京都から見て、他の都道府県には真似したくても、真似できない、地域それぞれの魅力がたくさんあります。結局はそれぞれの地域のポテンシャルを見つめて、それを伸ばしていく努力が必要なのではないでしょうか。
ー地元である足立区の区政については、どのように見られていますか。
足立区は近藤やよい区長が5期にわたって区政を率い、めざましい成果を上げてくださっています。もともと「治安が悪い」といったネガティブなイメージを持たれていたのですが、それに対して「治安」「学力」「健康」「貧困の連鎖」を「4つのボトルネック的課題」と位置づけ、改善を図ってきました。明確に柱を決めて取り組んできたことが奏功して、セーフティーネットの充実や犯罪率の低下につながっています。これを発展させて、区外の中間層の方々が移住したいと思うような街づくりにつなげていくのが次のテーマになってくると思います。
都民ファーストの会の良さは、民間の「当たり前感覚」を持っていること

ー「都民ファーストの会」の特長については、どのように見られていますか。
民間の「当たり前感覚」を持っているところですね。子育て世代、現役世代が持つ普通の感覚が共通の土台にあって、議論するときも非常にスムーズです。政治の世界に入ると、国民の感覚からズレた議論をしていたり、合意形成のフローが民間と違っていたりすることも多いのですが、都民ファーストの会にはそれがありません。地盤、看板、カバンを持っていない人が手を挙げ、選挙を勝ち抜いて活躍しているからこその特長だと思います。
ーありがとうございます。最後に3期目の抱負を教えてください。
先の選挙で「10の公約」として掲げた重点政策がありますので、これを着実に進めていきます。都民ファーストの会に対しては、子育て支援のイメージを持っている方が多いと思います。もちろん、そこに力を入れてきた結果なのですが、今後は幅を広げていきたいと考えています。例えば障がいのあるお子さんや不登校の子ども、あるいは介護者支援などの分野です。支援を必要としている方から見たら、まだまだ行き届いていない部分もあると思いますので、それらをカバーする政策提案に力を入れていきます。













