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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー「資産運用立国」の新たなステージへ!自由民主党・神田潤一議員インタビュー

「資産運用立国」の新たなステージへ!自由民主党・神田潤一議員インタビュー

投稿日2026.1.9
最終更新日2026.01.09

神田 潤一 かんだ じゅんいち 議員

1970年青森県出身。東京大学経済学部卒業後、1994年日本銀行入行。
金融庁への出向、マネーフォワード役員、Fintech協会常務理事を経て
2021年の衆議院議員選挙に自由民主党から出馬し初当選(2期)。
内閣府大臣政務官(経済再生・金融担当)、法務大臣政務官を歴任。

2014年に運用を開始したNISA(少額投資非課税制度)。2024年には保有期間が無期限となったほか、現在は年齢制限の撤廃も検討されるなど「貯蓄から投資へ」のさらなる促進に向けた議論が進んでいます。今回のインタビューでは、国会議員への転身前に日本銀行に20年以上勤務し、当選後、「資産運用立国」政策の立案にも尽力された神田潤一議員に、金融政策の現在地と未来についてお聞きしました。

(取材日:2025年12月11日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史)

大島理森議員からの「次は君にやってほしい」という言葉

神田潤一議員インタビュー

ー日本銀行や金融系スタートアップに勤められていた神田議員が政治に興味を持たれたきっかけを教えてください。

父が市議会議員で、さかのぼれば曾祖父が八戸市長ということもあり、もともと政治そのものは身近に感じていました。ただ、父の跡を継いで市議会議員になることは考えておらず、経済の勉強が好きだったので日本銀行に進みました。当時は「日銀で日本の経済に貢献したい」という思いが強かったのです。

日銀には20年以上勤めましたが、その間に保険会社や金融庁に出向し、退職後はスタートアップの役員を務めるなど、さまざまな経験をさせていただきました。その中で日本が抱える多くの課題に触れてきました。そして「これらの課題の抜本的な解決をめざすには、政治が果たすべき役割が大きいのではないか」と感じたことで、政治家への転身を考えるようになったのです。

ーその後、大島理森議員の後任として出馬されましたが、その経緯を教えてください。

大島先生は地元から選出され、衆議院議長として史上最長の在任期間を務めるなど、地元に対しても国政に対しても非常に大きな功績を残された方です。一方で「議長を務めるということは引退が近いのではないか」と地元で言われ始めており、私も「大島先生が引退したら、誰がこの課題の多い青森2区の国会議員をやるのだろう?」と思い、そこで「自分がやらなければならないのではないか」と感じたのです。その後、大島先生とお付き合いさせていただく中で、2021年の春に先生から「私は引退するから、次は君にやってほしい」と言っていただきました。衆議院議長からいただいたバトンの重みを感じながらも直接のご依頼を断るわけにはいかないと。それが衆議院議員選挙への出馬を決断する直接の決め手となったわけです。

資産運用の広がりを実体経済や地方の課題解決に結びつける

神田潤一議員インタビュー

ー初当選された2021年に岸田政権が「新しい資本主義」を掲げ、神田議員も「資産運用立国」の立案に関わってこられましたが、この政策をどのように見ていましたか。

「資産運用立国」そのものは、日銀時代からずっと持っていた「貯蓄から投資への転換が必要だ」という問題意識と合致していました。それまで、なかなか達成できていなかった課題だったので、私としても力を入れようと思っていました。

また、金融庁に出向していた時にNISA(少額投資非課税制度)が始まりましたが、「まずは自分でやってみましょう」という庁内の呼びかけを受けて私も始めました。すると非常に効率よく運用でき、ストレスなく資産を増やすことができたのです。個人的にも周りの人に「NISAをやった方がいい」と勧めていましたが、それが国策としてさらに拡充されていく局面になり「自分事として発信していかなければならない」と強く感じたのを覚えています。

ー岸田政権から石破政権、高市政権へと移り変わる中で、この政策はどのように変わっていったのでしょうか。

資産運用立国そのものは岸田政権の時にパッケージとしてしっかり作り上げられたため、その重要性は自民党の中でも共有されていますし、超党派でも好意的な野党の先生方がいらっしゃいます。だから、政権が変わっても非常にスムーズに受け継がれてきました。その過程で「資産運用立国議連」も発足しました。

一方でフェーズによって力の入れ方は変わってきています。最初は「NISA」がセンターピンで、特に若手の現役世代にフィットし、口座数も大いに伸びました。これが政策の推進力となり、金融経済教育や資産運用業の高度化、市場改革なども円滑に進みました。今は「それが実体経済や地方の課題解決にどう結びついていくか」という点に焦点が移っています。もちろん、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった個人の資産形成手段の拡充は今後も継続しますが、もう一つの柱として「地方金融との連携」を重視しているのです。

例えば、プライベート・エクイティや地方の投資ファンドなどに運用資産が回り、それが成長資金となって地方の活性化につながるような流れをどう作るか。2025年12月に発表された金融庁の地域金融力強化プランとも連携しながら、このような流れを作ることが大きなテーマとなっています。

ー神田議員は現在自民党の中でデータ利活用の議論にも尽力されています。金融の分野でもデータの利活用は重要ですが、セキュリティの課題にも目を向ける必要があると思います。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

一番大きな問題意識は、AIが進化し、さまざまなデータを学習して新しいモデルを作ることが当たり前となった現在、「データを使いやすくする」という面と「悪用に対する罰則を強化する」という面の両方が必要だということです。前者はデータの利活用、後者は個人情報保護法の強化につながります。

ただ、これまではどうしても個人情報保護、つまりデータの乱用や悪用防止の側面が強く出すぎてしまう風潮がありました。AI時代に「どうやってデータを活用していくか」という点を共有しないと、保護ばかりが強くなりすぎて利活用が進まない可能性もあります。逆に利活用に力を入れすぎると悪用が増えます。

現在、自民党デジタル社会推進本部で意識しているのは、データの利活用を進めたい人たちと、個人情報保護法を強化したい人たちを一堂に集め、我々政治家がバランスを取りながら議論を進めるというやり方です。「同じ方向に向かっていますよね」ということを共有しながら進めているのです。

政治が関与して方向性を示すことで社会の空気が変わる

神田潤一議員インタビュー

ーフィンテックをはじめ、技術の急速な進化によって社会構造が変わる中で、政治が果たすべき役割は何でしょうか。

社会の変化に合わせて法整備や制度づくりを進める必要がありますが、それを官庁や専門家に任せていると、どうしても縦割りの守備範囲の中で「部分最適」に陥ってしまう可能性があります。一方で政治家は官庁横断的に、あるいは民間のニーズを聞きながら「5年後、10年後にどういう方向に行くのか」「その時に法制度が邪魔しないか」といったビジョンに向かってレールを敷き、調整するのが役割だと思います。

一方で金融やフィンテック、デジタルの話は私が知見や経験を活かせる分野だと考えていますが、必ずしもすべての人が関心を持つわけではありません。小選挙区選出の議員として農業や漁業、子育て支援など地元のみなさんの生活に密接に関連する分野についても日々勉強している毎日です。地元の声を代弁する者としての役割は政治家として果たすべき役割です。

ー国の大きな政策を進めながら地元の課題にも向き合うのは大変そうですね。

たしかに大変ですが、金融やデジタルはすべてのテーマに関わる分野です。回り回って地元の経済や将来の生活に響いてくる話なので、まったく無関係のものではありません。金融の方に興味のある人が地元にいたらしっかり説明するようにしていますし、NISAなどは地元でも非常に評判が良いですね。

大切なのは、やはり方向性を示すことです。日銀時代に金融庁へ出向していた時期がありましたが、当時は森信親長官の下で政治家とも連携しながら「金融庁は金融育成庁になるんだ」「フィンテックも含めて新しい分野へのチャレンジを後押ししていくんだ」という機運がありました。この空気感の中で仕事ができたのは大きかったですね。政治が関与して方向性を示すだけで組織の空気がガラッと変わる。そんな光景を現場で見た経験を活かして、地元のみなさんにも政権や自民党が目指す方向性を丁寧に説明することを心がけています。

ー地元に目を向けたときに、特に課題だと感じることは何でしょうか。

やはり東京に人やお金が集中する流れが止まらないことですね。これはコロナが明けてから、さらに強まっています。地方からどんどん東京に吸い寄せられている状況に対し、政治の力で対処しなければなりません。東京に住む人の中には地方から出てきた人や家族や親戚が地方に住んでいる人も多いので、地方が元気でないと自分も元気になれないし、地方にいる家族の将来に不安があると安心して東京で暮らせません。

「東京だけ幸せになっても日本全体が幸せにならない」というのが今の状況です。 東京の人も幸せを感じられるような地方の形を、政治としてここ数年でちゃんと作らなければいけないと強く感じています。

「知らないうちに意外と資産が増えている」と感じられる環境づくり

神田潤一議員インタビュー

ー最後に「資産運用立国」を通じて描いている日本の将来ビジョンを教えてください。

今、分断が進んでいたり、特に若い現役世代が不安を感じていたりするのは、古い制度が手直しされないまま現在に至ったことが背景にあります。この点は、今の社会に合わせて変えようとしているところです。経済的な悩みや不安は、制度を変えても残るものですが、それを「工夫すれば解消できる」「将来を不安に思わずに生活できる」と皆さんが思える環境を整備していきたいと考えています。

その制度を安心して利用できるように周知し、結果として「知らないうちに意外と資産が増えているな」と感じられる社会にしたいですね。高度成長期は、銀行に預けておけば金利が5〜6%ついて、給料も毎年増える安心感がありました。今はどのような企業に勤めても全員一律で成長するのは難しい時代かもしれません。しかし、例えば大企業に就職できなくても、大企業の株式を持つことはできます。

勤めることはできなくても、自分が「いいな」と思っている会社の成長を自分の資産として取り込むことはできますよね。給料は急には増えなくても、毎月数万円をNISAやiDeCoに入れることで、数年後に「意外と増えているぞ」という安心感を得られるのです。そうした人が増えていくと、社会全体の空気も変わっていくと思います。今はその一歩手前の段階で、この方向性を着実に進めていくことが重要です。

神田 潤一 議員

かんだ じゅんいち
神田 潤一
  • 生年月日 1970年9月27日
  • 出身地 青森県
  • 学歴 1994年東京大学経済学部卒業
    2000年エール大学大学院修了
  • 職歴 1994年日本銀行入行。
    金融庁への出向、マネーフォワード役員、Fintech協会常務理事を経て2021年の衆議院議員選挙に自由民主党から出馬し初当選(2期)。
    内閣府大臣政務官(経済再生・金融担当)、法務大臣政務官を歴任。
   
この記事の監修者
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株式会社PoliPoli 政府渉外部門マネージャー 秋圭史
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)