
立憲民主党は2025年1月28日、「保険証復活法案」(マイナ保険証併用法案)を衆院に提出しました。これは、従来の「紙の保険証」の新規発行を再開して、健康保険証として復活させ、マイナ保険証との併用を可能とすることを目的としています。
なぜ、立憲民主党は「保険証復活法案」を提出したのでしょうか。その背景と法案に対する反応を見てみましょう。
立憲民主党が「保険証復活法案」を提出した理由
政府は2024年12月2日をもって、紙の健康保険証の新規発行を停止し、マイナ保険証への一本化を推進しました。しかし、マイナ保険証の利用率は2024年12月時点で25.42%にとどまっていることから、立憲民主党は国民の間に浸透していないと評価しました。
その上で、「誰もが必要な時に、確実に医療を受けられる体制を堅持するため、12月2日の健康保険証の廃止を延期して、国民の不安払拭など一定の条件が整うまでは従来の健康保険証を存続させ、マイナ保険証の利用は本人の選択制とすべきである」という考えにいたり、法案を提出しました。
「保険証復活法案」の概要
保険証復活法案は、新規発行が停止された紙の健康保険証の再発行を認め、マイナ保険証との併用を可能とするものです。
マイナンバー制度に基づくデジタル化が進む中でも、国民が従来の紙の保険証を選択できるようにすることで、医療現場での混乱を回避し、必要な医療サービスを受けられるようにする狙いがあります。
「保険証復活法案」に対する反応
保険証復活法案の筆頭提出者である中島克仁衆院議員は「医療情報のデジタル化に否定的では全くない。マイナ保険証に一本化されれば医療DXが進展するかのようなイメージを持たれているが、大事なことは必要な方々が確実に医療を受けられること」と、法案の必要性とDXに逆行しているわけではない点を強調しました。
これに対して、平将明デジタル大臣は法案提出後の記者会見で、「(マイナ保険証への切り替えについて)いろんな懸念が示されていたが、大臣就任以来、丁寧に応えて、資格確認書も発行され、広報についても不安に思っている人に寄り添う政府広報に転換してきた。政府としては比較的順調に進捗をしている、大きな方針の転換は必要ない」と語りました。
また、医療の現場では、DXの推進を重視する立場からは「デジタル化の流れに逆行している」という批判が上がっています。その一方で、マイナ保険証においてもシステムエラーをはじめとするトラブルが全国で相次いでおり、その対応が課題となっています。
引用:立憲民主党HP
まとめ
保険証復活法案は、マイナ保険証への一本化が進む中で、国民の医療受診に対する安心感と選択肢を確保するための具体策として、紙の健康保険証の復活を求めるものです。立憲民主党は、現行制度の浸透不足や医療現場での混乱を踏まえ、必要な医療サービスを滞りなく提供することを最優先課題と位置付けています。
一方で、DX推進派からは、医療DXが目指す方向性を損なうとの批判もあり、今後の審議や実効性の検証が注目されます。国民の医療アクセスの確保と、効率的な医療情報の管理という課題を、どのようにバランスさせるかが、今後の大きな焦点となるでしょう。
