2025年10月10日、公明党は自民党との連立政権から離脱しました。この連立離脱をめぐっては、支持母体である創価学会の意向が影響したとの指摘もあり、創価学会の動向に注目が集まっています。
以下では、創価学会の概要や公明党との関係性に加え、創価学会の意向が影響したとされる政局の動き、さらに創価学会を巡る主な議論について、わかりやすく解説します。
1. 創価学会とは?
創価学会は、日蓮大聖人の仏法を信奉する、日本最大規模の在家仏教団体です。
1930年、牧口常三郎(初代会長)と戸田城聖(第2代会長)によって、日蓮正宗内の教育者を中心とする団体「創価教育学会」として創立されました。戦後は、教育改革にとどまらず、全民衆の幸福と世界平和の実現を目的とする団体へと活動の範囲を広げ、名称を「創価学会」に改めました。1952年には、宗教法人としての認証を受けています。
その後、創価学会は、第3代会長・池田大作の指導のもとで急速に規模を拡大しました。しかし、1991年に日蓮正宗宗門から破門措置を受け、両者の関係は断絶します。これ以降、創価学会は日蓮正宗とは無関係の独立した教団として活動しています。
創価学会は、基本理念として「人間革命」を掲げています。これは、信仰による個人の内面変革が、個人の幸福にとどまらず、社会の平和と繁栄につながるとする考え方です。学会員は「南無妙法蓮華経」の唱題を実践の根本とし、日常生活における価値創造を重視しています。加えて、創価学会は公明党の支持母体として政治に関与するとともに、平和・文化・教育分野における活動を国内外で展開しています。
引用:創価学会HP
参考:日蓮正宗HP
2. 創価学会と公明党の関係性とは?
創価学会は、もともと教育を基盤とする団体として発足しましたが、次第に政治分野へと活動の幅を広げていきました。その背景には、戦後日本において社会改革や生活向上を実現するためには、政治への関与が不可欠であるとの認識が、学会内部で強まっていったことがあります。
こうした問題意識のもと、1954年には創価学会の内部組織として「文化部」が設置されました。翌1955年4月の統一地方選挙および1956年7月の参議院通常選挙では、創価学会関係者が候補者として出馬しています。さらに、1961年には政治団体「公明政治連盟」が設立され、同連盟は地方議員の選出を重ねていきました。
さらに、1964年には政治政党として「公明党」が結成されました。翌年の参議院選挙では11人が当選するなど、公明党は福祉や平和、庶民生活の向上を重視する政党として、国政および地方政治の場で存在感を高めていきます。
一方で、創価学会と公明党の密接な関係性は、早い段階から社会的な議論や批判の対象となってきました。1969年には、創価学会や公明党が、自らに批判的な書籍の出版や流通を妨げようとしたとされる、いわゆる「言論出版妨害事件」が発生しました。この事件を受けて、宗教団体と政治団体の関係のあり方が、社会全体で問われることになります。
この事件を契機に、宗教団体である創価学会と政治団体である公明党において、重要な役職を同一人物が兼任する体制は見直されました。その結果、両者は以降、組織上は別個の存在として位置づけられるようになります。
現在、公明党は、創価学会との関係について、「支持団体と、その支持を受ける政党という関係にある」と説明しています。その上で、公明党は、特定の団体に限定されない、幅広い民衆を包摂する大衆政党であるとの立場を示しています。
引用:公明党HP
参考:ダイヤモンド社
3. 創価学会を巡る議論
創価学会をめぐっては、とりわけ公明党との関係性に関して、さまざまな論点が指摘されてきました。以下では、代表的な議論について整理します。
政教分離をどう捉えるべきか
創価学会を巡る議論で、最も頻繁に取り上げられる論点の一つが「政教分離」です。一部では、「創価学会と公明党の関係は政教一致ではないか」「政教分離の原則を定める憲法20条に違反しているのではないか」といった批判が見られます。しかし、こうした指摘については、憲法が想定する政教分離の趣旨を必ずしも正確に捉えていないとの見解が一般的です。
日本国憲法が定める政教分離原則は、主として国家権力が特定の宗教を支援したり、国民に信仰を強制したりすることを禁じるものです。言い換えれば、規制の対象は「国家」の行為であり、宗教団体や宗教者が政治活動を行うこと自体を禁止する規定ではないと理解されています。そのため、宗教法人である創価学会が、公明党という政党を支持・支援する行為は、憲法上、問題となるものではないと整理されています。
公明党とのずれ
一方で、創価学会と公明党の関係をめぐっては、両者の立場や判断の間に一定のずれが生じているとの指摘もあります。
その一例として挙げられるのが、2015年に成立した安全保障関連法をめぐる対応です。安倍政権が進めた集団的自衛権の一部容認について、公明党は当初、「平和の党」を掲げる立場から慎重な姿勢を示していましたが、最終的には安全保障関連法の成立を容認しました。
この判断に対し、創価学会の内部からは、集団的自衛権の行使容認そのものに慎重な意見や反対意見が示され、「平和の党」としての公明党の姿勢との整合性を疑問視する声が上がったとの報道もあります。
学会員の高齢化と組織力の変化
もう一つの重要な論点として挙げられるのが、創価学会員の高齢化です。長年にわたり公明党の選挙活動を支えてきた組織力については、学会員の高齢化に伴い、従来の水準を維持することが難しくなっているとの指摘があります。
実際、公明党は学会員の高齢化を背景として、集票力の低下傾向に歯止めがかかっていません。2025年7月に実施された参議院選挙の比例代表における得票数は、最多だった2004年の862万票から約4割減少したと指摘されています。
こうした変化は、公明党の選挙戦略のみならず、今後の政策形成の方向性にも影響を及ぼす可能性があると考えられます。
まとめ
創価学会は、日本最大規模の在家仏教団体として独自の理念や活動を展開する一方、公明党の支持母体として、長年にわたり日本政治に影響を及ぼしてきました。両者は制度上は分離されているものの、政策判断や政局の局面では、創価学会の意向が公明党の行動に影響してきたと指摘される場面も少なくありません。創価学会と公明党の関係をどのように捉えるべきかは、宗教と政治の距離感や、民主主義における支持団体の役割を考えるうえで、重要なテーマでもあるといえます。













