共和党が民主党を若干リード
二大政党制が長く続いているアメリカ。では、歴代のアメリカ大統領の出身政党はどのような割合だったのでしょうか。
これまで45代の大統領が誕生しています。そのうち42.2%となる19人が共和党出身、35.6%となる15人が民主党出身となっています。
伝統的保守層とキリスト教主義勢力に支えられる共和党は、アフリカ系の黒人奴隷制反対を掲げて1854年に結成されたと言われています。
1860年、共和党党員のエイブラハム・リンカーンが大統領に選出。さらには南北戦争を勝利に導いて奴隷制度の廃止に成功することで、共和党の国内での地位は盤石になりました。当時の共和党の支持層は、北部の白人プロテスタント、企業家、専門職、工場労働者、農家、アフリカ系アメリカ人などとされています。
共和党出身の大統領
エイブラハム・リンカーン(第16代)、ユリシーズ・グラント(第18代)、ラザフォード・ヘイズ(第19代)、ジェームズ・ガーフィールド(第20代)、チェスター・A・アーサー(第21代)、ベンジャミン・ハリソン(第23代)、ウィリアム・マッキンリー(第25代)、セオドア・ルーズベルト(第26代)、ウィリアム・タフト(第27代)、ウォレン・ハーディング(第29代)、カルビン・クーリッジ(第30代)、ハーバート・フーヴァー(第31代)、ドワイト・D・アイゼンハワー(第34代)、リチャード・ニクソン(第37代)、ジェラルド・R・フォード(第38代)、ロナルド・レーガン(第40代)、ジョージ・H・W・ブッシュ(第41代)、ジョージ・W・ブッシュ(第43代)、ドナルド・トランプ(第45代)
対する民主党はこれまで16人の大統領を輩出しています。
民主党は1830年代に民主共和党内の派閥から派生して生まれました。アメリカに現存する最古の政党であり、草の根運動から生まれた政党としては世界最古とも言われています。
アメリカでは1820年頃、民主共和党の一党体制となりますが、民主共和党内で次第に内部分裂が起こり、一部が1830年から民主党を名乗ったのが始まりのようです。
1832年から1850年代中盤まで、対立するホイッグ党を制し、アメリカ政治を主導しています。
しかし、1860年に反奴隷制を掲げて共和党が結党されてからは一変、1860年から1932年にかけては共和党に主導権を奪われる形となりました。特に、南北戦争前後に民主党は弱体化し、一時期は南部の地域政党のような扱いにまで陥ります。
状況が一変したのは1929年の世界恐慌から。1932年のフランクリン・D・ルーズベルトが大統領に就任すると、民主党が優位に立つことになります。
1960〜1980年代は共和党優位となりますが、1990年代以降は民主党と共和党の勢力は拮抗し、現在へと続いています。
民主党出身の大統領
アンドリュー・ジャクソン(第7代)マーティン・ヴァン・ビューレン(第8代)、ジェームズ・ポーク(第11代)、フランクリン・ピアース(第14代)、ジェームズ・ブキャナン(第15代)、アンドリュー・ジョンソン(第17代)、グロバー・クリーブランド(第22代)、グロバー・クリーブランド(第24代)、ウッドロウ・ウィルソン(第28代)、フランクリン・ルーズベルト(第32代)、ハリー・S・トルーマン(第33代)、ジョン・F・ケネディ(第35代)、リンドン・ジョンソン(第36代)、ジミー・カーター(第39代)、ビル・クリントン(第42代)、バラク・オバマ(第44代)
1834年から1854年までアメリカ国内に存在したホイッグ党からも4人が大統領に選出されています。ホイッグ党は、第7代大統領のアンドリュー・ジャクソンの政権独占を批判する人々が集まり結成。連邦政府の強化、合衆国銀行の復活、最高裁判所や上院の権威の維持などの主張を掲げています。
ホイッグ党の名称は、イギリスで王権に対して抵抗を続けた同名のホイッグ党を自らに模したもの。ジャクソンを専制君主と見立て、その横暴に立ち向かう志を表したものです。1840〜1850年代にかけて、精力的に活動を続けますが、1854年のカンザス・ネブラスカ法成立で、北部ホイッグ党員のほとんどは奴隷制反対派の共和党へ、南部では消滅状態となり、1860年に消滅しています。
ホイッグ党出身の大統領
ウィリアム・ハリソン(第9代)、ジョン・タイラー(第10代)、ザカリー・テイラー(第12代)、ミラード・フィルモア(第13代)