直近2代の大統領でも「史上初」を連発
1825年、早くも「世襲大統領」が誕生しています。
第6代大統領のジョン・クィンシー・アダムズは、第2代大統領のジョン・アダムズの息子です。
アダムズ家は、18世紀後半から20世紀初頭にかけて多くの政治家を輩出した名門一族として知られています。アダムズ家以外に一族から2人のアメリカ大統領を輩出したのは、ハリソン家(第9代ウィリアム・ハリソン、第23代ベンジャミン・ハリソン)、ルーズベルト家(第26代セオドア・ルーズベルト、第32代フランクリン・ルーズベルト)、ブッシュ家(第41代ジョージ・H・W・ブッシュ、第43代ジョージ・W・ブッシュ)だけです。
第9代大統領のウィリアム・ハリソンは、「在職中に死去した初の大統領」「もっとも短い在任期間(31日間)の大統領」「アメリカ独立宣言の前に生まれた最後の大統領」として知られています。
豊かな農園主の元に生まれ育ったハリソンは軍隊に入隊し戦歴を積み、大統領に就任しますが、肺炎または腸チフスが原因で急逝しています。
「在職中に奴隷を所有した最後の大統領」「大統領選に勝利した最後のホイッグ党員」として知られる大統領が、第12代ザカリー・テイラーです。
テイラーはバージニア州の農場主の息子として生まれ育ち、父親は1800年までに10,000エーカーの土地と26名の奴隷を所有していたと伝えられています。
長じて陸軍に入隊。米墨戦争の英雄となり、その名声を見込んだホイッグ党に声を掛けられ大統領選に出馬、見事当選を果たしています。
歴代アメリカ大統領で唯一、「連続ではない2期」を務めた大統領がいます。第22代・第24代の大統領を務めたグロバー・クリーブランドです。
ニューヨークの自由の女神像の除幕式に参加した大統領としても知られる彼は、1884年の大統領選において、28年振りの民主党出身の大統領として船出します。
就任後、保護関税を引き下げるべきと主張しますが、アメリカ北東部、中西部から批判を買い、とくに影響力が大きかったニューヨーク州からの支持を失い、1888年の大統領選でベンジャミン・ハリソンに敗れる原因となりました。
1期目の大統領を退いた後、弁護士活動を続けていましたが、1892年の民主党全国大会で大統領候補に再度選ばれ、第24代大統領に就任しています。
一方、「アメリカ政治史上で唯一4選された大統領」が第32代大統領のフランクリン・ルーズベルトです。
そもそもアメリカでは、初代大統領のジョージ・ワシントンが3選を固辞したことから、大統領は2選までというのが習わしとなっていました。しかし、ルーズベルトが大統領を務めていた時代は第二次世界大戦の真っ最中。有事であることを理由に、1940年・1944年の大統領選にも立候補し、当選を果たしています。後に憲法が改正され、正式に大統領は2期までと定められています。
暗殺という非業の死を遂げた第35代大統領、ジョン・F.ケネディですが、数々の「初めて」を達成しています。
彼は「20世紀生まれの最初の大統領」であり「カトリック教徒として初の(現在まで唯一の)大統領」であり、「アイルランド系アメリカ人としても最初の大統領
」であり、「ピューリツァー賞を受賞した唯一の大統領」でもありました。
「2020年現在、合衆国大統領選挙に勝利して選出されたことのない唯一のアメリカ合衆国大統領」が、第38代大統領のジェラルド・R・フォードです。
フォードは1973年、スピロ・アグニューが副大統領を辞任した後に、大統領からの指名と上下両院の承認を得て副大統領に就任しています。その後、1974年にリチャード・ニクソンがウォーターゲート事件によって大統領を辞任。大統領に昇格しました。
1976年の大統領選挙には敗れていますので、結果として大統領選に勝利したことのない大統領という珍しい経歴となりました。
第44代大統領のバラク・オバマも、多くの史上初を達成したひとりです。オバマは「非白人」「アフリカ系」「20世紀後半生まれ」「ハワイ州出身者」「イスラム教徒を親に持つ子」として、初めてのアメリカ大統領となっています。
2020年現在、アメリカ大統領を務めるドナルド・トランプも、アメリカの憲政史上初めて、軍人としての経験も政治家としての経験も持たずに大統領を務めている人物です。