「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー救急医が政治を使って命を救う!国民民主党・福田とおる議員が目指す「人に優しい医療改革」のビジョン

救急医が政治を使って命を救う!国民民主党・福田とおる議員が目指す「人に優しい医療改革」のビジョン

投稿日2025.3.6
最終更新日2025.03.07

第50回衆議院選挙が2024年10月27日に投開票され、99名の新人議員が誕生しました。『政治ドットコム』では、初当選を果たした国会議員の方々にインタビューし、政治家を志したきっかけや実現したい政策などを深掘りしていきます。今回のインタビューでは、国民民主党公認候補として立候補し初当選を果たした福田とおる議員に、政治家を志したきっかけや国民民主党を選んだ理由、目指すべき医療の形について伺いました。

(取材日:2024年12月18日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史)

福田徹議員インタビュー

福田徹(ふくた とおる)議員
1982年岐阜県可児市生まれ。三重大学医学部卒業。
救急医として勤務する傍ら、グロービス経営大学院修了。
2024年10月の衆議院議員選挙で初当選。
好きな言葉は「大切なのはどれだけ多く施したかではありません。それをするのにどれだけ愛を込めたかです(マザー・テレサ)」

救急医が政治を使って命を救う

ー福田議員は救急医として勤務しながら経営大学院で学び、政治の世界へ。なぜ経営大学院に進学されたのでしょうか。

福田徹議員インタビュー

救急医として10年ほど勤務した頃、医療経営の大切さに気付いたからです。医師や看護師といった「ヒト」、「お金」、「医療機器」といった、地域にある限られた資源で、地域に最高の医療の価値を提供するためには、もっと医療経営の質が高くあってほしいと感じました。

病院でも診療所でも、院長つまり経営者は、つい先日まで臨床医です。ある日突然経営者になるわけですから、当然、経営の知識や経験は多くありません。貸借対照表を読めないし、減価償却という概念を知りません。私もそうでした。

一方で、医療という仕事には診療報酬制度というガチガチのルールがあるため、経営の力がなくても、目の前に来る患者さんを正しく診察して、正しく治療していればやってこれたという実情もあります。でもこれからは違います。優れた経営がないと、優れた医療を提供できません。職員さんも幸せにできません。そう考え、経営大学院へ進学しました。

ー経営大学院での学びで病院経営に活かせたことがあれば教えてください。

まず「顧客ニーズ」という概念です。一般ビジネスでは顧客ニーズを大切にすることは当たり前です。一方で、医師の世界では、「自分たちができること、自分たちがやりたいこと」が大切にされることがあります。例えば、社会環境や人口構造が変われば、医療に対するニーズは変わります。自動車が安全になれば重傷外傷の患者さんは減るし、超高齢者が増えれば誤嚥性肺炎や心不全が増えます。

当然、それに合わせた医療提供体制を整える必要があります。一方で、「難しい手術ができる医師がいるから、高い機械を買おう」といった、「病院ニーズ」に基づく経営判断がされることもあるように見えます。1つの医療機関の話だけではなく、日本の医療全体が「将来の日本にはどのような医療が必要なのか」を正しく予測し対応する必要があると思います。

福田徹議員インタビュー

ーなぜ医療から政治の世界へ進もうと思ったのでしょうか。

日本の医療の価値を高めるためには、一人の医師の力では無理、一つの病院の力でも無理。よりよい医療制度を作る政治の力が必要だと確信したからです。

私が勤務していた病院も含めて、今、多くの高度急性期病院で、医療収益を上げるために必要なことは、たくさんの救急患者さんを受け入れることです。特に多いのが高齢者の誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎の治療は酸素投与や抗生剤の点滴です。人工呼吸管理など高度な医療の適応となることはほとんどありません。高度急性期病院でなくても治療できますし、環境が整っていれば在宅医療でも同じ治療ができます。しかし、実際には救命救急入院料など高い診療報酬を取れる患者さんで入院ベッドを埋めておくことが求められます。

大儲けしたくてやっているわけではありません。なんとか赤字を出さずに、職員に給料を払い、地域に医療を提供し続けるために必要なのです。そして、常に満床状態なので、高度急性期病院でしか治療できない重症外傷や脳血管障害の患者さんが発生した時にスムーズに受け入れることができません。なんとか存続するための経営すると、病院が本来求められている役割を果たせないのです。

本来、高度な医療を担いたくて勤務している医師や看護師のやりがいにもつながりません。やりたい仕事と違う仕事で多忙を極めれば職場去っても不思議ではありません。現場は必死で頑張っているのに、うまくいかない。悪いのは人ではなく、制度だと確信しました。こうした医療経営の経験から、医療制度を作る仕事をしたいと思いました。

政治家となった今でも、自分の天命は目の前の一人の患者さんの命を救うことだと思っています。正直「政治家です」とあまり言いたくありません。救急医 福田徹が、政治を使って命を救う。これが私の仕事です。

人に優しい医療改革

福田徹議員インタビュー

ー政治の世界では医療の話題はタブー視されやすい側面もあると思います。医療を変えるという問題意識で、なぜ国民民主党から出馬したのでしょうか。

国民民主党が掲げる「対決より解決」という価値観が私にぴったりだったからです。医療改革にこそ対決より解決が必要だと思っています。

医療改革がタブー視されている理由は、誰かが損をするという前提があるからだと思います。誰のサービスが減らされるのか、誰が負担するのか、誰が痛みを負うのか。そんな話ばかりでした。でも実際は違います。たくさんある医療の中で、がんの手術であったり、救命救急であったり、決して欠かすことができない医療がある一方で、余って捨てられる薬、短期間で繰り返される同じ検査、効果がないと分かっている薬など、なくしても健康に悪影響のない医療がたくさんあります。

科学的な根拠に基づいて、価値の大きい医療と価値の小さい医療を見極めて、価値の大きい医療に集中投資する。そうすることで、現役世代の負担を抑えながら、質の高い医療と国民の健康を守ることができます。医療を受ける人にも医療を支える人にも優しい、「人に優しい医療改革」です。まさに「対決より解決」です。

ー国会の質疑で「医療改革は手取りを増やすことにもつながる」と話していました。医療改革によってどのように手取りが増えるのでしょうか。

手取りは「給料−税金−社会保険料」です。医療費の伸びを抑えることで、給料から引かれる社会保険料を抑え、手取りを増やします。医療費はもうすぐ年間50兆円に達します。他の領域とくらべて桁違いに大きい金額です。医療改革は手取りに大きく影響します。

ーなるほど。ただ、医療改革は既存の業界団体からの反発もあるのではないでしょうか。

医療改革の敵は医師会と思われがちですが、私はそうではないと考えています。というより、平均寿命世界一、健康寿命世界一の日本の医療を支えてきたのは医師会はじめ、これまでの日本の医師です。医師だけではありません。看護師、薬剤師、検査技師・・・。すべての医療職が献身的な働きをして、世界一の日本の医療を支えてきました。私はまずそのことに敬意を持っています。

これからは価値の大きい医療に十分な診療報酬を出すことが求められます。そうすることで、医療者は喜んで価値の大きい医療を提供します。その結果、全ての国民が価値の大きい医療を受けられるようになります。日本の医療者は皆、優れた医療をしたいのです。患者さんが喜ぶ顔を見たいのです。

医療のDX化で国の財布も国民の財布も豊かになる

ー医療のDX化も一つの大きなテーマだと思います。DX化によってどのような問題が解決されるのでしょうか。

先ほど申し上げた残薬や検査の重複については、デジタルの力で解決できます。

例えば、複数の医療機関にかかると、どの医療機関でどんな薬が何日分処方されたか分からないために、別の医療機関で同じような薬が処方されてしまいます。また、健康診断で異常を指摘されて、精密検査のためにクリニックに行くと同じ検査をして、大きい病院に紹介されるとまた同じ検査します。このような理由で医療の無駄が起こっています。

全ての医療機関で統一された規格の電子カルテが使用され患者さんの医療情報を確認できれば、いつどこでどんな薬がどれだけ処方されたのか分かりますし、健康診断の検査結果を電子カルテで確認することができれば同じ検査をする必要はありません。これは技術的にはすぐできるはずです。

ー最後に今後の展望について伺います。政策の実現を通じて、日本をどのような国にしていきたいですか。

福田徹議員インタビュー

全ての人が幸せに生きられる国にしたいです。健康で、豊かで、安心で、安全であること。この全てに医師である私が政治という舞台でできることがあると思います。

私が一番好きな言葉はマザー・テレサの言葉です。「大切なのはどれだけ施したかではありません。それをするのにどれだけ愛を込めたかです」
医師としてそうしてきたように、一人一人のために、この国のために、心を込めて働きたいと思います。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。