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マイナ免許証とは?導入の背景や従来の免許証との違いをわかりやすく解説

投稿日2025.2.18
最終更新日2025.02.18

2025年3月24日から「マイナ免許証」の運用がスタートします。「マイナ免許証」とは、マイナンバーカードのICチップに、「番号・有効期限・免許の種類」などの運転免許証の情報を記録するものです。新たなカードが発行されるわけではなく、これまでの運転免許証も引き続き使用可能です。

以下では、「マイナ免許証」の仕組みや導入の背景、申請方法などについて詳しく解説します。

マイナ免許証とは?

マイナンバーカードに運転免許証の情報を記録することで一体化させたものを「マイナ免許証」といいます。「マイナ免許証」というカードが新たに発行されることはありません。2022年に道路交通法が改正され、2025年3月24日以降、希望する方は運転免許証の情報をマイナンバーカードに記録できるようになります。マイナンバーカードに記録される情報は「運転免許証の番号」、「有効期限」、「免許の種類」、「眼鏡が必要などの条件」、「顔写真」などです。

これらの情報はマイナンバーカードのICチップに記録されます(マイナンバーカードの券面に免許に関する事項は記載されません。)。

マイナ免許証を導入する背景

「マイナ免許証」が導入された背景には、大きく分けて以下の3つの要因があります。

  1. 行政の効率化・デジタル化

運転免許証とマイナンバーカードを一体化することで、免許証の更新や住所変更などの手続きを簡素化し、行政手続きの負担を軽減することができます。また、カード発行や管理にかかるコストを削減することができます。

  1. セキュリティ強化

マイナンバーカードは、高度なセキュリティ技術が採用されており、偽造が困難です。免許証と一体化することで、偽造免許証による犯罪を抑制することができます。

  1. 国民の利便性向上

運転免許証とマイナンバーカードを一体化することで、カードの枚数を減らし、携帯性を向上させることができます。これらの背景に加え、デジタル社会の実現に向けた政府の取り組みも、「マイナ免許証」の導入を後押ししました。政府は、マイナンバーカードの普及と利活用の促進に取り組んでおり、「マイナ免許証」はその実現に向けた重要な施策の一つと位置付けられています。

マイナ免許証と従来の運転免許証の両方を保有できる

「マイナ免許証」ができると、従来の運転免許証が使用できなくなるのではないかと不安に思われる方もいるのではないでしょうか。実際には、「マイナ免許証」を取得するかどうかは、ご自身で選択することができます。「マイナ免許証」の導入により、これまでの運転免許証が無くなったり、使えなくなったりするわけではありません。

このため、2025年3月24日以降は、以下の3つの免許証の持ち方が可能になります。

① 運転免許証の免許情報が記録されたマイナンバーカード、いわゆる「マイナ免許証」のみを保有すること

② 「マイナ免許証」と運転免許証の双方を保有すること

③ 従来の運転免許証のみを保有すること

※自動車等の運転の際は、免許証又は「マイナ免許証」のいずれかを携帯する必要があります。

マイナ免許証を保有するメリットとは

「マイナ免許証」を保有するメリットは大きく以下の4つがあります。

① 住所・氏名の変更手続がワンストップ化され、市町村に届け出れば警察への変更届出が不要となる

引越しや結婚などで住所や氏名などを変更する場合、これまでは自治体と警察の両方に変更手続きが必要でしたが、「マイナ免許証」のみを保有している方なら、事前手続のうえ自治体に届けを出すだけで済み、警察署への届出は不要になります。なお、事前手続きとは警察署において署名用電子証明書と免許情報を紐付けることと、マイナポータルとの連携手続きを行うことです。

② 更新時講習をオンラインで受講できる

「マイナ免許証」を持っていれば、免許更新のはがきが届いてから更新に行くまでの間、自宅などで好きな時間に更新時講習をオンライン受講できます。ただし、これは無事故無違反の「優良運転者の講習」と、軽微な違反1回のみの「一般運転者の講習」の場合のみです。ご自身がどの講習の対象かは、更新連絡のはがきに記載されています。

③ 居住都道府県外の公安委員会の窓口で行う免許証の更新手続(経由地更新)が迅速化され、経由地更新の申請ができる期間が延長される

住所地以外の都道府県公安委員会を経由した更新の申請手続きを経由地更新と言います。経由地更新によって、長期出張や里帰り出産などで一時的に住所地以外の都道府県に住んでいる人が、今住んでいる都道府県で免許更新することができます。これまでは、誕生日の1か月前から誕生日までの間しかこの手続きをとることはできませんでした。しかし、「マイナ免許証」を保有している場合、誕生日の前後1か月間この手続きが可能になります。また、「マイナ免許証」の書き換えを一時的に住んでいる都道府県の公安委員会で行うことができるので、手続きが迅速化されます。

④ 更新時の手数料などが従来の運転免許証と比べて安い

従来の対面講習の場合、優良運転者で500円、一般運転者で800円の講習手数料が必要ですが、オンライン講習を受講する場合は、講習手数料は一律で200円となります。

また、これまで免許の更新手数料は2,500円でしたが、3月24日以降、更新後の免許証の持ち方によって、更新手数料が変わります。「マイナ免許証」のみを保有する場合は2,100円、免許証と「マイナ免許証」の両方を保有する場合には2,950円、従来の免許証だけなら2,850円になります。

マイナ免許証の申請方法

「マイナ免許証」の申請は

① 免許証更新の際に併せて申請すること

② 他の手続を伴わず、「マイナ免許証」の申請のみをすること

のいずれも可能です。

いずれの方法も、免許センターや警察署での手続きが必要です。詳しくは各都道府県警察のホームページをご覧ください。

マイナ免許証の課題

では、「マイナ免許証」導入にあたってはどのような課題があるのでしょうか。主な課題を以下に解説します。

  1. プライバシーへの懸念

万一、マイナンバーカードの IC チップから情報が漏洩した場合、運転免許証の情報も含まれるため、被害が拡大する可能性があります。また、免許証情報が本来の目的以外に利用される可能性に対する懸念もあります。

  1. システム障害

マイナンバーシステムは大規模なシステムであり、障害が発生した場合、免許証関連の手続きに支障をきたす可能性があります。また、マイナンバーシステムがサイバー攻撃を受けた場合、免許証情報が漏洩したり、改ざんされたりするリスクがあります。

  1. 運用面での課題

マイナンバーカードと免許証の有効期限が異なるため、更新手続きが煩雑になる可能性があります。また、マイナンバーカードを紛失・盗難した場合、免許証も同時に使用不能になるため、不便が生じる可能性があります。

  1. その他の課題

ICカードリーダーなど、新たな設備の導入コストがかかります。また、高齢者などデジタル機器の操作に不慣れな人にとって、「マイナ免許証」の利用が困難になる可能性があります。

マイナ免許証は、国民生活にとって重要な制度です。政府は、国民の懸念や課題に真摯に向き合い、安全・安心な「マイナ免許証」の運用を目指して不安を解消していくことが重要です。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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