
2024年の東京都知事選に出馬したAIエンジニアの安野貴博氏が、2025年夏の参院選比例代表への立候補するとともに新党「チームみらい」を立ち上げ、自らが代表に就任することを表明しました。
安野氏は政治経験がないものの、「デジタル民主主義」の実現を掲げ、東京都知事選挙では約15万票を獲得した実績があります。新しく立ち上げた「チームみらい」では、どのような政策を掲げ活動していくのでしょうか。
本記事では、安野氏の略歴や活動とともに、「チームみらい」の結党理由や主な政策について解説します。
安野貴博氏とはどんな人物?
安野氏の略歴
安野氏は東京都出身で、東京大学工学部にて機械学習を学びました。ボストン・コンサルティング・グループを経て、2016年にはAIチャットボットを開発する株式会社BEDORE(現PKSHA Communication)を、2018年にはリーガルテックのMNTSQ株式会社を創業しました。
また、2015年にはロボット「Pepper」と漫才コンビを組んでM-1グランプリに出場。2度目の起業後はロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに入学し、画像生成AIを活用したアート制作で準修士号を取得しています。また、2021年には長編小説でデビューし、SF作品で複数の賞を受賞するなど、さまざまな領域で活動を行っています。
2024年都知事選挙へ立候補、その後も活動を続ける
安野氏は、2024年6月東京都知事選挙へ立候補しました。出馬のきっかけは、AI技術の進歩により、「テクノロジーの力によって政治システムをアップデートする」という学生時代の野望が実現可能だと感じたためです。
東京都知事選挙では、安野氏のAIアバター「AIあんの」や、SNS上の意見をAIを活用して収集・分析する仕組み、誰もが参加できる政策づくりの仕組みを導入しました。得票数は15万4638票と5位に止まりましたが、AIを活用した新しい選挙戦の形として大きな注目を集めました。
安野氏は選挙後の2024年11月、東京都のデジタル化を推進する一般財団法人GovTech東京のアドバイザーに就任し、デジタルを通じた社会システム変革に携わっています。
新党「チームみらい」とは
「チームみらい」結党の理由
2025年5月、安野貴博氏は政治団体「チームみらい」の設立を発表しました。結党の理由として、安野氏は「今最速で政治をアップデートするには、自ら国政政党を立ち上げることが最適」という結論に至ったと説明しています。既存政党では、良くも悪くも既存の利害関係があるため、自身が考える改革を早いスピードで進められないと判断したとのことです。
「チームみらい」の理念と政策
安野氏は、「テクノロジーで、誰も取り残さない日本をつくること」を党の理念に掲げ、AI時代にふさわしい成長戦略と、変化に迅速に対応できる社会システムの実現が必要だと述べています。
安野氏は、日本の政治や行政が直面している課題として、多くの議員や行政関係者がITを十分に活用できていないこと、熱意ある人材がいても全体として停滞していることなどを挙げ、政治の中枢から本質的な改革を実現することを目指しています。
また、チームみらいが国政政党として要件を満たした後、最初に取り組みたいこととして、「年1億円以上ある政党交付金を用いて、永田町にエンジニアチームを作る」ことを挙げました。
「チームみらい」の今後の政治活動
2025年夏の参議院議員選挙にて選挙区と比例代表を合わせて10人以上の候補者を擁立し、安野氏自身は党首として比例代表から立候補することとしています。安野氏以外の候補者とは、個別に調整を進めているとのことですが、まだ詳細は明らかになっていません。
安野氏は、「チームみらい」が国政政党としての要件(参議院選挙で有効投票数の2%以上を獲得、または所属国会議員5名以上)を満たすために、来たる夏の参議院議員選挙で有効投票数の2%以上(約120万票、日本の人口のおよそ1%)を獲得することを目標に掲げています。また、この挑戦を「1%の革命」と名付け、「1%の新しいことに挑戦する人が世界を変える」という強いメッセージを込めています。
まとめ:「チームみらい」のこれから
30代の党首がゼロから国政政党を設立することは、戦後日本で前例のない取り組みです。安野氏と「チームみらい」が目標を達成できるか、夏の参議院選挙の行方が注目されています。
