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<概要>
5月7日、千葉県の熊谷知事、埼玉県の大野知事、神奈川県の黒岩知事は、盛山文部科学大臣などに対し、「居住する地域にとらわれないこども施策の実現及び税源の偏在是正について」申し入れを行いました。
背景には、東京都と首都圏3県におけるこども施策の地域格差が広がっていることが挙げられます。
近年、財源に恵まれた東京都では、
・高校授業料実質無償化における所得制限撤廃、
・公立学校給食費の無償化、
・0~2歳児の第2子の保育料無償化、
などの施策を独自に行っており、周辺自治体との行政サービスの格差が広がっています。
3県の知事は、自治体の財政状況に起因する行政サービスの地域格差が生じないように、財源面などで国が必要な措置を講じることを求めました。また、行政サービスの基盤になる地方税について、税源の偏在を小さくし、安定的な地方税体系を構築することも訴えました。
<これまでの課題>
ふるさと納税サイトを運営するトラストバンクの調査では、子育て世代の8割が子育て環境に関して地域間格差があると回答しました。また、出産・育児がきっかけとなって引っ越した経験があると答えたのは44.1%となり、引っ越す前の居住地域に対する不満で最も多かった回答は「自治体による交付金・補助金制度」でした。
また、根本的な課題として、都市部と地方における税収の地域間格差が挙げられます。地方法人二税(法人住民税・法人事業税)の税収は、東京都など大企業が集まる都市部に集中しています。2022年度、東京都の地方法人二税の税収は約2兆2,690億円にのぼりましたが、千葉県では約1,769億円、埼玉県では約1,858億円、神奈川県では約3,297億円にとどまりました。
<これまでの取り組み>
- 2023年に閣議決定された「こども未来戦略」において、「国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する」としました。これまで、医療費の増大を警戒する国は、こどもの医療費無償化を行う自治体に対し、国民健康保険の国庫負担を減額する措置を行ってきました。しかし、少子化が進んでいること、ほとんどの自治体でこどもの医療費助成が行われることなどから減額調整措置を廃止しました。
- 地方法人二税の税収偏在是正のため、2019年に特別法人事業税・特別法人事業譲与税が創設されました。これにより、法人事業税の一部を国税化し、国が税・譲与税の形で地方に再分配を行う仕組みが整えられました。
<論点>
- 地域間の行政サービスの格差について、国が財政上の措置などで積極的に関与する必要があるのかが焦点となっています。
- 財源の偏在を国が是正する場合、税法の改正など大掛かりな対策が必要となります。
(参考)
・埼玉県「居住する地域にとらわれないこども施策の実現及び税源の偏在是正に関する国への申入れの結果について」
・総務省「地方法人課税の偏在是正」
・東京都「令和4年度 都税収入決算額について」
・千葉県「令和4年度一般会計決算見込みの概要について」
・埼玉県「令和4年度埼玉県歳入歳出決算の概要(一般会計・特別会計)」
・神奈川県「令和4年度 ⼀般会計・特別会計 決算説明資料 〜グラフでみる決算状況〜」
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参考URL:株式会社PoliPoli|note ニュースレター