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政治ドットコムトピックスコロナ禍で自殺者が12年ぶりに増加 2020年最新動向

コロナ禍で自殺者が12年ぶりに増加 2020年最新動向

投稿日2021.5.24
最終更新日2021.05.24

終わりの見えないコロナ禍のなか、人生に絶望して自ら命を断つ人が増えています。
これまで自殺者数は年々減少していましたが、2020年の自殺者数は12年ぶりに前年より増加。特に10〜20代、女性の自殺が増えています。

コロナ禍が深刻になるのと合わせて自殺者も増

厚生労働省と警察庁が2021年3月に公表した「令和2年中における自殺の状況」で、2020年の自殺者の動向が明らかになりました。
2020年内の自殺者数は全国で21081人となり、前年から912人(約4.5%)増。近年は、毎年前年を下回っていた自殺者数が、増加に転じたのは2009年以来12年ぶりです。
性別で見てみると、全体の2/3にあたる14055人が男性で、女性の自殺者は7026人であるものの、前年の6091人からおよそ1000人の大幅増となっています。

月別の自殺者数では、2020年は10月がもっとも多く2230人。最少は2月の1464人。前年と比較すると、2〜6月で前年を下回り、1月、7〜12月で前年を上回っています。
2020年の春以降、新型コロナの影響が国内にも色濃く出始め、夏以降は秋頃若干落ち着きを見せたものの、おおむね右肩上がりで感染者数が増えていった時期と符合しています。

10〜20代の自殺者が増加

年齢別に前年と数値を比較してみましょう。
前年と比較して、自殺者数が減った年齢層は、50代と60代のみ。その他の年齢区分では軒並み前年と比べて増加しており、特に20〜29歳(19.1%増)、10〜19歳(17.9%増)が目立ちます。

職業別の分類でも「学生・生徒等」の区分の自殺者が前年比17%増、「被雇用者・勤め人」も8.7%増となり、学生世代である10代および、勤労世代であるものの社内での権限がまだ弱い20代が、コロナ禍のなかで精神的に強い負荷を抱えて自殺が増加してしまったことは、職業別の分類でも明らかになっています。
終わりの見えないコロナ禍が、特に若年層に大きな精神的プレッシャーを与えてしまっていることがわかります。

一概には説明できない自殺の理由

公表された「令和2年中における自殺の状況」では、自殺の原因・動機別の一覧も取りまとめられているのですが、同資料内でも再三に渡って「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」と説明されています。
たとえば、「経済・生活問題」や「家庭問題」など、複数の問題が深刻化する中で、うつ病などの「健康問題」が生じて自殺へと至ってしまう、ということは容易に想像されます。
上記にご留意いただいた上で、「原因・動機別」の一覧を見てみましょう。

公表された統計では、「経済・生活問題」は前年からおよそ180人、「勤務問題」も30人、前年と比較して減少しています。一方で300人増加しているのが「健康問題」となりました。

困ったら、悩んだら、まずは相談を

悩みに押しつぶされそうになり、もう死んでしまいたいと感じても、どうか思いとどまってください。
まずは一度、公的な機関も含めて誰かに相談することで、すべての悩みは解決しなくても、突破口は見いだせるかもしれません。
また、ご家族やご友人がいつもと違う言動を見せていたら、それはなにかのサインかもしれません。
ほんの一言でも、声をかけることで最悪の事態を免れることができるかもしれません。

いくつか、公的な機関の相談窓口のリンクをご紹介します。
困ったときに誰かの力を借りることは決して恥ずかしいことではありません。

・厚生労働省相談窓口
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
電話による相談窓口はもちろん、直接電話で話をしたくない方向けにLINEやオンラインチャットを使った相談窓口も開設。

・生活困窮者自立支援制度に基づく自立相談支援機関窓口
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html
働きたくても働けない、住む所がない、などの困りごとがある場合はこちら。相談窓口では一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成し、専門の支援員が相談者に寄り添いながら、他の専門機関と連携して、解決に向けた支援を行う。

・日本司法支援センター(法テラス)
https://www.houterasu.or.jp/index.html
労働問題や多重債務問題など法的トラブルに困ったらこちら。解決に役立つ法制度や、相談窓口を紹介している。

・こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/
専門の相談機関や医療機関のご案内、悩みを乗り越えた方の体験談、心の病や過労死に関する基礎知識、心の健康度や過労の蓄積度を診断するセルフチェックリストなどを紹介。

・暮らしの相談窓口のご案内(内閣府)
https://www.cao.go.jp/soudan/soudan.html
子育てについて、犯罪被害等について、交通事故の被害者やその家族の方で、損害賠償問題、生活福祉問題等でお困りの方からの相談など、日々の暮らしを送る中で直面する悩み事についての相談先をまとめて紹介。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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