政治ドットコムトピックス三大疾病に変化? 脳血管疾患が激減し「○○」が激増

三大疾病に変化? 脳血管疾患が激減し「○○」が激増

投稿日2021.5.26
最終更新日2021.05.26
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

厚生労働省が毎年公表している「人口動態調査」。さまざまな統計のなかに、仕事や年齢、地域別の「死亡者分析」があります。
亡くなられた方々の死因の統計を見ていくと、昨今、死因の上位に変化が見られていることがわかりました。

脳血管疾患を抑えて老衰が3位に

厚生労働省が毎年発表している「人口動態調査」では、、死亡者の分析を行っています。
この統計によると、2019年には全国で約138万人の方が亡くなりました。
内訳を見てみると、死に直結する「三大疾病」と呼ばれる、がん、心疾患(心筋梗塞、心不全など)、脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞など)によって、全体の約半数が亡くなっているのは古くから変わらないものの、ランキングには若干の変化が生まれていることがわかります。


3位に入ったのは「老衰」。脳血管疾患を抑えて上位に躍り出ています。
ここからも、日本の高齢化社会が進んでいることが見て取れます。
逆に、脳血管疾患は全体の約7.7%にとどまっており、5位の「肺炎」(6.92%)とほぼ変わらない割合にまで下がっています。

生計別に見る死因ランキング

公表されている統計では、死亡者の発生した世帯が主に営んでいる生計別に分類がなされています。
「農家」は、農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯。いわゆる生産農家と兼業農家です。
「自営業世帯」は、自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯。個人事業として、これらのサービスを展開している世帯を指します。
「常用勤労者世帯(i)」は、従業員数が1人から99人までの企業、個人商店に勤めている世帯。
「常用勤労者世帯(ii)」は、100人以上の会社に勤務している世帯、100人以上の会社の役員をしている世帯、官公庁などに勤務している世帯です。
「その他の世帯」は、上記に当てはまらない勤労者世帯。たとえば、契約社員や、アルバイトやパートなどです。
「無職の世帯」は、文字どおり仕事をしていない世帯や、年金だけで生活している世帯を表しています。

仕事別に比較してみると、うっすらと傾向が現れています。
「農家」「無職の世帯」でがんの割合が低いのは、老衰で亡くなる方が多いからでしょう。
一方、現役世代を見てみると、「心疾患」「脳血管疾患」ともに、もっとも低いのが「常用勤労者世帯(ii)」。
大会社勤めで、生活も安定しており、人生に対するプレッシャーが、他の分類属性と比較して弱いから、ということかもしれません。
その反面、2019年の統計においては「自殺」がもっとも高い割合となったのも、この「常用勤労者世帯(ii)」になっています。

世相を反映する国民の「死因」

「仕事別」に死因を分析している最古の統計である2001年のデータと2019年のデータを比較してみると、「脳血管疾患」と「自殺」の死亡割合が大きく変わっていることがわかります。
「老衰」はは、2001年にはおよそ13〜15%の割合だったものが、2019年には約7〜8%まで改善されています。
また、「自殺」は「自営業者世帯」、中小企業勤めが中心の「常用勤労者世帯(I)」、フリーターやパートなどを含む「その他の世帯」で、約4%から約2〜3%に下がりました。

2001年当時は「平成不況」と呼ばれた大不況の真っ只中。
経済的に追い込まれた方々が、多く自ら命を絶った時期でもありました。
自殺者数で見ても、2001年の29375人から2019年には19425人に減っています。

一方で、2001年と2019年とで「老衰」を比較してみると、実数にして6倍、割合にして4倍と激増していることがわかります。
2019年の仕事別の老衰割合では、高齢化が進んでいる「農家」と年金世代が大半を占めると考えられる「無職の世帯」で約10%となり、これらの分類では10人に1人が老衰で亡くなっていることになります。

また、「脳血管疾患」で亡くなる方は減っているものの、罹患者数が減っているわけではありませんので、脳血管疾患の死亡割合が改善したということは、疾患を原因とした後遺症を抱えたまま命を永らえたケースが増えた、ということでもあります。
そ之結果、寝たきりとなり最終的には老衰で亡くなる方も増えていることが考えられます。

現代医学の発展は著しいものがあります。
今後、さらなる高齢化社会へと突き進んでいく日本。
「生き方」と合わせて「死に方」についても、より真剣に考えていく必要があるのかもしれません。