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政治ドットコムトピックスこれまで5回あった「幻のオリンピック」を振り返る

これまで5回あった「幻のオリンピック」を振り返る

投稿日2020.12.2
最終更新日2020.12.02

2020年3月24日、新型コロナウイルスの影響で、2020年に開催予定だった東京オリンピックが、1年を目安に延期すると発表されました。
オリンピックの「延期」は1896年の第1回アテネ大会以来、初めての出来事。一方で、中止になったオリンピックは過去に5回ありました。この中止になった幻のオリンピックについて振り返ってみましょう。

中止となった五輪はすべて「戦争が理由」

1916年ベルリン大会

1916年の夏季オリンピックは、ベルリンで開催予定でした。
しかし、当時は第一次世界大戦(1914年7月28日〜1918年11月11日)の真っ最中。ヨーロッパは戦火に包まれオリンピックは中止となっています。
開戦直前の1914年6月13〜14日、パリで第17回IOC総会が開かれました。IOCの創立20年目にあたるこの総会で、オリンピック近代化に向けての重要な決定が下されました。
・国際競技団体の発言力を認める
・女子の参加を認める
・両手投げのやり投げや立ち幅跳びなどが廃止
・水泳の横泳ぎなど新種目が決定
合わせて、ベルリン大会の中止も決定されました。
中止となった1916年ベルリン大会は、20年後の1936年にベルリンで開催されました。このオリンピックは、アドルフ・ヒトラー率いるナチスドイツ主催で行われています。

1940年札幌冬季オリンピック

1940年2月3〜12日にかけて、北海道札幌市で第5回冬季オリンピックが開催される予定でした。
もしこの冬季オリンピックが開催されていれば、日本初・アジア初の冬季オリンピックとなるはずでしたが、日中戦争(1937〜1945年)の影響などにより日本は開催権を返上。開催されることはありませんでした。
日中戦争開戦後、物資や人員の確保、対戦相手である中国の選手の出場問題などを巡って、国内外から反対論が噴出します。これらの反対意見に押され、1938年7月14日に厚生省の会議で開催権返上を決定。翌日の閣議で返上を正式決定しています。
IOCは日本の開催権返上を受けて、スイスのサンモリッツやドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンを開催地に指名しますが、いずれも1939年9月の第二次世界大戦の勃発にともなって、中止となっています。

1940年東京オリンピック

1940年9月21日〜10月6日にかけて、日本の東京府東京市(現・東京23区)で夏季オリンピックが開催される予定でした。
このオリンピックは、欧米以外の有色人種国家で初めて開催されると同時に、アジアで初めて開催される予定の夏季オリンピックでした。
日本においては、「紀元二千六百年記念行事」として準備を進めていました。
しかし、日中戦争(1937〜1945年)などの影響や、物資や人員をオリンピックに割かれることに反対した軍部への配慮から、1938年7月に日本政府は開催権を返上しています。
その後、日本は1960年の夏季オリンピックに東京を開催地として立候補。1964年に無事、「東京五輪」を成功させ、世界に日本の復興を大いにアピールすることになります。
この1964年東京オリンピックが、アジアで初であると同時に、有色人種国家初のオリンピック開催となりました。

■1944コルチナ・ダンペッツオオリンピック
1944年2月には、イタリア王国のコルティーナ・ダンペッツオで冬季オリンピックが開催される予定でした。
第5回冬季オリンピックとして準備が進められていましたが、同年に開催予定だった第13回ロンドン夏季オリンピックと同様、第二次世界大戦の影響で中止の憂き目にあっています。
このコルチナ・ダンペッツオは、人口わずか6000人の小さな町。しかし、登山やウィンタースポーツのメッカとして世界的に知られるリゾート地で、中止となった第5回大会を含めて、これまで冬季オリンピック開催地に3回選ばれています(1944年、1956年、2026年)。2026年に開催予定の冬季オリンピックは、ミラノとコルチナ・ダンペッツオの共同開催で行われます。
なお、第5回冬季オリンピックは、第二次世界大戦終結後の1948年にスイス・サンモリッツで開催されています。

■1944年ロンドンオリンピック
第13回オリンピックは、1944年にロンドンで開催される予定でした。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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