各国で続々とデジタル免許証化が進む
2018年、複数の国でデジタル運転免許証の実証実験が始まったと話題になりました。
アメリカのデラウェア州では、同年にデジタル運転免許証の導入試験がスタートしました。
この試験では、デラウェア州の職員ら200人が「mDL」と呼ばれるデジタル免許証を実際に持ち歩き、従来のカード型免許証のように利用して生活ができるのか、不便な点などはないかを試しました。
この実証実験に先立って、2015年にデラウェア州議会(Delaware General Assembly)がこの実験を行うための法案を上院で採択。無事可決され、3年の準備期間を経て実際に実験が行われています。
この実験では、運転免許証の情報が入ったスマートフォンが盗まれたり、または紛失してしまった時に悪用されるのを防ぐため、指紋認証や顔認証などによる本人確認でセキュリティは強化されているとのことです。
アメリカではデラウェア州のほか、アイオワ州、オクラホマ州、コロラド州、メリーランド州、ワシントンDC、ワイオミング州などでデジタル免許証の実証実験が進められています。
フィンランドでも同様の実験が行われていると報じられました。
フィンランド運輸安全局(Trafi)が開発した、iOSアプリケーションを使い、パスコードを入力するとスマートフォンの画面に免許証が表示できるというもの。
画面上に現れた情報はプラスチック製の免許証と同じ使い方が可能になるため、いちいち免許証の実物を持ち歩く必要がなくなります。
とはいえ、ただの画像では偽造し放題なのでは? と心配になりますが、ご安心を。
このアプリには免許証の画像に特殊な処理を行うプログラムが施されており、表示された画面をタッチすると免許証の背景がぐにゃぐにゃと動くようになっています。また、スマートフォンを回転させるとフィンランド運輸安全局のロゴなどがホログラムのように現れるとのこと。
タッチしてぐにゃぐにゃ動けば本物。動かなければ偽造された偽物、ということですね。
さらにフィンランドのデジタル免許証実験では、簡単に本人の顔写真のアップデートができるようになっていたり、違反した際の履歴なども管理できるようになっているとのこと。
単なる身分証明書の画像化・デジタル化にとどまらない、近未来型のデジタル免許証を模索しています。
タイでは2019年1月から電子運転免許「DLT Smart License」がすでに導入されています。
スマートフォンのアプリに運転免許証を登録すると、スマートフォンでの運転免許証の表示ができるようになっています。
また、アプリの機能で、運転免許証の有効期限を通知したり、過去の交通違反切符情報の表示もできる上に、事故などの緊急事態の際には、位置情報を発信したり、本人の血液型やアレルギーといった医療情報も管理できるとのこと。
今後、日本でも同様の検討や実証実験が行われていくことになるかと思いますが、いかにもな「お役所仕事」ではなく、実際に即した便利なアプリ、運用が行われるよう期待しましょう。