政治ドットコムトピックス2020年唯一の「ビフォー・コロナの世界」 新聞報道から振り返る2020年1月

2020年唯一の「ビフォー・コロナの世界」 新聞報道から振り返る2020年1月

投稿日2021.1.20
最終更新日2021.01.22
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

2020年、新聞は一面の記事で世の中に何を伝えたのか。朝日新聞の一面に掲載された記事から2020年を振り返ります。
1月は、2020年唯一の「ビフォー・コロナの世界」が残っていた時期でした。
中国・武漢で「謎の肺炎」が蔓延していると、ニュースでは知っているものの、多くの日本人にとって対岸の火事でした。
1月、どんなニュースが一面を飾ったのか、見てみましょう。

アメリカ対イラン、中東問題がトップで報じられた

朝日新聞が第 1 面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗 い出して 2020 年を振り返るシリーズ「1 月版」をお届けします。

2020 年 1 月、朝日新聞の一面に掲載された記事に使われた見出し(小見出し含む)にもっ とも多く使われた語句は「米」でした。 当時、アメリカとイランとの対立など中東問題が頻繁に報じられていることがその理由で す。 一面に掲載された見出しを内容別に分類した際の結果でもその傾向が色濃く出ています。 もっとも多く掲載された記事は「中東」関連記事で 27 本。全体の 16.5%を占めています。

謎の症状は「武漢肺炎」と呼ばれていた

朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「1月版」をお届けします。

2020年1月1日、まだ「新型コロナウイルス」は日本にとって対岸の火事でした。
中国国内のインターネット上に「謎の肺炎症状を起こしている患者がいる」と投稿されたのが前年2019年の12月30日。
新型コロナ患者の発生源と考えられている、武漢市当局が「原因不明のウイルス性肺炎が相次いでいる」と発表したのが、翌12月31日のことです。

2020年、朝日新聞紙上に初めてこの「謎の新型肺炎」が登場するのは、1月8日の朝刊。「中国・武漢 原因不明の肺炎 患者50人超 香港でも症状」との見出しで報じられました。
同日夕刊では1面で「武漢肺炎 新型コロナウイルス検出」と報道。以後、中国国内の感染状況が連日報道されるようになります。
1月24日には世界で初めて感染が拡大した中国の武漢が都市封鎖を行うと発表。ただごとではない雰囲気が日本国内にも漂い始めます。
1月29日になってついに、海外への渡航歴のない日本人の感染者が発生。また、武漢在住の日本人の帰国支援が始まり、第1便が1月30日に到着しました。
200人あまりの搭乗者のうち、12人が何らかの症状を訴え入院。翌31日には「症状のない2人」から陽性反応が出ています。

同症状の紙面上の表記にも変遷がありました。
「武漢肺炎」と報道されていた新型コロナウイルスも、中国当局への配慮からから1月20日までに「新型肺炎」と表記が変わり、1月いっぱいまで使われています。

政治家の汚職、ゴーン衝撃の逃亡劇

2020年は「国会議員5人に現金 IR汚職 中国企業側が供述」の見出しから始まりました(1月1日朝刊)。
カジノを含む統合型リゾート事業を巡って、中国企業が日本の国会議員5人に賄賂を贈り、便宜を図るよう依頼したと報じられました。
現金を渡したとされているのは、深センに本拠を構える中国企業の「500ドットコム」。同社は2017年に総額約2千万円を無届けで日本に持ち込み、国会議員らに現金提供したとされています。
本件で名前の上がった国会議員のひとりはその後、1月14日に収賄罪で起訴。同日、「500ドットコム」から講演料や旅費の名目で計約350万円の賄賂を受け取ったとして、収賄容疑で再逮捕されました。

「ゴーン被告レバノンに逃亡 自家用機で関空から 身柄引き渡し困難」、このニュースも同日、驚きを持って報じられました。
ルノー・日産・三菱アライアンスの社長兼最高経営責任者として活躍していたカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で逮捕されたのは2018年11月19日のこと。
約1年にわたって無罪を主張し続ける中、突然の出来事でした。
ゴーン氏の勾留に関しては、国内外から「人質司法だ」との非難も集まり、日本の司法制度のあり方に関しても議論が交わされることになりました。

アメリカとイラクの対立激化

一面に使われた見出しを分節で区切った際、1月でもっとも多く使われた語句は「米」でした。
この「米」はアメリカのこと。1月中に24回使われているのに加えて、「米軍」も加えると、全体で34回登場します。
アメリカとイランの対立は激しく、アメリカは1月3日にはイラクの首都バグダッドの空港で、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官らを乗せた車列を空爆。同司令官を殺害しています。
この事件を受けて朝日新聞は1月4日に「米 イラン司令官殺害 ハイメイ師予告 厳しい報復」と報道。その後の泥沼化を予感させる内容を届けています。
大方の予想通り、1月8日にイランはアメリカ軍が駐留するイラクの基地に弾道ミサイルを発射。トランプ大統領が軍事的な対抗措置を発表するかに思われましたが、同日「軍事的な報復ではなく経済制裁で対応する」と表明。アメリカとイランの軍事的な正面衝突は回避されています。

「中国」の語句は1月中に21回、一面の見出しに使われています。
主な内容は、新型コロナ、IR汚職、台湾の総統選挙に関するものでしたが、そのなかで「防衛・電力・鉄道、情報流出か 三菱電機にサイバー攻撃 中国系組織、関与の可能性高い」と見出しが付けられたニュースがありました。
大手総合電機メーカーの三菱電機が大規模なサイバー攻撃を受け、その影響で機密性の高い情報が大量に外部に流出したのではと報じられたものです。
流出した情報には、防衛省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、原子力規制委員会などの関連文書も含まれているとのこと。
経済的、軍事的にも大きな影響力を持つようになった中国のハッカー集団の手によるものと考えられており、その後も11月20日に同様のサイバー攻撃が三菱電機に行われています。

■■2020年1月の主な朝日新聞の一面見出し

1月8日 「桜を見る会 廃棄記録なし 名簿5年分 指針違反」
1月10日 「武漢肺炎 新型コロナウイルス 検出」
1月15日 「秋元議員再逮捕 さらに350万円収賄容疑」
1月16日 「河井前法相夫妻疑惑語らず」
1月18日 「伊方原発運転差し止め 活断層の調査不十分」
1月22日 「複数のハッカー集団攻撃か 三菱電機いずれも中国系」
1月24日 「新型肺炎 武漢封鎖 中国拡大阻止へ強硬策」
1月28日 「武漢の邦人きょうにも帰国 新型肺炎指定感染症に」
1月29日 「渡航歴ない日本人新型肺炎 ツアーバス運転 初の二次感染」
1月30日 「武漢から第1便 206人帰国 12人入院 191人ホテル待機」
1月31日 「症状ない帰国者2人感染 新型肺炎 厚労省想定外」