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政治ドットコムトピックス東京五輪、延期が決定 新聞報道から振り返る2020年3月

東京五輪、延期が決定 新聞報道から振り返る2020年3月

投稿日2021.1.20
最終更新日2021.01.22

2020年、新聞は一面の記事で世の中に何を伝えたのか。朝日新聞の一面に掲載された記事から2020年を振り返ります。
3月、国内での感染者数が全国で1000人を超えました。
詳しい症状も、予後もどうなるのかわからない未知のウイルスへの恐怖感は日に日に強まり、街中からマスクやトイレットペーパーが消え失せました。
3月29日には志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎によって死去。政府や知事らからの自粛要請も相まって、屋外を出歩く人の数が激減します。

世界の感染者数、わずか一月で7倍増

朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「3月版」をお届けします。

3月1日から3月31日まで、朝日新聞の朝刊・夕刊の一面に掲載された記事の見出し(小見出し含む)をジャンル別に分類したところ、全体の36.6%が新型コロナウイルス関連の記事となりました(全70本)。
急上昇したのは「五輪」に関連する記事。2月には1本だったものが17本(全見出しの12.0%)と急増しています。
すでに2021年に延期が決まっている東京五輪ですが、3月上旬から中旬にかけては2020年夏に開催する予定で事態は推移していました。

3月9日の朝刊「一山V、五輪内定 マラソン、大迫も」といった記事はもちろん、当時の安倍晋三首相も3月17日、主要7カ国(G7)首脳によるテレビ会議後、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして完全な形で実現するということについてG7の支持を得た」と会見で発言するなどしています。
事態が変わったのは3月24日のこと。
当時の安倍晋三首相とIOCのバッハ会長が電話会談を行い、1年程度の延期を検討することで合意。2021夏までに開催することを目指すことになります。

一方で、国内の新型コロナウイルス拡大は留まるところを知らず、3月4日には政府が国内での緊急事態宣言発令の検討に入ったことが報じられました(3月4日朝刊)。

また、同3月4日には新型コロナウイルスの国内での感染者が1000人を超えたのと合わせて新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が報じられ、法律の対象に「新型コロナウイルス感染症」を追加する概要が明らかになっています。
3月13日の参院本会議では改正特措法が賛成多数で可決、成立。これによって、首相が「緊急事態宣言」を出すことができるようになりした。

経済へのダメージも大きく、3月9日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株平均が史上最大の2013ドル安の急落、10日の東京株式市場では日経平均株価が一時、1万9000円を割り込んでいます。

マスクやトイレットペーパーの買い占め・転売が問題視されるようになったのもこの時期です。
マスクに注目が集まるようになったのは1月中旬から。
中国国内でのマスク不足から、中国人が日本国内でマスクを買い占める姿が見受けられるようになります。
2月上旬に入ると、国内のコンビニや飲食店の従業員がマスクを着けるようになり、徐々に品薄感が蔓延し始めます。

品不足を受けてマスクがオークションやインターネット上の転売サービスで高値で取引されるようになると、店頭からマスクが一斉に消え失せてしまいます。
やがて、ドラッグストアに早朝から並んで開店と同時にマスクを買い占める高齢者も現れ、マスク恐慌とも言うべき騒動が起こってしまいます。

このような状況から、政府は3月10日の閣議で新型コロナウイルスの感染拡大で品薄になっているマスクについて転売を禁止することを正式に決定。15日からネット上の取り引きを含めて禁止となりました。

世界の感染者数の増加は歯止めがかからず、3月8日の報道で「10万人超」、3月19日段階で「20万人超」と倍増。その6日後の25日にはさらに倍の「40万人超」と、ネズミ算式に拡大していきます。
3月30日には「70万人超」となり、わずか1ヵ月で7倍となっていることが報道から分かります。
さらに9ヵ月後の12月21日、世界の感染者数は「7670万人」となっています。

ドリフターズのメンバーとして活躍後、コメディアンとして第一線で活躍を続けた志村けんさんが新型コロナに罹患したと発表されたのは3月25日のことでした。
入院後、治療が続けられましたが、3月29日に死去。
このニュースがもたらした衝撃は大きく、それまでどこか他人事に感じられた新型コロナウイルスの恐ろしさを、我が事として捉えるようになった人も多かったのではないでしょうか。

政府や知事からの外出自粛要請も頻発されるようになり、都心の繁華街でも出歩く人が激減します。
また、5都県の知事が共同で移動自粛も要請、生活が徐々に、しかし確実に変わっていきました。

■■2020年3月の主な朝日新聞の一面見出し
3月5日 「バイデン氏復活、9州制す サンダース氏と一騎打ちへ スーパーチューズデー」
3月6日 「中韓から入国制限強化」
3月6日 「市場大荒れ NY急落969ドル安 東証も下落」
3月10日 「ダウ急落 新型コロナ 拡大 東証2万円割れ」
3月10日 「プロ野球 開幕を延期 東日本大震災以来」
3月14日 「緊急事態宣言 可能に 新型コロナ改正特措法成立」
3月17日 「障害者19人殺害 死刑判決 やまゆり園事件 責任能力認定」
3月17日 「ダウ 史上最大3000ドル急落 東証は乱高下」
3月25日 「五輪延期 1年程度 首相 IOC会長 合意」
3月26日 「東京 外出自粛を要請」
3月27日 「首都圏一円 移動自粛 5都県知事が共同要請」
3月31日 「五輪 来年7月23日開幕決定 IOCと組織委合意」
3月31日 「志村けんさん死去 新型コロナで肺炎」

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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