「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムトピックス緊急事態宣言によって人出が急減 新聞報道から振り返る2020年4月

緊急事態宣言によって人出が急減 新聞報道から振り返る2020年4月

投稿日2021.1.20
最終更新日2021.01.22

2020年、新聞は一面の記事で世の中に何を伝えたのか。朝日新聞の一面に掲載された記事から2020年を振り返ります。
4月、感染拡大が収まらないことから政府は7都市圏を対象に緊急事態宣言を出しました(後に全国に拡大)。
外出自粛が叫ばれる中で、テレワークが拡大。新たな巣ごもり需要が広がっていきます。
所得制限のない一律10万円を全国民に給付する「特別定額給付金」も決定しています。

一面に載った記事の65%が新型コロナ関連

朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「4月版」をお届けします。

2020年4月、朝日新聞の見出しに使われた語句の上位10個を見てみると、そのうち9個が新型コロナウイルスを連想させるものになっていきます。
また「都」「県」など、前月まで使われてこなかった語句がランクインするようになり、新型コロナウイルスに対する関心が「日本国内で何人」という国単位から、都や県といった地域単位に細分化していったのがこの時期と言えそうです。

一面に掲載された記事がどのような内容のニュースだったのかを分類した一覧を見てみると、全記事の65.8%が「新型コロナウイルス」に関連するものになっています。


1月が12.2%、2月が34.0%、3月が36.6%だったものが、およそ2倍に急増しました。
「海外では路上の歩行者が突然倒れてそのまま亡くなった。新型コロナのせいらしい」「感染すると肺が真っ白になり後遺症がひどいらしい」といった、未知のウイルスに対する真偽不明の噂も含めて、恐怖感がピークに達した時期とも言えそうです。この不安感の拡大は、3月末に新型コロナウイルスによる肺炎によって亡くなった志村けんさんの影響もあるかもしれません。

緊急事態宣言によってテレワークが拡大

4月5日、東京都では143人の感染者が確認され、都道府県別では初めて累計の感染者数が1000人を超えます。
感染が拡大していくことを受けて、当時の安倍晋三首相は4月6日の夕方に政府対策本部で緊急事態宣言に踏み切る意向を固めたと報じられました(4月6日夕刊)。
翌7日、特別措置法に基づいて東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7つの都市を対象に緊急事態宣言がなされました。
宣言を受けて、1月の中国・武漢の都市封鎖を皮切りに、世界各国では住民の外出や移動、店舗の運営などを強制力をもって禁止する、いわゆる「ロックダウン」が行われるのではないかと認識する人も多く存在しました。
当時の安倍晋三首相は、この不安を打ち消すために「緊急事態を宣言しても海外で見られるような『都市封鎖』を行うものではない」「公共交通機関などの経済活動は継続する」「『密閉』、『密集』、『密接』を防ぐことで、感染拡大を防止していく対応に変わりはない」と、繰り返し会見で語りました。
宣言をきっかけにテレワークを導入した企業も増え、緊急事態宣言から1週間の都内の人出は平均で4割減少しています。
テレワークの拡大に伴って、パソコンやスマートフォンを活用したビデオ会議のニーズも急増。
大手ビデオ会議システムのひとつ「Zoom」を提供する「Zoom Video Communications」の株価が高騰すると同時に、同名他社の株も急騰。アナリストが「間違って買われている」と分析する珍事も起こりました。

外出自粛が叫ばれる中、自宅にこもるために買い占めが行われ、一時、トイレットペーパーなどの日用品や卵などの食料品とともに、なぜかホットケーキミックスや納豆が品薄となったのもこの時期です。

「所得制限なしで10万円給付要請」との記事が掲載されたのは4月15日の夕刊のことです。
当時の安倍晋三首相が15日午前、公明党の山口那津男代表と会談。山口代表からの「所得制限なしの10万円給付の実現」を要請されます。
その後、4月20日に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の一施策として閣議決定されました。

バイデン氏が大統領候補に一本化

世界に目を向けると、4月8日、民主党の大統領候補のひとりだったサンダース氏が大統領選から撤退。民主党の候補はジョー・バイデン氏に一本化されました。
この後、2020年の大統領選挙をトランプ氏と争い、最終的にバイデン氏が勝利することになります。
一方のトランプ氏は4月14日、WHOの対応が「中国寄りだ」として、資金拠出を停止することを決定しました。

新型コロナウイルスの影響は世界の経済にも影響を及ぼし、4月20日のニューヨーク商業取引所では、原油価格が1バレル=マイナス37・63ドルと、史上初めてマイナスとなり話題を集めました。
マイナス価格ということは、原油の売り手が、通常とは逆に「買い手にお金を払って引き取ってもらうこと」を意味します。
新型コロナウイルスの感染拡大によって石油の需要が急減し、原油供給が過剰に。そのために原油を貯蔵するスペースが限界に達したことが原因だと言われています。

■■2020年4月の主な朝日新聞の一面見出し
4月2日 「突然、布マスク2枚 全世帯のポストへ」
4月8日 「緊急事態宣言 7都府県対象」
4月9日 「民主候補 バイデン氏 米大統領選 サンダース氏 撤退」
4月11日 「図書館 体育館 パチンコ バー カラオケ 都 きょうから休業要請」
4月12日 「出勤者7割減要請へ 首相」
4月14日 「ソフトバンクG 1.3兆円赤字 コロナ影響 投資先の価値激減」
4月15日 「WHOへ 拠出停止 トランプ氏 指示」
4月16日 「国民一律10万円検討 コロナ対策 首相」
4月17日 「緊急事態宣言 全国に拡大」
4月21日 「NY 原油価格初のマイナス コロナで需要急減」
4月29日 「コロナ 危険 疑心デマ増幅」

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。