前月から半減するもコロナ関連記事が3割強
朝日新聞が第1面でどのようなニュースを報じてきたのか。全見出し(小見出し含む)を洗い出して2020年を振り返るシリーズ「7月版」をお届けします。
7月に入っても依然、新型コロナウイルスへの関心は高く、「コロナ」「感染」「拡大」「感染者」といった語句が上位に並びます。
5月25日の緊急事態宣言解除後、感染者数はふたたび上昇トレンドに乗り、7月に入ると東京都を中心に感染が再拡大していきます。
連日、最多感染者数を更新する東京都についての記事も増加し、一面の見出しには「東京」の語句が25回登場しています(都知事選等、別の記事も含む)。
7月3日から31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方などで発生した集中豪雨についての報道も多くなされました。
7月3日から4日にかけての豪雨によって、熊本県では球磨川が氾濫。
さらに6日には福岡県大牟田市で、3時間で252ミリという「経験したことのない雨量」を観測するなど、未曾有の被害を受けました。
8月末時点において、全壊319棟、半壊2009棟、死者数82人を出す大災害となりました。
朝日新聞の一面に掲載された記事の割合を見てみると、依然「新型コロナウイルス」に関する記事が32.6%と最多(57記事)。続いて、「経済」関連の記事が続きます(22記事)。
7月16日の夕刊では「中国 GDP3.2%増 プラス成長転換」との見出しの記事が出た反面、7月31日の朝刊では「米GDP 年32%減 4〜6月期 コロナ最大の下落」とのニュースも報じられ、コロナ禍において米中の明暗がくっきり分かれることとなりました。
7月5日に行われた東京都知事選挙では、事前の予想通り現職の小池百合子氏が圧勝。番狂わせもなかったことからか、都知事選についての記事が朝日新聞の一面で取り上げられたのは1回だけでした。
紆余曲折を経てGoToキャンペーンスタート
7月10日、「GoToキャンペーン」が22日から一部を先行して始めると発表されました。
しかし、東京都の感染者数が拡大傾向にあることを受けて、東京都民と都内への旅行を対象外とすることが正式に発表されました(7月17日朝刊「GoTo 東京を除外 政府 全国一律から転換 22日開始は変えず」)。
ここで問題になったのが、キャンセル料を誰が払うのか、という点でした。
7月17日段階ではキャンセル料は旅行を予約した方々の自己負担=政府は補償しないという方針でした(7月18日朝刊「感染対策応じぬ客、除外も GoTo「若者・高齢者団体は控えて」キャンセル、政府補償せず」)が一転、7月21日に政府として補償すると発表されました(7月20日夕刊「東京除外 旅行キャンセル料補償へ」)。
さまざまな紆余曲折を経て7月22日から始まった「GoToキャンペーン」。
批判もされましたが、7月22日から11月15日の期間中、少なくとも利用人泊数は約5260万人泊、宿泊・旅行代金の割引は約2590億円に上ったと、12月3日に観光庁が発表しています。
明るいニュースもありました。
将棋の藤井聡太七段が、7月16日に行われた「第91期棋聖戦五番勝負」の第4局で渡辺明棋聖に勝利。棋聖位を奪取しました。
17歳11カ月での獲得は史上最年少記録。すでに幅広い人気を集めていた藤井七段でしたが、さらなる脚光を浴びることになりました。
全国の1日あたりの新型コロナウイルスの感染者数が初めて1000人を超えたのは7月29日のことでした(7月30日朝刊「感染、初の1000人超 岩手で初確認・大阪など9府県最多」)。
この日まで、長く感染者ゼロを続けていた岩手県で初めての感染確認がなされたことも話題を集めました。
初めて2人の感染者を出した岩手県。
うち1人が勤務する岩手県内の企業は、発表の数時間後に「感染した社員は判明直前は外勤業務ではない」とホームページで公表、問い合わせ先に掲載しました。
住民の不安を取り除き、個人情報を探る動きから守ろうとの意図からでした。
しかし、公表後の2日間で「どこの部署の誰だ」「解雇しろ」など、苦情や中傷の電話、メールが約80件送られたとのこと。
感染者への誹謗中傷やプライバシー侵害が問題となっていきます。
■2020年7月の主な朝日新聞の一面見出し
7月1日 「香港国家安全法が施行 一国二制度骨抜き 中国直接介入可能に」
7月5日 「熊本で豪雨 15人心肺停止 球磨川氾濫 老人ホーム水没」
7月8日 「豪雨被害 九州全域に 死者56人 142万人に避難指示」
7月8日 「米 WHO脱退を国連に正式通知」
7月9日 「河井前法相夫妻起訴 東京地検」
7月17日 「藤井七段 最年少タイトル 17歳11カ月棋聖に」
7月21日 「GoTo キャンセル料補償へ」
7月22日 「GoTo 見切り発車 きょう開始」
7月30日 「感染 初の1000人超」