政治ドットコムトピックス「県民所得」がもっとも少ない県はどこ? 県民所得ランキングワースト10

「県民所得」がもっとも少ない県はどこ? 県民所得ランキングワースト10

投稿日2021.5.26
最終更新日2021.05.26
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

内閣府が毎年公開している「県民所得」を、昭和30年度(昭和55年)から平成29年度(2017年)まで徹底調査。戦後の62年間、日本で「もっとも県民所得の少ない県」「もっとも県民所得が増加しなかった県」をご紹介します。

県民所得とは?

県民所得とは、県民経済計算の「生産・分配・支出」の三面のうち,分配面で計算したものです。
給料や退職金などにあたる雇用者報酬、利子や賃貸料などの財産所得、会社や自営業の営業利益にあたる企業所得からなり、県民個人の所得(給与)だけではなく企業の利潤なども含んだ「県民経済全体の所得」を表しています。

内閣府で公開している「県民経済計算」において、もっとも古い統計は昭和30年度(1955年)のものです。
昭和30年度、全都道府県の県民所得を合計した額は、約7兆3000億円でした。
それから62年後の平成29年度(2017年)では418兆6200億円と、その額は57.3倍に達しています。

県民所得ワースト勢の顔ぶれはほぼ変わらず

昭和30年度の県民所得ワースト1位は沖縄県の約384億円。1県あたりの平均値である約1553億円に大きく水を開けられています。
当時、沖縄県はアメリカの占領下にあり、昭和47年(1972年)に日本に返還されるまで「海外」でした。
全体の順位を見てみると、鳥取県や島根県といった山陰地方、徳島県や高知県などの四国地方といった西日本の各県が多くクランクインしています。
太平洋戦争の終戦からわずか10年。地方はいまだ経済的に復興はしておらず、苦しい生活が続いていたということかもしれません。

西日本が東日本に比べて県民所得が低い傾向なのは、62年後の平成29年度調査でも変わりません。
ワースト1〜2位を占めるのは鳥取県、島根県の山陰地方。人口も少なく、産業も発達しづらい土地柄、なかなか県民所得も増えにくい状況です。
高知県、徳島県も昭和30年度調査から引き続いてランクインしています。
平成29年度当時、1県あたりの平均県民所得は約8兆9千億円。ワースト10に入っている各県は、平均と比べて1/6〜1/3程度の規模となっています。

沖縄県の成長と秋田県の衰退

昭和30年度から平成27年度まで、10年区切りで県民所得ワースト10位を定点観測してみましょう。
その結果、約60年間にわたって概ねその顔ぶれは変わらない結果となりました。
鳥取県、島根県、山梨県、徳島県、高知県、福井県、宮崎県、佐賀県これらの県は、半世紀以上にわたって県民所得の下位に低迷しています。
昭和30年度、40年度の調査で47位、46位と低迷した沖縄県は、昭和47年の日本返還後以降、着実に順位を上げていき、昭和50年度には40位、昭和60年度には39位、平成7年度には38位となり、平成17年度以降はワースト10圏内には入っていません。

代わりに平成17年度、27年度調査で顔を見せたのが秋田県です(17年度:38位/27年度:40位)。
人口減少と少子高齢化が進行し、地域によっては集落機能の維持に影響が出始めているのではといわれる秋田県。現在、県を挙げて景気改善に取り組んでいます。

トップの約半分となった増加率

昭和30年度と平成29年度で比較すると、各都道府県の県民所得はどれくらい増えたのか。
全国平均を見ると、この62年間で57.3倍に増加しました。

では、「この62年間でもっとも増えなかった県ワースト10」はどうなっているのか。
1位は秋田県で28.4倍。全国平均の半分以下にとどまりました。
続くのは、佐賀県、島根県、長崎県、鳥取県の山陰&九州地方の各県。それぞれ30倍前半となっています。
「もっとも増えた県」のトップは埼玉県で実に131.3倍。続く千葉県、神奈川県もそれぞれ100倍以上の数値を叩き出しており、やはり戦後の日本は大都市・東京を中心に経済が発展していったことがよくわかります。

試練が続いた平成時代

前年と比較してどれほど県民所得が増加(または減少)したのか。対前年比の増加率がもっとも高かったのは、昭和48年度の沖縄県で44.8%でした。
昭和47年5月に沖縄県が日本に返還されたことで一大沖縄ブームが到来。その結果を受けてのことと考えられます。
逆に、「もっとも県民所得が減少した」のはいつ、どこだったのか。
減少率の大きかった年度ワースト10を見てみると、平成20年度〜21年度に集中していました。
平成19年(2007年)、アメリカの住宅バブル崩壊をきっかけにサブプライム住宅ローン危機が勃発。日本もその煽りを受け、大きく景気が減退していきました。その影響が、露骨に数字に現れています。

平成20年度の愛知県では県民所得が前年比-12.5%も減少。富山県、茨城県、三重県も20年度、21年度のどちらかで10%以上の減少となっています。
全都道府県の平均値でみても、平成20年度は-6.0%、続く21年度は-4.4%となり、この2年間でいかに日本経済が大きなダメージを被ったかがわかります。
また、年度別の県民所得増加率ワースト10はすべて平成期が並び、とくに平成9年(1997年)から平成23年(2011年)まで、長く不況が続いたことがわかります。
さらには平成23年には東日本大震災が起こり、多くの方が亡くなるなど、この時期は日本にとって試練が数多く続きました。