政治ドットコムトピックス「一人当たりの県民所得」がもっとも少ないのはどこ? 過去60年間の県民所得ランキング

「一人当たりの県民所得」がもっとも少ないのはどこ? 過去60年間の県民所得ランキング

投稿日2021.5.26
最終更新日2021.05.26
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

内閣府が毎年公開している「県民所得」を、昭和30年度(昭和55年)から平成29年度(2017年)まで徹底調査。戦後の62年間、日本で「もっとも一人当たりの県民所得の少ない県」「もっとも一人当たりの県民所得が減少した県」をご紹介します。

一人当たりの県民所得、60年の概況

「一人当たりの県民所得」 とは、雇用者報酬のほかに財産所得や企業の利潤など、県民や県内の企業などが得た所得の合計を県の総人口で割ったものです。
個人も企業も合わせた県民経済全体の所得を、県民の総人口で割っていますので、「県民一人の所得水準」を表すものではありませんが、都道府県別にどれほど経済が活性化しているか、ひとつの指標にはなるでしょう。

現在、内閣府が公開している昭和30年度(1955年)から平成29年度(2017年)までの62年間の、一人当たりの県民所得増減率(前年比)を通して見てみると、昭和30年代から一貫して10%以上の増加を続け、昭和48年度(1973年)のオイルショックによる狂乱物価の影響を受けた27.2%増をピークに、以後は徐々に増加率は抑えられていきます。
平成に入っても平成4年度(1992年)までは1.0〜7.0%台で増加していきますが、平成5年度(1993年)にはついに-0.3%とマイナスに。翌平成6年度(1994年)は0.4%増と盛り返しますが、平成9年度(1997年)〜平成11年度(1999年)まで3年連続で減少していきます。
そして迎えた平成20年度(2008年)、前年に起こったアメリカの住宅バブル崩壊をきっかけにサブプライム住宅ローン危機に日本経済も大打撃を蒙り、-6.0%の過去最大の減少を見せています。
翌平成21年度(2009年)もその影響は残り、-4.3%となりますが、以後はその割合は小さいながらも微増を続けています。

60年前の鹿児島の、一人当たりの県民所得は約124万円

昭和30年度(1955年)当時、もっとも「一人当たりの県民所得」が少なかった県ワースト10をご紹介します。
1位は鹿児島県。一人当たり4万9000円でした。
昭和30年当時、高卒者の公務員の初任給は月額5900円でした。
令和2年(2020年)では月額15万600円ですから、その差は約25.5倍。
4万9000円を現在の貨幣価値に近づけるために25.5倍してみると、124万9500円となります。

この金額は「個人の収入」ではなく、その県で活動している企業の生み出した価値も含まれていますから、実際の県民の収入はさらに低かったことになります。
同じく2位以下に同様の計算を当てはめてみると、宮崎県では約135万円、岩手県は約140万円、山梨県は約145万円、青森県は約153万円となります。
62年後の平成29年度(2017年)のワースト10を見てみると、沖縄県を筆頭に、宮崎県、鹿児島県、長崎県、熊本県、佐賀県と、九州の各県が目立ちます。
これら10県は軒並み200万円台中盤となっており、1位の東京都の約542万円のおよそ半分にとどまっています。

一人当たりの県民所得ワースト1位はすべて九州の県

昭和30年度から平成27年度(2015年)まで、10年区切りで一人当たりの県民所得ワースト10を比較してみましょう。
すべての定点において、九州の県が1位となっています。
昭和30年度から50年度(1975年)までは鹿児島県。昭和60年度(1985年)の宮崎県をはさみ、平成期は沖縄県が1位となりました。
これらの九州勢以外も、東京都や大阪府といった大経済都市圏から遠く離れた地方都市が多くランクインしています。
平成27年度のトップ、東京都の約553万円と比較すると、ワースト10の各県はいずれもダブルスコアをつけられている状態です。

昭和30年度と平成29年度を比較して、どれだけ一人当たりの県民所得が増えたのか、その倍率を出してみました。
もっとも増えたのは山梨県で52.2倍。5万7000円から297万円に増えました。
一方、ワーストだったのは兵庫県で、昭和30年度に10万3000円だったものが、平成29年度には296万円と28.8倍に。
これだけ見ると大変成長したようにも見えますが、昭和30年度の「10万3000円」に、先述の25.5倍を掛けて現在の貨幣価値に近づけてみると約262万円。
約60年で30万円程度しか増えていないことになります。
同様にワースト2位の大阪府、同3位の北海道、同4位の奈良県は、その差約40万円。ワースト5位の京都府は約70万円となります。

平成20〜21年の大不況が日本経済に与えたダメージ

一人当たりの県民所得大きく減少したのは、平成20年度(2008年)から平成21年度(2009年)にかけての2年間です。
この時期、平成19年(2007年)にアメリカの住宅バブル崩壊をきっかけにサブプライム住宅ローン危機が勃発。日本はその煽りを受け、大きく景気が減退していきました。その影響が、露骨に数字に現れています。

愛知県では平成20年度に前年比で-13.1%。富山県、茨城県では翌平成21年度にそれぞれ−11%の減少となっています。
全国平均で見てもこの2年間で日本経済が被った打撃は過去60年間で経験したことのないほどのダメージで、年度別の一人当たりの県民所得減少率ワースト1位・2位を占める結果となっています。

同指標のトップ10とワースト10を比較してみると、昭和40年代に一人当たりの県民所得は10%後半から20%台で伸長した一方、平成10〜20年代に減衰していったことがわかります。
以下に、平成期の不況が長く厳しいものだったか、数字からも伝わってきます。