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政治ドットコム政治用語「2馬力選挙」とは?概要や問題点をわかりやすく解説

「2馬力選挙」とは?概要や問題点をわかりやすく解説

投稿日2025.2.25
最終更新日2025.02.25

2024年兵庫県知事選挙で問題視された当選の意思のない候補者が他の候補者の当選を目的として立候補する「2馬力選挙」について、この手法が公職選挙法と整合するのかどうか、議論が巻き起こっています。

以下では、2馬力選挙の概要、問題視された背景、そして議論されている対応策について詳しく説明します。

1.2馬力選挙とは?概要と問題視された背景

2馬力選挙とは、特定の候補者の当選を後押しするために、当選の意思がない候補者が立候補する手法を指します。この手法が2024年兵庫県知事選において斎藤現知事の当選に影響を与えた可能性が指摘されており、公職選挙法に違反する恐れがあるとして問題視されています。

具体的には、通常の選挙では候補者が限られた選挙資源を活用しますが、2馬力選挙では支援する候補者も同じ名前を連呼できるため、結果的に2倍の宣伝効果が生まれます。また、資金力のある人物が同様の候補者を複数擁立すれば、公平性が損なわれるリスクがあると指摘されています。

この動きは、斎藤知事の当選という結果に追い風となった影響が指摘されているほか、単なる支持表明ではなく、このような立候補方法が特定候補に過度な優位性を与え、公職選挙法に反する可能性があるとして問題視されています。

さらに、この手法が許されれば、特定の候補者を有利にするための意図的な立候補が増え、選挙戦の公平性が崩れる懸念もあります。これらの指摘を踏まえると、2馬力選挙は単なる選挙戦略の一手法にとどまらず、選挙の公平性そのものを揺るがす重大な問題であるといえます。

参考:朝日新聞テレ朝NEWS

2.2馬力選挙に対する政界の反応

こうした問題に対して、政界からも懸念の声が上がっています。2025年2月4日の衆議院予算委員会において、石破茂首相は「2馬力選挙はどう考えてもおかしい」と述べ、「法改正をはじめ、誰もが納得する選挙運動のあり方の確立は喫緊の課題だ」と発言しました。

また、2月14日に行われた公職選挙法改正に向けた協議会では、自民党が提出した改正案に、2馬力選挙を念頭に「必要な措置を講じる」と明記されました。今後、各党の党内手続きを経て、国会へ提出される見通しです。さらに、夏の東京都議会選挙や参議院選挙からの適用を目指す考えも示されており、2馬力選挙の規制に向けた法整備の議論が加速しています。

引用:朝日新聞

参考:NHK

3.2馬力選挙の規制の難しさ

一方で、法改正の難しさについても議論されています。その一つとして、2馬力選挙が行われた場合、誰が違反者に該当するのかという問題があります。兵庫県知事選の事例では、2馬力選挙を主導した立花氏が違反者として処罰されるべきなのか、あるいは支援を受けた斎藤元彦知事が責任を負うべきなのか、または両者が関与していると見なされるべきなのか、法的に明確な線引きが難しいという指摘があります。

さらに、規制を強化することで、正当な選挙活動の自由が損なわれる可能性も懸念されています。選挙活動の自由を守りつつ、公平性を確保するためには、どのようにバランスを取るべきかが大きな課題となっています。過度な規制が行き過ぎれば、候補者の表現の自由が制限されてしまうため、慎重な議論と法整備が求められます。

参考:テレ朝NEWS

まとめ

当選の意思のない候補者が他の候補者の当選を目的として立候補する「2馬力選挙」の問題は、単なる選挙戦術にとどまらず、選挙の公正性そのものに関わる重大な課題であることが浮き彫りになりました。今後、公職選挙法の改正が進み、公正な選挙を確保するための新たな枠組みが整備されることが期待されます。私たち有権者も、法改正の行方を見守り、今後の選挙に向けた議論の動向に注目していくことが重要です。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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