鹿児島県鹿児島市は全国でもっともガソリンが高い
総務省統計局が取りまとめている「小売物価統計調査」が公表されました。
本調査には、都道府県の県庁所在市および人口15万人以上の市の平均ガソリン価格も含まれています。
2021年3月の調査結果から、都市別のガソリン小売価格を見てみましょう。
もっとも平均価格が安い市は、愛知県豊橋市で1リットルあたり138円。続いて、宮城県仙台市、千葉県浦安市が140円となっています。
トップ10を見てみると、最安値の138円からもっとも高くても142円まで。140円台前半でトップ10の座を競っていることがわかります。
一方、もっとも平均価格が高い市は、鹿児島県鹿児島市で1リットルあたり170円。最安値の愛知県豊橋市と比較すると、その差はなんと32円にも及びます。
全国で170円台を記録しているのはこの鹿児島市だけ。
2位の山形県山形市は11円も下がって159円。3位の大分県大分市は156円となっています。
2016年に大幅下落した価格もすぐに元通り
この「小売物価統計調査」内の「『ガソリン』の都市別小売価格」は、2010年3月から毎月公表されています。
最古の統計である2010年3月から、毎年3月の平均価格はどのように推移しているのか、グラフで見てみましょう。
2010年3月には1リットルあたり130.04円だったガソリン価格は、翌年、約17円も高騰し147.56円となります。
2011年3月といえば、東日本大震災が起こった月。前月の2011年2月の全国の平均価格は138.2円でしたので、この震災の影響でガソリン価格が急騰したことが考えられます。
東日本大震災からの復興を進めていた2012年以降も、ガソリン価格は値上がりを続けていきます。
2012年3月に154.53円と150円を突破するとそ之勢いは止まらず、2013年3月には155.40円、2014年3月には158.53円を記録しています。
値上がりはとどまるところを知らず、2014年8月には1リットルあたり169円にも達しました。
これは、同年4月の消費税増税と温暖化対策勢によるダブル増税が直撃し、1リットルあたり約5円の値上げとなったことが影響しています。
2015年3月になるとやや価格上昇に歯止めがかかり、140.32円まで下落。
すると、2016年3月には突然111.14円と前年比で約30円も安くなりました。
なぜガソリン価格が下がったのか。
一番の理由は当時、原油価格が下落したことと言われています。
1バレル100ドルを超えていた原油価格が、2016年には20ドル台にまで下落しました。
下落の原因は、2015年に約200万バレル/日に達したとされる、世界的な原油の供給過剰感にあると言われています。
原油価格の下落も落ち着きを見せた2017年以降は、2017年が133円台だったものの、2018年以降は140円台で推移しています。
いまだ半数以上の新車が「ガソリン車」
2020年12月、政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環で、2030年前半にガソリン車の販売を禁止すると発表されました。
とはいえ、2021年3月に販売された乗用車のうち、ガソリン車はいまだ52.2%を占めており(一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」より)、ガソリン価格は生活に密着しています。
2021年現在、ガソリン価格には1リットルあたり53.8円の税金が含まれています(地方揮発油税5.2円+揮発油税48.6円)。
販売価格の約1/3が税金となっている現在、販売店の営業努力でガソリン価格を下げるのは難しいのが現状です。
コロナ禍で電車や飛行機など、他の乗客と同乗したくない人も多い昨今、自家用車で移動する人も増えているでしょう。
ガソリン価格が少しでも下がることを祈らずにはいられません。