食べすぎや運動不足が「デブ」の元
高度肥満傾向児とは,性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を求め,肥満度が50%以上の者を指します。
幼児では肥満度15%以上は太りぎみ、20%以上はやや太りすぎ、30%以上は太りすぎとされ、学童では肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満といいます。
ではなぜ、子どもは肥満になるのでしょうか。
一般社団法人日本小児内分泌学会の説明によると、
・子どもの肥満のほとんどは摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生ずる
・つまり食事・おやつ・ジュースなどの過剰摂取、食事内容のバランスの悪さ、さらに運動不足などによって起こるものがほとんど
とのことです。
1970年代以降の食生活やライフスタイルの変化によって、子どもの肥満は急激に増えていると警鐘を鳴らしています。
肥満は各種の合併症を引き起こします。
生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となり、将来的には心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクも高まります。
また、体重の増加は膝や腰への負担増にも繋がり、子どもの生育に大きな悪影響を及ぼします。
高度肥満傾向児の発現率は「東高西低」
5歳から17歳までの高度肥満傾向児の発現率を、都道府県別に見てみましょう。
もっとも多く発現する都道府県は宮城県で1.42%。100人中1.4人の幼児/児童/学生に、高度肥満傾向が現れています。
以下、青森県、福島県と東北勢が上位を占め、大分県、北海道、和歌山県と続きます。
一部、九州や関西地域が含まれていますが、全体の傾向として関東〜東北地方が上位を占めています。
逆に、高度肥満傾向児の発現率がもっとも低いのは京都府と島根県で0.54%。1000人中5.4人の発現率となっています。
以下、滋賀県、兵庫県、奈良県、山口県と、関西以西の地域が多くランクインしています。
12歳と15歳の「学校が変わるタイミング」に要注意
では、子どもたちは何歳のタイミングで高度肥満傾向児になっていくケースが多いのでしょうか。
年齢別に平均値を算出し、高い順から並び替えてみることで傾向が見えてきます。
5歳から11歳までは、年齢順に下位からきれいに並びます。
順番に変化が見えるのが12歳。11歳の1.01%から1.21%へ0.2ポイント跳ね上がり、年齢順の4位にジャンプアップします。
12歳といえば小学6年生の食べざかり。この時点で、一気に高度肥満傾向児となる児童が多いようです。
15歳も要注意です。
義務教育である中学校を終え、人生で初めての受験を経験するこの年代。それまで経験したことのないストレスにさらされます。
また、運動部に所属していた生徒は部活を引退し、体は動かさなくなったものの食事の量はそのまま、というケースもあるかもしれません。
年齢別に見ると、もっとも高度肥満傾向児が発現するのが高い年齢となっています。
塩分の取り過ぎが太り過ぎの元?
全年齢、全国の高度肥満傾向児発現率の平均値は0.84なのですが、この値を大きく上回る地域・年齢があります。
もっとも高度肥満傾向児が現れている地域・年齢は、和歌山県の15歳で2.98%。実に100人中およそ3人が高度肥満傾向ということになります。
上位10の地域・年齢を洗い出してみたのですが、和歌山県の16歳、17歳を除くと、そのすべてが関東〜東北地方となっています。
一般論として、関東以北は味付けが濃いとされています。
日々の食生活の違いが高度肥満傾向児の発現率にも現れているのかもしれません。
コロナ禍が収まる気配も見えない2021年。不要不急の外出自粛要請は、今後も続いていくことが予想されます。
日々の運動量も必然的に減っていくことが考えられますので、子育て中の皆さまは、お子さんの体重管理についても気を配る必要があるといえそうです。