地方議員から参議院議員がオーソドックスな道筋
参議院議員に当選する「直前」に、どのような活動をしていたのか。
最多は「地方議員」で27.1%となりました。4人に1人の参議院議員が、市議会議員、県議会議員などで経験を積み、そこから国政に打って出ていることが分かります。
参議院議員を目指すなら、まずは市会議員や県会議員などで成果を挙げ、周囲に名前と顔を売ることで次のステップにつなげていく、というのがもっともオーソドックスな手法なのかもしれません。
続いて「国家公務員」「タレント・アナウンサー等」が、それぞれ10%強で並びます。
国家公務員として国のために働きながら知見を溜め、同時に人脈を広げることで参議院議員への途が開けていくということでしょうか。
「タレント・アナウンサー等」は、いわゆる「芸能人・有名人」といった活動をしている人も含めました。
元スポーツ選手、元プロレスラー、元テレビコメンテーター等、認知度が高く、顔と名前が広く一般に知られていることから、当選に結びついていると考えても良いかもしれません。
「会社員」「労働組合役員」も、それぞれ8.5%、7.7%と一定の割合を占めています。
しかし「会社員」と言っても、世間一般の「中小企業のサラリーマン」ではなく、世界的なコンサルティング企業などの名だたる大企業出身者が多いところが特徴です。
「労働組合役員」出身の参議院議員も19人いらっしゃいます。みなさん旧民主党(現:立憲民主党や国民民主党)所属で活動されています。
「弁護士」「医師」出身者も合わせて約10%(22人)います。弁護士および医師という、社会的にも高いステータスが認められている人たちということもあるのでしょうか、「政治家秘書」の経験がある人がおらず、その顔と名前で一本立ちしているのが特徴です。
「団体職員」は、商工会議所や農業協同組合(JA)などの組織に所属し、そこで培った経験や人脈を元に占拠を勝ち抜いた方々です。
そのほか、共産党などの政党に所属する「政党所属」、専門知識を持ち大学で教鞭を執る「大学教授」、「記者・カメラマン」といったジャーナリスト出身者などがいます。
世襲議員はやはり有利
次に、親族に政治家がいるかどうか見てみましょう。
親族に政治家を志すに当たってこの要素は非常に大きいのではないかと思います。
ここでいう「親族」には、大叔父や曽祖父など、「親等の遠い親戚」も情報を把握できる限り含めました。
政治活動も、国政に限らず、地方議員や地方の首長も含めています。
親族に政治家がいる参議院議員の割合は15.9%。約6人に1人がこれにあたります。
彼らが参議院議員になるに当たって、前職で「地方議員」を経験しているのは、全体統計と同様なのですが、ユニークなのは「政治家秘書」の割合が全体の3.4%から23.1%と激増している点です。
本統計は「参議院議員選挙に立候補する直前の職業」ですから、この場合、それまで勤めていた企業や団体を辞め、1親等〜2親等の「親族政治家」の秘書を務めて顔と名前を売り、参議院議員選挙に臨んだケースが想定されます。いわゆる「世襲議員」といって差し支えないかと思います。
確認された32人のうち、23人が「地方議員」または「政治家秘書」から参議院議員になっていますので、やはり親族に政治家がいる(特に1親等)というのは国政選挙においても強いことが分かります。
親族に政治家がいないなら…やっぱり「地方議員」から
遠くさかのぼっても親族に政治家がいないいわゆる「一般人」が、国政に打って出たい、国のために働きたい、なんとしても国会議員になりたいと考えたとき、どうするのが良いのでしょうか。
1.地方議員として活躍し、段階を経て国政に挑む
2.国家公務員、弁護士、医師、経営者など、社会的に高いステータスを得てからチャレンジする
3.タレント等、マスコミで顔と名前を売り、知名度を高める
統計を見る限り、これらが一般的な方法に思えます。
上記以外の方法で参議院議員になる方法としては、下記が挙げられそうです。
1.企業や団体の労働組合で役員として活躍する
2.団体職員として活動する
3.特定の政党に所属する
4.政治家の秘書として活動する
1〜3に関しては、現職の参議院議員を分析すると、特定の政党に偏りますので、政治主張が一致している、考え方に相違がない場合は有効な手段かもしれません。
4の「政治家秘書」ですが、かつては秘書として活動する中で、引退に伴い地盤とカバンを引き継ぎ国政へという流れが見られましたが、2000年代前半までのようです。
現在では、政治家秘書から市会議員・県会議員などの地方議員として出馬、そこでの活動を経て国政に挑むというのが一般的な流れのようです。
また、「弁護士になる」「記者などのジャーナリストとして活動する」「特定の政党に所属する」といった活動から衆議院議員になった先生方も一定数いらっしゃいます。
また、参議院議員の先生方の場合、「タレント・アナウンサー等」になり、一般的な知名度を得てから国政に挑むというルートも有効のようですが(24人・11.5%)、衆議院の場合9人・2.6%と、参議院議員の先生方と比較すると非常に低い割合となっています。