元号とは、「昭和」、「平成」、「令和」など特定の年ごとにつけられる称号をいいます。
元号といえば中国を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、現在まで元号を用いている国は世界でも日本だけです。
今回の記事では、
- 元号の概要
- 元号の選定方法
- 主な元号の由来
について分かりやすく解説していきます。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、元号とは
元号とは、「年」「時代」全体の名称を表す、称号です。
2000年以上前に、中国で使われたのが始まりです。
日本を含め、
- 韓国
- 北朝鮮
- ベトナム
- 台湾
などの国に広まりました。
中国では、1911年に清が滅亡した際に、元号制度が廃止されました。
2021年時点で、元号を公的に用いているのは、日本のみです。
ちなみに「大化~令和」までの1300年以上の歴史には、248もの元号があります。
(1)元号の歴史
上記でもあげたように、元号の起源は中国にあります。
紀元前141年に、前漢の皇帝である武帝が「建元」と定めたことがきっかけです。
漢字などの中国文化とともに、朝鮮半島や日本、ベトナムへと広がっていきました。
①元号が生まれた飛鳥時代
日本書紀によると、日本で元号が登場するのは「飛鳥時代」です。
西暦645年に制定された、「大化」が日本初の元号になります。
当時の権力者であった蘇我入鹿が、
- 中大兄皇子(後の天智天皇)
- 中臣鎌足
によって暗殺されたことを機に、皇位を受けた第36代孝徳天皇が、元号「大化」を制定したのです。
また、「公式文書には必ず日本の元号を用いる」ことが定着したのは、それから約50年後の大宝時代に発布された「大宝律令」からになります。
②明治期以降
明治期に入ると、旧皇室典範によって、「天皇陛下の即位から崩御までを1つの年号とする」とした、一世一元制度が導入されました。
これにより、天皇と元号の結びつきが強くなったのです。
敗戦後、GHQの占領下にて旧皇室典範は廃止されました。
1947年に施行した新しい皇室典範には、元号に関係する規定が無く、元号は慣習として残ることになりました。
しかし、1979年には「元号法」が成立。
元号法では、「天皇一代につき、元号1つ」という制度が明確になり、公式文書でも原則として元号が用いられています。
元号法
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
引用:元号法
2、元号の選定方法
2021年現在、元号は「元号法」に則って定められています。
参考:元号選定手続について
(1)元号選定の手順
元号は、主に以下の手順を踏んで決定されます。
- 内閣総理大臣が選んだ有識者に元号の候補をあげてもらう
- 有識者らが提出した候補について内閣官房長官が整理して、選定する
- 閣議で、提出された候補について協議する
- 衆参両院の議長・副議長の意見をうかがう
- 再びの閣議で決定する
まず、内閣総理大臣が、元号を決めるための有識者を選びます。
選ばれた有識者は、元号の候補をいくつか出します。
その後、内閣官房長官が候補を絞って、内閣総理大臣に報告。
衆参両院の議長・副議長の意見を踏まえた上で、元号を閣議で決定します。
(2)元号の基準
元号法によると、元号は以下の6つの条件を基準に定められます。
- 国民の理想に相応しい
- 漢字2文字で表記できる
- 書きやすい
- 読みやすい
- 過去の元号や天皇死後の「おくり名」に使われていない
- 人名や地名、商品名などで使われていない
なお、過去の元号については、中国など外国で使われていたかどうかも含まれているようです。
3、主な元号と由来について
最後に、比較的現代の元号である、
- 明治
- 大正
- 昭和
- 平成
- 令和
についてみていきましょう。
(1)明治
「明治」という元号は、易経に書かれた「聖人南面して天下を聴き、明に嚮(むか)いて治む」が、由来となっています。
意味合いは、「聖人が君主として政治を聴けば、天下は明るい方向に治まる」というものです。
1868年9月8日に「明治元年」となりました。
明治時代は、1912年7月29日まで45年間続き、歴史上2番目に期間が長い元号です。
(2)大正
「大正」という元号は、易経に書かれた「大いに亨りて以て正しきは、天の道なり」が由来となっています。
意味は「天が国民の言葉を受け入れて、政治を正しく行う」です。
「大正」は、当時の候補としては5回目の登場で、機密顧問の審議によって、元号として選ばれました。
民主主義的な思想や運動が活発化した大正時代は、1912年7月30日から1926年12月24日までの、15年間でした。
(3)昭和
「昭和」という元号は、書経に書かれた、「百姓(ひゃくせい)昭明にして萬邦を協和す」が由来となっています。
「昭」は人々の徳を、「和」は心和むことを表しており、「国民と世界各国の平和や発展を願う」という意味が込められています。
昭和時代は、1926年12月25日から1989年1月6日までの約62年間続きました。
2021年時点で、歴史上最も長い期間用いられた元号です。
(4)平成
「平成」という元号は
- 「史記」五帝本紀に書かれた「内平らかに外成る」
- 「書経」大禹謨に書かれた「地平らかに天成る」
が由来となっています。
「平成」には「国の内外、天地とともに平和になりますように」という意味が込められています。
平成時代は、1989年1月7日から2019年4月30日までの31年間続きました。
参考:元号について|内閣府
(5)令和
2019年5月1日より使用されている「令和」は、万葉集が出典となっています。
万葉集とは、全20巻ある現存する最古の和歌集です。
約4500首もの和歌の約9割が、短歌で占められていることから、
- 天皇
- 皇族
- 一般庶民
などの幅広い層による和歌が収められている、と考えられています。
「日本の四季や文化を後の世代に残したい」という首相の思いから、さまざまな人の和歌が収められている万葉集が選ばれたと言われています。
「令和」には「新しい時代の幕開け・調和(beautiful harmony)」という意味が込められています。
元号が日本の古典から引用されるのは、初めてのことでした。
まとめ
今回は、元号についてご紹介しました。
古くから途絶えることなく現在まで続いてきた元号もまた、日本の象徴の1つといえるでしょう。
元号の由来や意味に思いを馳せながら、今も続く日本独自の文化について、改めて触れてみてはいかがでしょうか。