政治ドットコムその他PKOとは?概要や参加するメリット・日本の貢献実績について簡単解説

PKOとは?概要や参加するメリット・日本の貢献実績について簡単解説

投稿日2021.6.30
最終更新日2021.06.30
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

PKOとは、国際連合による、紛争地域の平和や秩序の維持する活動を指します。
今回の記事では、

  • PKOの概要
  • PKOに参加する3つのメリット
  • PKOにおける日本の貢献

について、わかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、PKOとは

PKO
PKOとは、「United Nations Peacekeeping Operations」の略で、国際連合による、国際平和維持活動を指します。

世界各国の紛争地域における、平和・治安維持を図ることが主な目的です。

国連で最初に展開したPKOは、1948年に結成された国連休戦監視機構(UNTSO)による活動です。イスラエルと、近隣アラブ諸国における、停戦監視を行いました。

その後、1956年に「スエズ動乱(第二次中東戦争)」が発生しました。
これに対応するため、第1次国連緊急軍(UNEF1)という初の武装PKOが展開。

この活動の成功を機に、国連によるPKOの認知が広まりました。
1988年には、国際平和に対する貢献度が高く評価され、PKOに対してノーベル平和賞が授与されました。

この章では、PKOにおける

  • 目的
  • 具体的な活動内容

について、詳しくみていきましょう。

参考:国連平和維持活動|外務省

(1)目的

PKOの目的は「紛争地域の平和を実現する」ことです。
紛争当事者の同意を条件に、国連による軍隊が間に入ることで、

  • 停戦協定の監視
  • 戦闘再発の防止

などを行います。

具体的には、各国の軍隊から集めた組織「PKF(国際連合平和維持軍)」を、紛争地域に派遣します。

派遣された組織は、

  • 各部隊の引き離しや誘導
  • 停戦状況の監視

といった、緩衝材的な役割を果たすのです。
PKFは、戦闘目的の軍隊ではないため、武器が使用できるのは、自衛の場合に限られます。

(2)具体的な活動内容

PKOの具体的な活動内容は

  • 停戦状態の維持
  • 撤退監督
  • 紛争拡大の停止
  • 人道支援
  • 市民保護
  • 施設警備

などです。

例えば、インドとパキスタンが土地の所有権を争っているカシミール地方では、現在もPKOから送られた監視団が、停戦ラインを監視しています。

また、民族紛争や地域紛争による問題に対処するため、以下のような復興支援も行っています。

  • 紛争や標的に巻き込まれた一般市民の保護
  • 電気・水道などのライフライン整備
  • 治安の維持が困難な紛争地域の警察

さらに、紛争地域における、政府再建への支援活動として、

  • 行政事務の援助
  • 難民の帰還に対する支援
  • 選挙の管理

などに取り組むこともあります。 

政府再建活動の一例として、2002年に独立した東ティモールでは「東ティモールミッション」という、PKOの監視のもと選挙が行われました。

2、PKOに参加するメリット

PKOは、安全が保証された活動とは言えませんが、参加することで、

  • 国際社会での信頼を得られる
  • 自国への被害防止につながる
  • 国連から手当を受けられる

といった、メリットがあります。

(1)国際社会での信頼を得られる

不安定な地域に部隊を派遣して、停戦の監視や人道支援などに取り組むことは、国際社会への貢献になります。

もちろんPKOは、加盟国の自発的な意思で参加するものです。
しかし、積極的に人材を派遣することで、国際的な評価につながります。

各国からの信頼を集めることで、スムーズな

  • 経済協力
  • 外交

などに繋がる可能性もあります。

(2)自国への被害防止につながる

紛争地域が、自国にとって重要な地域である場合、活動に参加することで、自国への被害防止につながります。

紛争を放置してしまうと

  • 難民の増加
  • 紛争の飛び火・拡大

など、自国も被害を受ける可能性が出てきます。

特に紛争地域が、

  • 主要な貿易相手国
  • 輸入・輸出のルート上の国

である場合、自国への経済的な被害も大きくなります。

こうした理由により、近年では紛争地域の近隣国からのPKO参加が、増加傾向にあるのです。

(3)国連から手当を受けられる

PKOに参加することで、国連から金銭的な手当を受けられる、こともメリットの1つです。
2017年時点で、兵士1人当たり月約14万円が、国連から償還金として支払われます。

こうした理由もあり、PKOへの派遣人数は、発展途上国が多い傾向にあります。
2021年2月時点で、全120ヶ国のうち、国連ミッションへの派遣人数が最も多い国はバングラデシュです。

一方、先進国のPKOへの派遣人数は、上記の国に比べ、極めて低いです。
しかし、PKOへの予算提供割合については、先進国が上位を占めています。

つまり、現状のPKEでは、

  • 「人」の派遣という直接的な協力は、発展途上国
  • 「資金」の提供という間接的な協力は、先進国

といった、役割分担の傾向があるのです。

ちなみに分担率は、各国のGNI(国民総所得)を踏まえ、3年に1度、国連総会において決められています。 

参考:2019~2021年国連平和維持活動(PKO)予算分担率|外務省

3、PKOにおける日本の貢献

PKO
日本がPKOへの参加を開始したのは、1992年です。
きっかけは、前年1991年の湾岸戦争です。

日本は、アメリカを中心とした多国籍軍に、90億ドルもの資金提供をしました。
しかし、人的貢献が無かったため、世界からの評価が低下したのです。

これを受け、1992年に「PKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)」を成立。

自衛隊の海外派遣を可能にすることで、国際社会の平和への直接的な貢献を目指したのです。

参考:我が国の国際平和協力の概要|外務省

(1)PKO協力法について

PKO協力法では、主に以下3つの活動への協力が、定められています。

  • 治安の維持
  • 国際的な救援
  • 選挙の管理

さらに、PKOへの自衛隊の参加基準である「PKO参加5原則」を、以下のように定めています。

  • 紛争当事者の間で停戦合意がなされている
  • 活動地域が属する国および当事者がPKOの参入と日本の参加を受け入れている
  • PKOが中立的立場を厳守している
  • 上記の原則に適合しない状況になれば、部隊の撤収ができる
  • 武器の使用は最小限にとどめる

PKO参加5原則の目的は、武力行使を禁じている「憲法9条」に反しない範囲で、自衛隊の派遣を行うためです。

また近年のPKOの動向として、以下の活動を行う上での、武力行使を含む「あらゆる措置」への容認が、拡大されつつあります。

  • 情勢の安定化
  • 一般人の保護
  • 武装の解除

こうした背景を受けて、2015年には、PKO協力法が改正されました。
この改正によって、「駆けつけ警護」が認められようになりました。

駆けつけ警護とは、安全確保のための任務時に、

  • 現地の民間人
  • 他国の軍兵士

などが危害を加えられた場合、武器の使用による対処を認めることです。

(2)国際貢献の実績

日本は、1992年のカンボジアへの600人の自衛隊派遣を機に、さまざまな形でPKOに参加してきました。 

具体的には

  • カンボジア
  • モザンビーク
  • 東ティモール
  • ハイチ
  • 南スーダン

などで展開された活動に参加し、人的・財政的・知的貢献に取り組んでいます。

特に日本が、PKOに貢献している点は「財政的な支援」です。
2015年には、日本はPKOの予算の約11%を負担しています。

これは、アメリカに次ぐ第2位の予算負担率でした。

参考:主要国の国連通常予算分担率の推移(1977~2021)|外務省

2016年以降は、中国に2位を奪われたものの、

  • イギリス
  • フランス
  • ロシア

などの「安全保障常任理事国」と比べ、大きな負担額を担っています。 

また、外務省が公表している「国際平和協力法に基づく我が国の国際平和協力業務の実績」によると、日本がPKOに派遣した人数は、2019年時点で1万人以上になります。

しかし2017年に、陸上自衛隊の施設部隊は、南スーダンPKOから撤退。
このため2021年現在は、部隊の派遣はしていません。

司令部要員4人のみを、南スーダンの首都に派遣するのみとなっています。

参考:我が国の国連PKO活動の実績
参考:2019~2021年国連平和維持活動(PKO)予算分担率|外務省
参考:国連平和維持活動|外務省

まとめ

今回は、PKOについて解説しました。
PKOは、紛争地域の平和的な解決への監視・支援を目的とした国連の活動です。

近年では、与えられた任務を遂行するため「手段の強化」が進んでいます。

PKOへの協力は、国際社会で生きる一員として求められる「社会への貢献」の1つであり、日本人にとっても他人事ではありません。

「いかに現地の平和において貢献できるか」という視点に基づいて、国民ひとりひとりが今後の国際平和協力のあり方を考えていくことが重要でしょう。

本記事が少しでもあなたのお役にたてば幸いです。