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ムーンショットとは?9つの目標・政府の取り組みについて簡単解説

投稿日2021.6.30
最終更新日2023.06.06

「ムーンショット」とは、未来社会を展望し、これまで無い「壮大な目標・挑戦」を指す言葉です。

今回は、内閣府が掲げる「人が身体・脳・空間・時間の制約から、解放された社会の実現」というムーンショット目標について、以下の通り解説します。

  • ムーンショットの概要
  • 政府が掲げる9つの目標
  • ムーンショット目標への政府の取り組み

本記事がお役に立てば幸いです。

1、ムーンショットとは

ムーンショット
「ムーンショット」とは、未来社会を展望し、実現すれば大きなインパクトをもたらす「壮大な目標・挑戦」を指す言葉として使われています。

語源は、ジョン・F・ケネディ大統領が発した、アポロ計画に関するスピーチです。

「1960年代が終わる前に、月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させる」というスピーチが、由来であると言われています。

日本では、以下を受けて「国民の新しい生活様式」を実現するため、ムーンショット目標が掲げられました。

  • 人口減少社会の到来
  • 地球環境の現状

2、政府が掲げる9つのムーンショット目標

内閣府は、2020年1月に「48回総合科学技術・イノベーション会議」を開催しました。

この会議で、2050年を見据えた計画として、「ムーンショット型研究開発制度」を推進する7つの目標を発表したのです。さらに2021年には目標が2つ追加されました。

ムーンショット型研究開発制度の具体的な内容は、以下の通りです。

  1. 「身体」「脳」「空間」「時間」の制限から解放された社会の実現
  2. 超早期からの疾患の予測・予防ができる社会の実現
  3. 自分で学習・行動し、人と共に過ごすロボットの実現
  4. 資源を循環する持続可能な社会の実現
  5. 地球規模でムダのない持続的な食料供給産業の創出
  6. 経済・産業・安全保障を急激に発展させるコンピューターの実現
  7. 100年人生を楽しんで過ごすための医療・介護システムの実現
  8. 激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
  9. こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現

それぞれの目標について、以下で確認していきましょう。 

参考:目標1-6(総合科学技術・イノベーション会議決定)|内閣府
参考:目標7(健康・医療戦略推進本部決定)|内閣府
参考:内閣府

(1)「身体」「脳」「空間」「時間」の制約から人が解放された社会の実現 

「解放」とは、ロボットや3Dホログラムなどを利用して、人間の

  • 身体能力
  • 認知能力
  • 知覚能力

を拡張することです。

解放された、未来的な新しい生活様式を「サイバネティックアバター生活」と呼びます。 

2050年までに、身体的な限界に縛られずに社会活動へ参画できる、未来の社会基盤を作ることを、政府は掲げているのです。

例えば、以下のような案が考えられるでしょう。

  • コーディネーターロボットによる道案内
  • 自己アバターの遠隔操作による仕事への取り組み

参考:目標1-6(総合科学技術・イノベーション会議決定)|内閣府

(2)超早期からの疾患の予測・予防ができる社会の実現

 「超早期からの疾患の予測・予防」とは、

  • 認知症

などの深刻な病気が発症する前に、疾患を予測し、予防を図るシステムを確立することです。

2030年までに、人間の臓器間ネットワークの包括的な解明を目指しています。そして2050年には、「すべての病気を未然に防ぐこと」を実現する計画です。

(3)自分で学習・行動し、人と共に過ごすロボットの実現

人と価値観などを共有し、一緒に成長するパートナーロボットの開発を指しています。

ロボットの開発が進めば、以下のようなことが可能になるかもしれません。

  • 新しい分野における自然科学の解明
  • 完全無人化による産業構造の変革

2030年までには、特定の問題や状況に対して、自律的に動作するロボットの開発が目指されています。

(4)資源を循環する持続可能な社会の実現

2050年までに、今までのライフスタイルを継続しつつ、

  • 地球温暖化問題
  • 環境汚染問題

を解決し、地球環境を再生する、持続可能な社会を目指します。

具体的には

  • 大気中のCO2の直接回収・資源転換
  • プラスチックゴミの分解・無害化

などの技術開発がカギとなるようです。

2030年までに、

  • 温室効果ガスに対する循環技術
  • 環境汚染物質の有益な資源への変換、無害化

を実現する技術の開発を目標としています。

参考:目標1-6(総合科学技術・イノベーション会議決定)|内閣府 

(5)地球規模でムダのない持続的な食料供給産業の創出

世界的な人口増加により、食料需給はひっ迫状態にあります。2050年には、穀物の需要量は、現在の1.7倍になると言われています。

そのため、自然と共存した、ムダの無い、食料需要の解決を目指す必要があるのです。

具体的には、以下の取り組みが挙げられています。

  • 土壌微生物環境の完全解明
  • 化学肥料を使わない食料作りの実施
  • 食品ロスの減少

上記の技術開発を進めることで、

  • ムリ・ムダのない食料生産活動を構築
  • 世界的な人口増加への対応
  • 地球環境の回復への貢献

が期待されています。 

参考:目標1-6(総合科学技術・イノベーション会議決定)|内閣府 

(6)経済・産業・安全保障を急激に発展させるコンピューターの実現

Society5.0の実現に向けて、圧倒的な処理能力を持つ量子技術を応用し、様々な分野で革新を生み出すことを目指しています。

実現すれば、既存の社会システムへの、大きな変革につながる重要な目標の1つです。

(7)100年人生を楽しんで過ごすための医療・介護システムの実現

目標2で掲げた「疾病の予防」に加えて、心身ともに健康を維持しながら、人生を楽しめる社会基盤の構築を目指しています。

求められる技術開発として以下が挙げられます。

  • すべての生体トレンドを把握・管理できる技術
  • どこにいても必要な医療にアクセスできるメディカルネットワーク
  • 機能が衰えた臓器を再生・代替する技術

個々人の健康状態をシステムで管理しながら、介護に依存しない、自律的な社会の構築を目指しているのです。 

参考:目標7(健康・医療戦略推進本部決定)|内閣府

(8)激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現

地球温暖化の影響もあり、台風や豪雨などの災害被害が増しています。

この目標では、2030年までに、台風や豪雨を制御することによって災害の被害を軽減できることを計算機上で実証し、屋外実験を開始するとしています。

そして、2050年までに、台風や豪雨の強度・タイミング・発生範囲などを変化・制御し、極端風水害による被害を大幅に軽減することを目指しています。

参考:内閣府

(9)こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現

新型コロナウィルス感染症の影響もあり、自殺やうつ病など精神的要素に起因する社会問題が増加しています。

この目標では、多様性を重視しつつ、共感性・創造性を格段に高める技術を創出し、これに基づいたこころのサポートサービスを世界に広く普及させるとしています。

参考:内閣府

3、ムーンショット目標への政府の取り組み

ムーンショット
ムーンショット目標を実現するために、政府では、以下の取り組みを進めています。

  • 総合科学技術・イノベーション会議の開催
  • ムーンショット型研究開発制度の創設
  • ムーンショット国際シンポジウムの開催

それぞれの内容について、みていきましょう。

(1)総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の開催

内閣府では、ムーンショット目標を含めた、「イノベーション創造プログラム」に関する事業が展開されています。 

その1つが「総合科学技術・イノベーション会議」です。
「総合科学技術・イノベーション会議」とは、

  • 内閣総理大臣
  • 科学技術政策担当大臣

が企画立案した、科学技術・イノベーション政策について、調整することを目的とした会議です。

日常生活への新技術の活用を図るため、以下について取り組んでいます。

  • ムーンショット型研究開発制度の進め方
  • ムーンショット型研究の必要性
  • 目標の設定
  • キックオフシンポジウムなどのイベントの開催

参考:ムーンショット型研究開発制度|内閣府

(2)ムーンショット型研究開発制度 

ムーンショット型研究開発制度とは、日本におけるより大胆なイノベーションの創出を目指して発足した新しい制度です。

欧米や中国などの先進的な取り組みを参考に、2018年に内閣府より創設されました。

政府が掲げる「ムーンショット」は、「Human Well-being(人々の幸福)」を目指すというコンセプトのもと、基盤となる社会・環境・経済の領域における様々な課題の解決を目的としています。

社会から尊敬される技術をもつ、士気の高い国を目指して、2018年度の補正予算では約1000億円が計上されました。

また優れたテーマの研究開発に対しては、最長で10年間の支援を発表しました。 

参考:ムーンショット型研究開発制度|内閣府

(3)ムーンショット国際シンポジウムの開催

2019年12月に、

  • 内閣府
  • 科学技術振興機構(JST)
  • 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

が主催する、「ムーンショット国際シンポジウム」が開催されました。

「ムーンショット国際シンポジウム」とは、ムーンショット型研究開発制度の、運営方法や目標について、議論するための会議です。 

具体的には、

  • 人の能力に対する拡張技術の実現
  • AIとロボットの共進化によるフロンティアの開拓

などのプレゼンテーションが行われ、専門家による認識が共有されました。

参考:ムーンショット国際シンポジウム

PoliPoliで公開されているIT関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「Web3.0」を日本の成長戦略の柱にする政策について、以下のように公開されています。
あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!

(1)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策提案者

議員名 平 将明
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/CU6xgdz9r8x0M4IpSq2y/policies

 

(2)「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!政策の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • Web3.0時代を見据えた国家戦略の策定・推進体制の構築
  • ブロックチェーンエコシステムの健全な育成
  • NFTビジネスの発展促進

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • 担当大臣の設置
  • ブロックチェーンエコノミーに適した税制改正
  • NFTビジネスをめぐる法令や指針の整備

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

「Web3.0」を日本の成長戦略の柱に!

まとめ

今回は、ムーンショットについて解説しました。

ムーンショット目標は、AI やロボットといった、先進技術の発展に基づいるため、現時点では予想がつかないものも多くあります。 

しかし、このように大きな計画を掲げて、様々な分野を後押しすることは、政府が担うべき重要な役割の1つと言えるかもしれません。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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