政治ドットコム裁判・司法検察官とは?仕事内容や課題について簡単解説

検察官とは?仕事内容や課題について簡単解説

投稿日2020.7.20
最終更新日2020.07.20

検察官とは、法律に違反した犯罪や事件を捜査し、その犯人を裁判にかける職業です。

テレビドラマが好きな人は、以前フジテレビ系で放送された「HERO」で木村拓哉さんが演じた、主人公・久利生公平を思い浮かべるかもしれません。

彼の職業は検察官でした。
警察官との違いがよくわからないという人もいるかと思いますが、警察の仕事は事件を調べて被疑者を捕まえるところまでです。

最終的に裁判にかけるかどうか(起訴するかどうか)の権限を持つのは検察官となります。
今回は、職業の選択肢の一つとして「検察官」を考えるあなたに向けて、以下のとおり詳しく解説します。

  • 検察官の種類
  • 検察官の仕事内容
  • 検査官になるためのステップ
  • 裁判と司法の課題

本記事がお役に立てば幸いです。

1、検察官とは


「検察官」とは、主に検事及び副検事を指し、法律に違反した犯罪や事件を捜査してその犯人を裁判にかける仕事を行う人です。

警察の捜査によって捕まえられた犯人が、本当に犯人なのかどうか確かめ、起訴するかどうかを判断します。

日本では、検察官だけが起訴をすることができます。
検察官が所属する検察庁には、

  • 最高検察庁:全国に1か所
  • 高等検察庁:8か所
  • 地方検察庁:50か所
  • 区検察庁:438か所

の4種類があり、裁判所に対応して検察官が置かれています。
検察庁関連以外では、法務省で働いている検察官もいます。

「検察官」と一口に言っても様々な種類があり、

  • 検事総長
  • 次長検事
  • 検事長
  • 検事
  • 副検事

の大きく5つに区分されます。
以下で順に見ていきましょう。

(1)検事総長

検事総長は最高検察庁のトップです。
最高検察庁では、高等裁判所が行った刑事事件の裁判のうち、上告された事件などを取り扱っています。

また、全ての検察庁の職員を指揮監督するのも検事総長の仕事です。
内閣が任免し、天皇が認証しています(検察庁法第15条第1項)。

(2)次長検事

次長検事は最高検察庁に所属しています。
検事総長の補佐を務め、検事総長の都合により職務が遂行されない場合、検事総長の職務を代行します。
内閣が任免し、天皇が認証しています。

(3)検事長

検事長は高等検察庁のトップです。
高等検察庁は高等裁判所に対応する検察庁であり、

  • 地方裁判所
  • 家庭裁判所
  • 簡易裁判所

が行った刑事事件の裁判のうち、控訴された事件なども取り扱っています。

また、所属する高等検察庁が対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁と、区検察庁の職員を指揮監督するのも検事長の仕事です。

内閣が任免し、天皇が認証しています。

(4)検事

検事は

  • 最高検察庁
  • 高等検察庁
  • 地方検察庁

などに配置されています。
地方検察庁は、地方裁判所・家庭裁判所に対応する検察庁です。

具体的な仕事は、事件の捜査・公判、また裁判執行の指揮監督などです。

(5)副検事

副検事は区検察庁に配置されています。
区検察庁は簡易裁判所に対応する検察庁で、比較的程度の軽い刑事事件を取り扱っています。
具体的な仕事は、捜査・公判、また裁判執行の指揮監督などです。

2、検察官の具体的仕事内容

検察官の種類と、それぞれ異なる役割についておわかりいただけたでしょうか。
続いて、具体的な仕事内容をご紹介します。

(1)事案の捜査

警察などの捜査機関から送致された事件や、検察官に直接告訴・告発があった事件について捜査を開始します。

(2)取り調べや聞き込み

被疑者への取り調べ、被害者・目撃者などの事件関係者への聞き込み、証拠品の確認などを行います。

被疑者が罪を犯したかどうかを判断するための時間が不十分であると判断した場合には、最大20日間の身柄拘束期間を裁判所に請求することができます(拘留)。

この身柄拘束期間に被疑者の取り調べなどを行い、起訴あるいは不起訴の判断を行います。

(3)起訴あるいは不起訴の処分

起訴するかしないかの権限は検事のみが持っています。
捜査の結果、被疑者が罪を犯したことが明らかだと考えられる場合は、起訴します。

罪を犯したことが認められない場合は、不起訴処分とします。
なお、

  • 被疑者の年齢や境遇
  • 犯罪の軽重

などによっては、起訴できる事件でも検察官の裁量によって不起訴(起訴猶予)とされる場合があります。

(4)起訴の場合裁判へ

起訴処分には2種類あります。

  • 法廷で裁判が開かれる公判請求
  • 書類審査のみで刑(罰金・科料のみ)が言い渡される略式命令請求

どちらも裁判所を介した手続きとなりますが、公判請求は公開の場で行われる一方で、略式命令請求は非公開となっています。

裁判の場では犯罪が立証できる明白な証拠を検察官が提出し、適切な刑罰を求める「求刑」を行います。
一定の重大犯罪の場合は裁判員裁判の対象となるため、より一般の人にもわかりやすい説明・立証が求められるでしょう。

3、検察官になるためには?


検察官になるためにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。
以下で3つの行程に分けてご紹介します。

(1)司法試験の受験資格を得た上で、司法試験を受験・合格

検察官になるためには、裁判官や弁護士と同様に、司法試験に合格しなければなりません。
そのためには、まず受験資格を得るために、法科大学院への進学や予備試験の受験・合格が必要です。

(2)司法修習の終了と、試験合格

司法試験に合格したら、1年間の司法修習(研修)を受けます。
そして、司法修習の終盤に行われる司法修習生考試(通称:二回試験)に合格して、初めて法曹業界のスタートに立ったと言えるでしょう。

(3)検事採用面接を受験・合格

さらに、検察官を志望する人は、検事採用面接を受け、通過しなければなりません。
面接では志望動機を聞かれたり、自己PRを求められたりします。
採用の判断基準は「能力・適性・人格・識見に優れた人を総合的に判断した上で採用される」と定められています。

4、検察及び司法の課題

これまで、検察官の仕事内容やなり方についてご説明してきました。
続いて、検察や司法の課題についてご紹介します。

日本の刑事裁判では、極めて有罪率が高いです。

日本で起訴をする権限を持っているのは検察官だけですから、「検察官が判断したのだから間違いはないだろう」という構図が出来上がっているとも言えます。

結果的に、検察官がものすごく強い権力を持っていると言えるかもしれません。
「100人の真犯人を逃しても、ただ1人の無罪者を罰しない」これは刑事法の鉄則だと言われています。

三権分立の原点に立ち返り、裁判官も弁護士も検察官も、それぞれの立場で公正な裁判を追求しなければならないかもしれません。

まとめ

今回は検察官について詳しくご紹介しました。
検察官の組織体制や仕事、なり方だけではなく、課題についてもおわかりいただけたのではないでしょうか。

検察官は日本で唯一、起訴をする権限を持っている人です。

だからこそ、検察官自身が捜査や取り調べをする時間も確保されており、起訴・不起訴の判断について、責任を持って日々行っているのです。

一方で、その権限の強さについては司法全体の課題でもありました。
人の一生を左右する責任ある仕事だからこそ、生まれた課題と言えるかもしれません。

将来の職業の選択肢の一つに、検察官がある方は、そのあたりの事情も加味して考えてみてはいかがでしょうか。
本記事が少しでもお役に立てば幸いです。