政治ドットコム裁判所検察官とは?仕事内容や司法の課題について簡単解説

検察官とは?仕事内容や司法の課題について簡単解説

投稿日2021.2.12
最終更新日2021.02.12
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

検察官とは、法律に違反した犯罪や事件を捜査し、その犯人を裁判にかける職業です。

検察官というと、以前フジテレビ系で放送された「HERO」で木村拓哉さんが演じた、主人公・久利生公平を思い浮かべる方もいるかもしれません。

「警察官との違いがよくわからない」という人もいるかと思いますが、警察の仕事は事件を調べて被疑者を捕まえるところまでです。

最終的に裁判にかけるかどうか(起訴するかどうか)の権限を持つのは検察官となります。

今回は、検察官について、以下のとおり詳しく解説します。

  • 検察官の概要
  • 検察官の仕事内容
  • 検査官になるためのステップ

本記事がお役に立てば幸いです。

1、検察官とは

「検察官」とは、主に検事及び副検事を指し、法律に違反した犯罪や事件を捜査してその犯人を裁判にかける仕事を行う人です。

警察の捜査によって捕まえられた犯人が、本当に犯人なのかを確かめ、起訴するか判断します。

日本では、検察官だけが起訴をすることができます。
検察官が所属する検察庁には

  • 最高検察庁:1か所
  • 高等検察庁:8か所
  • 地方検察庁:50か所
  • 区検察庁:438か所

の4種類があり、裁判所に対応して検察官が置かれています。
また、法務省で働いている検察官もいます。

「検察官」と一口に言っても様々な役職があり

  • 検事総長
  • 次長検事
  • 検事長
  • 検事
  • 副検事

の大きく5つに区分されます。
以下で順に見ていきましょう。

(1)検事総長

検事総長は最高検察庁のトップです。
最高検察庁では、高等裁判所が行った刑事事件の裁判のうち、上告された事件などを取り扱っています。

また、全ての検察庁の職員を指揮監督するのも検事総長の仕事です。
内閣が任免し、天皇が認証することで、検事総長となります(検察庁法第15条第1項)。

(2)次長検事

次長検事は最高検察庁に所属しています。

検事総長の補佐を務め、検事総長の都合により職務が遂行されない場合、検事総長の職務を代行します。

内閣が任免し、天皇が認証することで、次長検事となります。

(3)検事長

検事長は高等検察庁のトップです。
高等検察庁は高等裁判所に対応する検察庁であり

  • 地方裁判所
  • 家庭裁判所
  • 簡易裁判所

が行った刑事事件の裁判のうち、控訴された事件なども取り扱っています。
また、管轄区域内にある地方検察庁と、区検察庁の職員を指揮監督するのも検事長の仕事です。

内閣が任免し、天皇が認証することで検事長となります。

(4)検事

検事は以下の検察庁に配置された検察官です。

  • 最高検察庁
  • 高等検察庁
  • 地方検察庁

地方検察庁は、地方裁判所・家庭裁判所に対応する検察庁です。
具体的な仕事は、事件の捜査・公判、また裁判執行の指揮監督などです。

(5)副検事

副検事は区検察庁に配置された検察官です。
区検察庁は簡易裁判所に対応する検察庁で、比較的程度の軽い刑事事件を取り扱っています。

具体的な仕事は、捜査・公判、また裁判執行の指揮監督などです。
検察官の役職種類と、それぞれの異なる役割についておわかりいただけたでしょうか。

続いて、具体的な仕事内容をご紹介します。

2、検察官の主な的仕事内容

検察官の主な仕事内容は以下の3つです。

  1. 事案の捜査
  2. 起訴あるいは不起訴の処分
  3. 裁判での求刑

それぞれについて見ていきましょう。

(1)事案の捜査

検察官は、以下のような事案について捜査を行います。

  • 警察などの捜査機関から送致された事件
  • 検察官に直接告訴・告発があった事件

事件についての真相を調べるために

  • 被疑者への取り調べ
  • 被害者・目撃者などの事件関係者への聞き込み
  • 証拠品の確認

などを行うのです。

「被疑者が罪を犯したかどうか」を判断するための時間が不十分であると判断した場合には、最大20日間の身柄拘束期間を裁判所に請求することもできます(拘留)。

被疑者の取り調べなどを行い、起訴あるいは不起訴の判断を行います。

(2)起訴あるいは不起訴の処分

起訴するかしないかの権限は検事のみが持っています。
捜査の結果、被疑者が罪を犯したことが明らかだと考えられる場合は、起訴します。

罪を犯したことが認められない場合は、不起訴処分とします。

なお

  • 被疑者の年齢や境遇
  • 犯罪の軽重

などによっては、起訴できる事件でも検察官の裁量によって不起訴(起訴猶予)とされる場合があります。

(3)裁判での求刑

起訴処分には2種類あります。

  • 法廷で裁判が開かれる公判請求
  • 書類審査のみで刑(罰金・科料のみ)が言い渡される略式命令請求

どちらも裁判所を介した手続きとなりますが、公判請求は公開の場で行われる一方で、略式命令請求は非公開となっています。

また、裁判の場では犯罪が立証できる明白な証拠を検察官が提出し、適切な刑罰を求める「求刑」を行います。

一定の重大犯罪の場合は裁判員裁判の対象となるため、より一般の人にもわかりやすい説明・立証が求められるでしょう。

3、検察官になるためには?


検察官になるためにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。
以下で3つのポイントに分けてご紹介します。

(1)司法試験に合格する

検察官になるためには、裁判官や弁護士と同様に、司法試験に合格しなければなりません。

また、司法試験を受けるためには

  • 法科大学院へ進み修了する
  • 司法試験予備試験を受験し、合格する

必要があります。

(2)司法修習の終了と、試験合格

司法試験に合格したら、1年間の司法修習(研修)を受けます。

そして、司法修習の終盤に行われる司法修習生考試(通称:二回試験)に合格して、初めて法曹業界のスタートに立ったと言えるでしょう。

(3)検事採用面接を受験・合格

さらに、検察官を志望する人は、検事採用面接を受け、通過しなければなりません。

面接では志望動機を聞かれたり、自己PRを求められたりします。

採用の判断基準は「能力・適性・人格・識見に優れた人を総合的に判断した上で採用される」と定められています。

まとめ

今回は検察官について詳しくご紹介しました。
検察官の組織体制や仕事、なり方ついておわかりいただけたのではないでしょうか。

検察官は日本で唯一、起訴をする権限を持っている人です。

だからこそ、検察官自身が捜査や取り調べをする時間も確保されており、起訴・不起訴の判断については慎重に行わなければなりません。