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三権分立とは?3つの権力について簡単解説

投稿日2020.3.12
最終更新日2020.03.24

三権分立とは国家権力を「立法権」、「行政権」、「司法権」の3つに分け国家の暴走を抑制し、民主主義を実現するものです。

本記事では

  • 三権分立の仕組み
  • 日本の体制

などについてご紹介します。

1、三権分立とは

三権分立
三権分立とは、国家権力を「立法権」、「行政権」、「司法権」の3つに分け

  • 立法権は国会
  • 行政権は内閣
  • 司法権は最高裁判所及び下級裁判所

この様に独自の機関に権力を保持させ、強大な国家が権力の濫用により暴走することを防ぐ仕組みです。

こうして一箇所に権力が集まらない様にすることでバランスを取っています。
また各権の行使をそれぞれ別の機関(日本においては国会・内閣・最高裁)が担い、お互いを監視しあうシステムになっています。

日本国憲法41条、65条、76条1項でもそれぞれの権力が確かに上記の機関に帰属していることを定めています。
そしてこれらの機関には長が存在し、三権の長と言われています。

(1)三権の長

三権の長とは国会、内閣、裁判所それぞれの機関のトップを指します。

  • 法律を定める「立法権」の長である衆議院議長・参議院議長
  • 法律によって政治を行う「行政権」の長である内閣総理大臣
  • 法律違反を裁く「司法権」の長である最高裁判所長官

以上4人のこと三権の長と呼ぶことがあります。

ちなみに天皇陛下は戦前国家元首とされ、これらの権力を一括して握っていましたが、戦後は日本国民統合の「象徴」として政治的権力を持つことができなくなりました。

現在では多くの国が三権分立制度を採用しており、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国、日本などの「民主主義国家」と呼ばれる国々がその内高い割合を占めます。

(2)三権分立の歴史

国家の権力を分立する思想自体は古くから、例えば古代ギリシャなどでも見られたとの説があります。
しかし立法権・行政権・司法権という三権分立の思想はフランスの哲学者モンテスキューの『法の精神』(1748年)によって体系化されました。

これは、当時既にイギリスで始まっていた議会政治にも触発されたものだったようです。
その後、1787年に独立戦争を経て制定されたアメリカ合衆国憲法において初めて盛り込まれ、1789年のフランス革命後に制定されたフランス憲法でもその理念が採用されました。

(3)日本における三権分立

日本においては明治維新の「五箇条の御誓文」を実行するために発布された「政体書」(1868年)において、初めて三権分立の理念の採用が言及されました。

その後1890年に施行された大日本帝国憲法において三権分立の体制が一応整いましたが、国家元首とされた天皇への権力意識の集中のもと、それは不完全なものにとどまりました。

戦後、日本国憲法(1947年施行)においては、戦前戦中の軍部による暴走の反省などから、より強固な三権分立の体制を実現する内容の憲法となりました。
それではここからは、三権分立のそれぞれの権力の具体的な内容をみていきます。

2、立法権とは

立法権

立法権について詳しく見ていきましょう。

(1)概要

立法権とは、法律の制定を行う国家の権能です。具体的な役割としては大まかにいうと

  • 国の法律を決めること
  • 国の予算を決めること
  • 外国と結んだ条約を承認すること

などです。

(2)日本における立法権

立法権は、憲法において「国権の最高機関」とされる国会によって行使されます。

国会が「最高」機関とされる所以は、国会だけが三権の中でただ一つ、主権を持つ国民から直接選ばれた国会議員によって構成される機関だからです。

その権力の源泉に依って、国会では法律の制定などが行われていきます。
日本の国会は衆議院・参議院の二つで構成されていて、それぞれの多数決によって政治の方向性を決めていくこととなります。

(3)行政権、司法権との関係

日本の国会は

  • 行政権をもつ内閣に対しては内閣総理大臣の指名、または不信任案(内閣に退陣を求めること)の決議、国政調査権などによって抑制を行い
  • 司法権をもつ最高裁判所に対しては法律の制定と、裁判官の弾劾裁判所設置(裁判官を辞めさせるための措置)によって、均衡をとる

この様なシステムになっています。

以下の関連記事では国会についてより詳しく解説しています。

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3、行政権とは

行政権
行政権についてご紹介します。

(1)概要

行政権とは、いわゆる国家を「統治」する権能です。具体的には

  • 国会が制定した法律の執行(できた規則を実際に適用させていくこと)
  • 外国との外交
  • 公務員の統率(自衛隊を含む)
  • 国民生活の安定向上を実現するために各種の施策を実行する

などの、国家権能といえます。

(2)日本の行政権の現状

日本の「行政権」は国会で選ばれた内閣総理大臣と、内閣総理大臣から任命された複数の国務大臣で成り立つ「内閣」によって施行されます。

内閣は、国会で決められた法律や予算に基づいて国の仕事を担う機関です。
内閣の構成員が集まる「閣議」で決められた方針に基づいて、国務大臣が各省や庁に指示を出して、国の政治を進めていくことになります。

日本国憲法における立法権・行政権の体制は戦後、アメリカ大統領制のより厳格な三権分立と、イギリスや大正デモクラシー期の日本の議院内閣制などの折衷案としてできた制度といわれます。

大統領制のアメリカではより厳格に立法権(上院・下院)と、大統領による行政権が分立されているといわれます。

(3)立法権、司法権との関係

日本の内閣は

  • 立法権をもつ国会に対しては、衆議院の解散権などによって
  • また司法権をもつ最高裁判所に対しては、最高裁長官の指名、ほかの裁判官の任命権

によって三権分立の均衡を取っています。

4、司法権とは

司法権
司法権についてご紹介します。

(1)概要

最高裁判所とそのほかの裁判所において、法律違反を裁く司法作用を担う国家権能です。
「司法権の独立」を確保するためには、いかなる権力、いかなる人物、いかなる集団からも恣意的な干渉を受けないことが重要であり、近代立憲主義における重要な原則の一つといわれています。

司法権の独立とは裁判官が裁判の際に、政府などのあらゆる外的要素に左右されずに、その良心のみに従い職権を行使(判決を下すこと)する決まりのことです。
もし政府の干渉や圧力で裁判官の判決が左右されてしまったとすれば、抑制均衡のシステムは働いていないと言えます。

司法権の独立についてより詳しく知りたい方は以下の関連記事を是非ご覧下さい。

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(2)司法権の現状

日本で司法権を施行するのは最高裁判所を頂点とする裁判所です。
裁判所は法律に基づいて争いごとなどを解決する機関です。

我々は法的に解決したい事案があった場合裁判を起こし、その裁判所の判断に納得がいかない場合は、さらに上級の裁判所に訴えることができ、最高裁に至るまで3回まで、同じ件についての裁判を受けることができます。(三審制)

また平成21年に始まった「裁判員制度」により、国民の多くが将来、裁判員として選ばれる可能性もでてきています。
司法権もまた、国民に身近な権力だと言えます。

(3)立法権、行政権との関係

日本の裁判所は

  • 立法権をもつ国会に対しては、違憲立法審査権(法律が憲法に違反していないかを調べられる権利)の行使
  • また行政権をもつ内閣に対しては、行政事件裁判権(私人間ではなく行政ともう一方の争いを裁く権利)

の行使によってバランスを維持します。

まとめ

それぞれの役割と均衡抑制の仕組みを見ていきました。

三権分立を理解する上では、それぞれ役割だけではなく、各権能がどうやってお互いが行き過ぎないよう監視しあっているかという部分を知ることも重要です。

このような三権分立のシステムこそ、近代以降、人類が工夫を凝らしながら作り上げてきた「国民主権」、「基本的人権」を守るための仕組みに他なりません。