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裁判所事務官とは?その職務とキャリアパスを簡単解説

投稿日2021.1.30
最終更新日2021.01.30

裁判所事務官とは、各裁判所やその付属機関の事務を行う職員です。
日常の生活では、裁判所事務官に接する機会は多くはないと思います。

そこで今回は、裁判所事務官について以下の通り解説します。

  • 裁判所事務官とは
  • 裁判所事務官の仕事
  • 裁判所事務官になるには
  • 裁判所事務官のキャリアパス

この記事がお役に立てば幸いです。

1、裁判所事務官とは

裁判所事務官
裁判所事務官とは、裁判所における司法行政事務全般を行う職業です。
特別職国家公務員なので、原則として国家公務員法の適用を受けません。

また裁判所法第2章(53条〜65条の2)で規定されている、裁判所における裁判官以外の職員には次のようなものがあります。

  • 最高裁判所事務総長(53条)
  • 最高裁判所裁判官秘書官(54条)
  • 司法研修所長官(55条)
  • 司法研修所長(56条)
  • 裁判所職員総合研修所教官(56条の2)
  • 裁判所職員総合研修所長(56条の3)
  • 最高裁判所図書館長(56条の4)
  • 高等裁判所長官秘書官(56条の5)
  • 裁判所調査官(57条)
  • 裁判所事務官(58条)
  • 事務局長(59条)
  • 裁判所書記官(60条)
  • 裁判所速記官吏(60条の2)
  • 裁判所技官(61条)
  • 家庭裁判所調査官(61条の2)
  • 家庭裁判所調査官補(61条の3)
  • 執行官(62条)
  • 廷吏(63条) 

例えば、家庭裁判所調査官は、以下に必要な調査を行うことが主な仕事になります。

  • 家庭に関する事件の審判及び調停
  • 人事訴訟の第一審の審判
  • 少年法で定める保護事件の審判

参考:最高裁判所Webサイト

2、裁判所事務官の仕事

裁判所事務官は、各裁判所の以下の部署で勤務します。

  • 裁判部
  • 事務局

部署ごとの仕事について見ていきましょう。

(1)裁判部における仕事

裁判部では、法廷での審理をスムーズに行うため、裁判所書記官のもと各種裁判事務を行います。

審理が始まる前の準備や、証人尋問手続の補助などです。

(2)事務局における仕事

 事務局では

  • 総務課
  • 人事課
  • 会計課

などにおいて、司法行政業務全般を行います。
事務局は、裁判所が一つの組織として活動する上で必要な業務を処理する部署です。

参考:最高裁判所Webサイト

3、裁判所事務官になるには 

裁判所事務官
裁判所事務官になるには、裁判所が独自に実施する採用試験を通過する必要があります。

 採用試験は

  • 総合職試験
  • 一般職試験

に分かれています。

 総合職試験は、院卒者区分と大卒程度区分に分かれ、政策の企画立案に関する能力などが見られる試験です。
一般職試験は、大卒程度区分と高卒者区分に分かれ、的確な事務処理に関する能力などが見られる試験になります。

(1)2020年度、裁判所事務官採用試験の日程・内容

2020年度の裁判所事務官採用試験は、下表の日程と内容で実施されました。 

試験名 試験日 試験種目 合格発表日
総合職試験

(院卒者区分)

(大卒程度区分)

第1次 5月9日(土) 基礎能力試験(多肢選択式) 5月28日(木)
専門試験(多肢選択式)
第2次 専門試験(記述式・憲法) 6月30日(火)
論文試験(小論文)
6月6日(土) 政策論文試験(記述式)
専門試験

(記述式・民法、刑法、訴訟法)

6月8日(月)

〜6月18日(木)

人物試験(個別面接)
第3次 7月9日(木)

 〜7月10日(金)

人物試験

(集団討論及び個別面接)

7月31日(金)
一般職試験

(大卒程度区分)

第1次 5月9日(土) 基礎能力試験(多肢選択式) 5月28日(木)
専門試験(多肢選択式)
第2次 専門試験(記述式・憲法) 7月31日(金)
論文試験(小論文)
6月8日(月)

 〜7月3日(金)

人物試験(個別面接)
一般職試験

(高卒者区分)

第1次 9月13日(日) 基礎能力試験(多肢選択式)

知能分野24問・知識分野21問

10月6日(火)
作文試験

表現力、課題理解力について1題

第2次 10月14日(水)

 〜10月27日(火)

人物試験(個別面接) 11月13日(金)

 参考:最高裁判所Webサイト「受験案内」

試験の難易度に関しては、多くの資格試験予備校などでのランキングが発信されています。

(2)2020年度、裁判所事務官採用試験の結果

2020年の裁判所事務官採用試験の結果は、試験区分ごとに以下のとおりです。

総合職試験(院卒者区分)
申込者数 第1次試験 第2次試験 第3次試験 最終

合格者数

倍率
有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

168 78 65 57 22 22 11 7.1

 

総合職試験(大卒程度区分)
申込者数 第1次試験 第2次試験 第3次試験 最終

合格者数

倍率
有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

673 148 105 84 30 29 13 11.4

 

一般職試験(大卒程度区分)
申込者数 第1次試験 第2次試験 最終

合格者数

倍率
有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

12,784 2,135 1,638 1,519 970 2.2

 

一般職試験(高卒者区分)
申込者数 第1次試験 第2次試験 最終

合格者数

倍率
有効

受験者数

合格者数 有効

受験者数

4,746 3,749 740 594 162 23.1

出典:最高裁判所Webサイト

いずれの試験も2倍以上の倍率となっており、簡単な試験ではないことがわかります。
裁判所事務官試験で気になることがある場合は、裁判所Webサイトの「採用Q&A」を見てみると良いかもしれません。

「採用Q&A」の一例では、採用試験について「大学で法律学を専攻していないと合格することは難しいのですか。」との問いに対して、 

『総合職試験(裁判所事務官)、一般職試験(裁判所事務官,大卒程度区分)は、試験科目に法律科目が含まれていますが、いずれも細かな専門知識の有無を問うものではなく、基本的な知識や理解を重視するものとなっています。

また、第1次試験専門試験(多肢選択式)では、刑法と経済理論のいずれか一方を選択することができます。

そのため、裁判所では、法学部のほか、経済学部、文学部、教育学部、理学部等、様々な学部出身者が活躍していますし、研修などで採用後に法律知識を習得する機会もあります』

と回答されています。

引用:裁判所「採用Q&A」

(3)2021年度の試験日程

2021年度に行われる裁判所職員採用試験の日程は、下表のとおりとなっています。 

試験種別 総合職試験

(院卒者区分・大卒程度区分)

一般職試験

(大卒程度区分)

申込受付期間 インターネット:4月1日(木)午後3時00分~4月9日(金)

受験申込書郵送:4月1日(木)~4月5日(月)

第1次試験日 5月8日(土)
第1次試験合格者発表日 5月27日(木)
第2次試験日 筆記試験 6月5日(土)※ 5月8日(土)
人物試験 6月7日(月)〜6月17日(木) 6月7日(月)〜7月2日(金)
第2次試験合格者発表日 6月29日(火)  
第3次試験日 7月8日(木)〜7月9日(金)  
最終合格者発表日 7月30日(金) 7月30日(金)

専門試験(記述式)の試験科目のうち、憲法は第1次試験日に実施されます。 

出典:裁判所Webサイト「令和3年度裁判所職員採用試験日程」

 4、裁判所事務官のキャリアパス

裁判所事務官のキャリアパスは、基本的に以下の通りです。

  • 係長
  • 課長補佐
  • 課長
  • 事務局次長
  • 事務局長

また、裁判所事務官として勤務し続けるだけでなく

  • 裁判所書記官
  • 家庭裁判所調査官

に転身して、昇進することもできます。
一般的に裁判所事務官は、裁判所書記官を目指すことが多いようです。

裁判所事務官

画像出典:最高裁判所事務総局人事局「採用案内パンフレット(令和2年10月版)」

(1)裁判所書記官とは

裁判所書記官とは、主に裁判の過程を記録する職業です。
裁判所法60条に定められた仕事内容は、以下のようなものになります。

  • 裁判手続に関する記録等の作成・保管
  • 民事訴訟法や刑事訴訟法といった手続法で定められた事務
  • 裁判官の行う法令や判例の調査の補助

裁判所書記官の立ち会いがないと裁判を開くことができません。
裁判所書記官は、法律専門職となっており、固有の権限と責任があるのです。

(2)裁判所書記官になるには

裁判所書記官になるには、裁判所職員総合研修所の裁判所書記官養成課程入所試験に合格し、一定期間の研修を受ける必要があります。

この入所試験は、裁判所職員として一定期間勤務した後に受験することができます。

 総合職として採用された職員は、採用初年度に限り、筆記試験の全てまたは一部が免除されます(院卒者区分採用者は全て免除)。

参考:最高裁判所Webサイト

まとめ

今回は裁判所事務官について解説しました。

裁判所事務官は、裁判所においての司法行政事務全般を担う職業です。

価値観の多様化により、高まる司法へのニーズに対応するための迅速で適正な裁判を支える重要な職業になります。