政策共創プラットフォーム『PoliPoli』(https://polipoli-web.com/)を運営する事務局が、2023年7月の「医療・健康」に関する注目ニュースをお届けします!
(1)9月1日発足に向けて「内閣感染症危機管理統括庁」の準備が進む。
7月21日、後藤内閣府特命担当大臣は、感染症対策を一元的に担う司令塔として、「内閣感染症危機管理統括庁」を9月1日に発足させることを記者会見で改めて明らかにしました。これは、2023年4月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案」が成立・公布したことを受け、6ヶ月以内の発足に向けて準備を進めていたものです。
発足のきっかけは、現在も続いている新型コロナウイルス感染症の対策に関する司令塔の機能不全と縦割りの弊害が強く顕在化したことです。例えば、十分な医療提供体制を整えることができなかったことや、医療従事者や公衆衛生に関する人材不足の中で、政府、省庁、地方自治体の連携が円滑に進まなかったこと、また感染症対策の政策プロセスや役割分担が決まっておらず、対応が後手になってしまったことなどが挙げられます。
「内閣感染症危機管理統括庁」は、この課題に対する解決策としての組織であり、各府省庁等に対する強力な権限と感染症対応の中核を担う厚生労働省との一体的な対応機能を持つことになります。特に、地方との連携については発足後の行動計画の策定に伴い、どのように司令塔機能を活かすかを注視する必要があります。
(参考)
・参議院「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案」
・内閣官房「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案の概要」
・内閣府「後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨令和5年7月21日」
(2)事業者の声で、改正旅館業法が可決。施行に向けて指針が話し合われる。
7月28日、厚生労働省において「第1回改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会」が開催されました。この検討会は、6月14日に公布された改正旅館業法の円滑な施行に向けて、有識者の間で意見を交わし、具体的な政省令や指針の内容を検討するためのものです。
「改正旅館業法」は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に、旅館業の事業承継手続の整備や、旅館・ホテルの現場に即した柔軟な感染症対策が行えるよう必要な措置を検討すべきという事業者の声を受け、2022年10月に議案提出されたものです。国会質疑においても、利用者だけでなく労働者の健康も守られるべきといった事業者側を守る視点の発言もありました。
検討会では、改正旅館業法の施行にあたり、以下の点について論点となりました。
・宿泊者に対する感染防止対策への協力依頼について
・宿泊拒否の対象について(留意点)
・差別防止の更なる徹底について
検討会は、今後も継続して開催される予定で、検討会の下にワーキンググループの設置、またパブリックコメント等の手続きを踏まえて、より具体的な政省令・指針を策定し、かつ事業者をはじめ国民への周知を図り、今年12月13日の施行に向けて進む予定です。
(参考)
・厚生労働省「第1回改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会」
・内閣法制局「新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案」
・厚生労働省「旅館業法の見直しに係る検討会」
(3)2024年度介護報酬改定、介護保険制度の持続可能性を図る
厚生労働省は、2024年度の介護報酬改定に向けて「介護給付費分科会」が開催され、先月からサービス別に審議を開始しています。7月は、2021年の介護報酬改定の内容の振り返りと、2024年度介護報酬改定に向けての論点整理が行われました。
介護保険については、国の重要課題である少子化対策に対する財源確保のため、社会保障料が充てられる可能性も示唆されており、この改定が事業者にとってプラスに働くかどうかに関心が集まっています。
各サービスにおける共通する課題として、人手不足が挙げられます。有効求人倍率は年々増加。介護員不足のために利用者の受け入れができない、または事業自体の継続危機の課題があり、訪問介護員の高齢化も問題となっています。平均年齢が54.4歳、65歳以上の割合が25%ということもあり、今後更なる人員不足が予測されています。訪問関連のサービスについての課題としては、中山間地域など移動時間が障害となり、地方でのサービス提供に対する報酬設定の見直しが求められています。
6月に閣議決定された「骨太の方針2023」では、介護業界での「効果的・効率的に対応する」という医療同様に介護DXを求めていますが、未だ検討中の内容も多く、事業者としても物価高騰の中でどこまで耐えうることができるか心配する声が上がっています。
サービス別の審議は8月まで話し合われ、その後の業界団体ヒアリングや再度のサービス別の審議を経て、今年中に「介護給付費分科会」としての2024年度介護報酬改定の改定率などの意見が取りまとめられる予定となっています。
(参考)
・厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」
・厚生労働省「介護報酬」
・内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2023」
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参考URL:株式会社PoliPoli|note ニュースレター|2023年7月【医療・健康】注目の動き・ニュース