政策共創プラットフォーム『PoliPoli』(https://polipoli-web.com/ )を運営する事務局が、注目されている政策課題を、ニュースレターとしてお届けします。
政策・取り組みから見る注目のニュースについて、ぜひご覧ください。
<概要>
「年収の壁」とは、世帯主の扶養範囲で働く人の年収の基準を指す用語で、「106万円」や「130万円」などのいくつかのラインがあります。例えば、年収が106万円を超えると、厚生年金・健康保険に加入することになり、保険料負担が発生します。手取りの増加に繋がらない問題から、労働意欲が低下し、結果として「働き控え」の現象が起こっています。
政府では、扶養範囲で働くパート・アルバイトの人々が「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを後押しするため「年収の壁・支援強化パッケージ」を当面の対応策として設けました。
この取り組みの1つに「106万円の壁」の対策としての「キャリアアップ助成金」制度があります。これは、社会保険に加入させるとともに、収入を増加させる取組を行った事業主に、労働者1人につき最大50万円を助成する制度です。
2月末に「年収の壁・支援強化パッケージ」キャリアアップ助成金の受理状況がとりまとめられ、対象となる労働者数は令和5年度から令和7年度の合計で14万4,714人と公表しました。武見厚生労働大臣は、記者会見で、今後の企業の賃上げのタイミングなどをきっかけに活用を進めてもらえるように利用促進を促していきたいと述べました。また、国民年金第3号被保険者制度の見直しについても検討を進めていく意向を示しました。
<これまでの課題>
年収が一定金額を超えることで、社会保険の加入義務が生じると同時に、所得税や住民税の配偶者控除が消失することは、実際の収入が減少することを意味します。これは、パートタイムやアルバイトの労働者が年収調整のために働くことを控えることに繋がっています。
政府は2つの課題から、この事象の解決を図っています。
- 少子社会における、子育て世代への支援
- 働き手不足における、労働力の供給
<これまでの取り組み>
- 2023年6月、岸田総理大臣は「骨太の方針2023」を発表。「106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取り組みの支援などを本年中に決定・実行し、制度の見直しに取り組む」ことを明記。
- 2023年9月、「全世代型社会保障構築本部」で、「年収の壁・支援強化パッケージ」が決定。翌月10月から実施開始。
<論点>
- 「支援強化パッケージ」は当面の対応策であり、「年収の壁」解消には社会保障制度の見直しが必要です。
- すでに社会保険に加入している短時間労働者に対しての支援がなく、不平等であるとの指摘があります。
- キャリアアップ助成金の支給は、所定の取り組みを6か月間継続した後、2か月以内に申請することが条件となっており、支給までに時間がかかるとされています。
(参考)
・厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」
『PoliPoli』に掲載されている、医療・健康に関する政策
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参考URL:株式会社PoliPoli|note ニュースレター