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ソーシャルビジネスとは?事業概要や事例について簡単解説

投稿日2021.3.9
最終更新日2021.03.09

ソーシャルビジネスとは、貧困や環境問題などの社会的課題を解決することを目的としたビシネスを指します。

今回の記事では、

  • ソーシャルビジネスの概要
  • ソーシャルビジネスの事例
  • ソーシャルビジネスの課題

について詳しく解説していきたいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。 

1、ソーシャルビジネスとは

ソーシャルビジネス
ソーシャルビジネスとは、地域や社会が抱える課題の解決を目的とした、ビジネス全般のことを指します。

国や地域によって社会の形や課題が異なるため、何がソーシャルビジネスなのかは、はっきりとは定義されていません。

「ソーシャルビジネス」という言葉が世界に広まるきっかけとなったのは、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士だと言われています。

ユヌス博士は「ユヌス・ソーシャルビジネス」として以下7つの原則を設けています。

  1. 利益の最大化ではなく、貧困・教育・健康・情報アクセス・環境など社会を脅かす問題解決を経営の目的とする
  2. 財務、経済的な持続可能性の実現
  3. 投資家は投資額以上の配当は還元されない
  4. 投資された元本以上に利益が出たらソーシャルビジネスの普及や改善のために使う
  5. 環境に配慮した事業
  6. 市場賃金と標準以上の労働条件を従業員に提供する
  7. 楽しみながら事業活動をする

経済産業省では、地域社会が持つ課題解決を目的とする事業をソーシャルビジネス、あるいはコミュニティビジネスとしています。

また、社会の問題解決ではなく社会貢献をする事業もソーシャルビジネスと形容する例もあるようです。

参考:経済産業省

次章からは、経済産業省が紹介しているソーシャルビジネスの事例を見ていきましょう。

2、地域活性化に取り組むソーシャルビジネス 

まずご紹介するのは、地域の活性化を目的としたソーシャルビジネスです。

(1)スキー場の再建

特定非営利活動法人 不忘アザレアは、宮城県白石市のスキー場の再建に取り組みました。

民間企業が放棄し行政も難色を示した再建計画ですが、地域の子供達の娯楽が失われないよう地元の医師・旅館業からメンバーが集り不忘アザレアを立ち上げました。

不忘アザレアでは、メンテナンスや飲食物におけるコスト面を見直しつつ、地元会社への優先的な依頼により、地域活性化も図ったのです。

またシーズン外のイベント開催や、顧客の声を活かす取り組みによって、従業員の満足度が上がり、年間およそ6,000万円の事業収入を上げるまでに成長しました。

(2)地域情報サイトの運営

株式会社 フューチャーリンクネットワークは、千葉県船橋市のローカル情報を掲載する「まいぷれ」などを運営しています。

「まいぷれ」の特徴は、官民連携による情報システムにあります。

たとえば、

  • 大手検索エンジンでは表示されずらい、地元の小さな店の情報
  • 地域行政と民間の子育てに関する情報

など「地元の人が本当に知りたい情報」に焦点を当てて掲載しています。

 またスマホ・PC・カーナビなど幅広いデバイスに対応しており、店側も情報更新がしやすく、利用者は鮮度の良い最新情報にアクセスできます。

 まいぷれに掲載されているお店は、1件も潰れておらず地域にとって重要な情報インフラとなっているようです。

参考:経済産業省

3、子育て支援・高齢者対策等に取り組むソーシャルビジネス

ソーシャルビジネス
子育て世代や高齢者を対象にしたソーシャルビジネスも多数存在しています。
ここでは、子育て支援や福祉提供に関するソーシャルビジネスの事例を見ていきましょう。 

(1)SNSを活用した子育て支援

株式会社 MammyProは、地域密着型子育てサイト「ママナビ」を運営し、子育てに関する

  • SNS
  • 雑誌
  • イベント
  • 商品開発
  • マーケティング

などのビジネスを展開しています。

子育てに関する情報は、都内で運営されているサイトによるものが多く、地元の情報が手に入りにくいことが契機となり、母親と企業を繋ぐメディアが設立されました。

「子供がいる主婦を雇う」というポリシーの元、常勤スタッフは全員母親だそうです。
イベントの企画・実現のスピードも重視し、世相や親のニーズを捉えた上質な情報を発信しています。

(2)福祉の提供

特定非営利活動法人 ハートフルは、在宅ホームヘルパーにおける

  • 冷たい宅配の食事
  • 散歩に連れて行かれない犬

などの問題を解決するために設立されました。

ランチジャーを利用した温かい食事を提供しはじめたところ、徐々に評判が広まり依頼も増えていきました。

宅配食事業の他にも、

  • 掃除
  • 送迎
  • お墓参り

などの高齢者支援を展開しています。

またホームヘルパー養成講座も行っており、職員の意識向上や、受講者によるハートフル活動への参加に繋がっています。

参考:経済産業省 

4、企業家の育成や経営支援に取り組むソーシャルビジネス

企業家を育成し、経営自体をサポートするタイプのソーシャルビジネスもあります。

(1)インターンシップを中心に据えた事業

特定非営利活動法人G-netは、「夢に向かって挑戦するヒトを応援すること」をテーマにソーシャルビジネスを行う団体です。

当初は、若年層のモチベーションを高めるために、著名人による講演会を半年ほど行う予定でしたが、徐々に地域の人々の支持を集めて法人化しました。

長期実践型インターンシップを中心に、女性・シニア・若者を対象とした創業塾やインキュベーション施設の運営を行っています。

学生側は魅力ある仕事を実務を通して学ぶことができ、企業側はテストマーケティングなどができるため、両者にとって嬉しい仕組みです。 

(2)NPOの設立・運営支援

特定非営利活動法人 大阪NPOセンターは、NPOの設立・運営の支援や人材育成などのコンサルティングを行っています。

大阪NPOセンターは、1996年11月に大阪の青年会議所のメンバーが主体となり、市民団体の課題解決のために発足しました。

法人立ち上げ当初から、弁護士・税理士・会計士・社労士などの専門家が参加し、NPOコンサルの先駆け的存在となったのです。

「営利と非営利の垣根を超え、社会問題の解決という共通の目的をもった市民社会の創造」をミッションに掲げています。 

参考:経済産業省

5、ソーシャル・ビジネスの課題

ソーシャルビジネスは、日本でも徐々に広まりつつありますが、その妨げとなる課題も存在しています。

主な課題としては、

  • 資金調達
  • 人材育成システム
  • 認知度の拡大

の3つがあると言われてます。 

また、マーケティング・経理・企画など、専門分野におけり人材確保、事業として発展・拡大を目指すことも大切です。

まとめ

ソーシャルビジネスは、社会が抱える課題を解決して、より良い社会を目指すビジネスの形です。 

地域の課題に取り組みつつ、ビジネスとして収益をあげることで、継続的な活動に繋がっていきます。

世界的にも社会問題や環境問題への意識が高まっているので、ソーシャルビジネスは今後ますます発展していくかもしれません。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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