
立憲民主党の野田代表は、食料品の消費税を原則1年間ゼロ%に引き下げた後、「給付付き税額控除」に移行する案を今夏の参院選の公約に盛り込む考えを示しました。引き下げ期間は経済状況によって一度だけ延長可能とし、短期的な物価高対策もまとめる方針です。
財源は国債に頼らず、地方財政や将来世代の負担とならない形で確保するとしていますが、その内容や各党の反応についてわかりやすく解説します。
立憲が参院選公約に「食料品の消費税ゼロ」その内容
立憲民主党の野田佳彦代表は、2025年夏の参院選に向けて、以下の方針を示しました。
・「食料品の消費税を原則1年間ゼロ%」に引き下げる。
・その後は「給付付き税額控除」に移行する。
・経済状況によっては、1回限り期間延長も可能とする。
・短期的な物価高対策パッケージ もまとめる。
・財源は赤字国債に頼らず、地方財政や将来世代に負担をかけない形で確保。
野田氏は民主党政権時代、消費税8%・10%引き上げの3党合意を主導した人物です。これまで一貫して財政規律を重視した立場をとっており、税率引き下げには慎重な姿勢でした。しかし、今回は社会保障と税の一体改革を推進した立場から変わり、財政規律を重視しつつ、現実の生活を直視した対応が必要だと強調しました。
立憲民主党の江田元代表代行は、野田氏の決断を「財政規律を尊重しつつ国民を守るもの」と評価しています。
「食料品の消費税ゼロ」に対する各党の動き
各党の反応はどのようなものでしょうか。各党代表らは野田氏の提案について、以下のようにコメントしています。
■自民党・森山幹事長
「消費税は最重要財源。1年限定なら減税以外も考えるべき」と慎重。
■公明党・斉藤代表
「野田氏は以前、軽減税率を『愚策』と批判していた。違和感がある」と指摘。
■国民民主党・玉木代表
飲食店に大きな悪影響を与えると懸念を表明。「一律で消費税を5%に下げる方がよい」と提案
■共産党・山添政策委員長
「消費税減税が争点になるのは歓迎。大企業・富裕層にも応分負担を」と主張。
そのほか、日本維新の会も以前より消費税引き下げを主張しています。自民党内部でも減税を求める声が徐々に出始めており、物価高と消費税減税は2025年夏の参院選の大きな争点の一つとなりそうです。
「食料品の消費税ゼロ」の背景にある物価高の現状とは
また、物価高についてはさらに加速しているというデータも出ています。
2025年4月、総務省は東京都区部の消費者物価指数(CPI)の速報値を発表しました。生鮮食品を除く総合指数は 前年同月比で3.4%上昇。これは 2023年7月以来21か月ぶり の高い伸びで、3月(2.4%上昇)からさらに加速しました。市場の予測(中央値3.2%上昇)も上回っています。
物価上昇の主な理由は以下の3つです。
・食料品の値上がり
・電気・ガス代補助の縮小(政府が負担軽減策を減らしたため)
・東京都の高校授業料支援の効果終了(授業料負担が戻ったため)
具体的な影響
・エネルギー費用
電気代:前年同月比13.1%上昇(3月は8.5%上昇)
都市ガス代:同4.8%上昇(3月は2.0%上昇)
・食料品(生鮮を除く)
前年同月比6.4%上昇。
特にコメは93.8%の大幅上昇で、記録が残る1971年以降で最大。
外食では、寿司8.3%増、おにぎり15.8%増。
・4月からの値上げも影響
ビール6.7%上昇(酒類全体では5.4%上昇)
キャットフードは37.0%も上昇。
東京都区部のCPIは全国の物価動向を占う「先行指標」とされます。物価上昇が加速しているため、今後、全国でもインフレ圧力が強まる可能性があります。
参考・引用:日本経済新聞
まとめ
物価高が続く中、家計への直接的な支援策が求められています。「消費税ゼロ」は国民生活に直結する大きなテーマだけに、今回の立憲民主党の公約は、他党の対応も含め、今後の議論に大きな影響を与えそうです。
この夏の参院選では、「物価高」と「消費税」が最大の争点と目されています。物価高が加速する中、「消費税減税」の各党の政策に国民の注目が集まります。
