子どもと接する仕事をする人たちの性犯罪歴を確認する「日本版DBS」制度の創設に関連して、政府は3月4日に、過去に性犯罪歴がない人であっても、性犯罪の恐れがあると判断された人について雇用主に対応を義務付ける内容を盛り込む方針であることが判明しました。今回の方針により、過去の犯罪歴を照会可能な仕組みの構築に加え、未然に性犯罪を防ぐための措置も併せて実施することになります。共同通信らが伝えています。
こども家庭庁は、「日本版DBS」の導入に向けた検討を進めるため、「こども関連業務従事者の性犯罪等の仕組みに関する有識者会議」で議論を進めてきました。その中で性犯罪は
- 性犯罪・性暴力はこどもの心身に生涯にわたり、回復が難しい大きな影響を与える。
- こどもも性に関する知識の未熟さや立場の弱さにより、継続に行われる可能性が高い犯罪である
であるため、教育や保育を行う事業者(学校や保育園)は、従業員が性犯罪歴を有するか否かを確認する仕組みを導入する必要がある、と結論づけられていました。
有識者会議による報告書では「日本版DBS」の導入は職業選択の自由・営業の自由を制約する可能性があるため、対象範囲を無限定に広げることは許されないと強調しています。また犯罪歴は配慮が必要な個人情報でもあるため、その管理を適切に行う必要性も提言しています。
閣議決定を経て、通常国会へと送られ、審議が始まる「日本版DBS」。SNS上では先行して同様の制度を導入する他国の事例を踏まえた議論が必要との意見も上がっています。今後は具体的にどのような場合を「性犯罪の恐れがある」と認定するのか、といった詰めの議論が行われる見通しです。