概要
要約
この国会質疑では、経済安全保障と情報保護に関する法案が中心議題となり、情報共有の枠組み、情報漏洩のリスク、外国の影響力、スパイ防止法の必要性、アクティブサイバーディフェンス法制の検討など、安全保障と経済政策の多方面での課題が議論されました。
経済安全保障と情報保護
阿部司議員は、経済安全保障と情報保護に関する法案に焦点を当て、重要経済安保情報の保護活用が国際競争力の向上と安全保障の確保にどのように貢献するかについて質問しました。岸田総理は、情報保護協定の締結が国家間の情報協力を向上させる基盤であると回答し、ウクライナとの交渉進行中であることを明らかにしました。
情報共有の枠組み
阿部議員は日本がファイブアイズなどの情報共有の枠組みに参加するための協力をアメリカに求めることを提案しました。岸田総理は情報分野での国際連携の重要性を認めつつも、具体的な連携の詳細については言及を避けました。
情報漏洩のリスクと課題
法案成立後も情報漏洩のリスクが残ることについて、阿部議員は懸念を表明しました。岸田総理は技術流出対策や外国の影響力に対する警戒など、引き続き多岐にわたる課題に取り組む必要があると述べました。
外国の影響力とエネルギー政策
阿部議員は、中国企業のロゴが入った資料が内閣府のタスクフォースで提出されたことを例に、外国の影響力がエネルギー政策などに及んでいる疑念を提起しました。岸田総理は、エネルギーセキュリティを国の安全保障の核心として、外国からの干渉を排除する体制の必要性を強調しました。
スパイ防止法の必要性
阿部議員は、日本におけるスパイ行為の取り締まりに関する法律の欠落について問題提起しました。岸田総理はカウンターインテリジェンスの強化の重要性を認めつつも、スパイ防止法に関しては議論が続いていると述べました。
アクティブサイバーディフェンス法制
阿部議員は、アクティブサイバーディフェンスに関する法制化のスケジュールと総理の意気込みを尋ねました。岸田総理は、サイバー対応能力の強化が現代の安全保障環境でますます重要になっていることを認識し、法案提示に向けた検討を加速するよう指示していると回答しました。
対象となる法案
- 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(213国会閣24)
- 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(213国会閣25)
委員会名
衆議院 内閣委員会
質疑者
阿部司(日本維新の会・教育無償化を実現する会)
日時
2024年4月5日
衆議院・参議院 インターネット審議中継 リンク
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&media_type=&deli_id=55106&time=10206.5
文字起こし
以下、質疑の文字起こしです。文字起こしには生成AIを利用しています。正確な内容については実際の動画をご覧ください。
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阿部司議員
日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。私は法案中心に質問させていただきます。総理、本案は重要経済安保情報を的確に保護活用することで、国家間の互換性を確保して、同盟国、同志国と、経済重要安保情報を流通させることによって、国際競争力の向上ですとか、安全保障の確保に効果を発揮するものと期待をされております。
有識者会議におきましても、この新しい国際的枠組みの必要性が指摘をされておりますが、総理、具体的にどのような姿を目指していくのかご回答をご答弁をお願いします。
岸田内閣総理大臣
同盟国・同志国との関係については、これ有識者会議の最終取りまとめにおいて、同盟国・同志国との間で新たに必要となる国際的な枠組みについても取り組みを進めるていくべきである。
このようにされているわけですが、我が国は例えば、この相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報を、それぞれの国内法等に従って保護することなどを定める情報保護協定、今現在9カ国9の国・機関との間で締結をしており、さらに現在カナダ、ニュージーランドと交渉中。
またウクライナとは交渉開始を発表した状況にあります。この情報保護協定の締結、これ我が国政府と相手国政府との間の情報協力を向上させる基盤となるものだと考えています。こうした基盤整備の必要性や重要性、また相手国家の要望等を総合的に勘案して、この新たな協定締結の要否について、今後も不断に検討を続けていきたいと考えております。
阿部司議員
今後不断に検討を続けていくということでありましたが、総理来週訪米されてバイデン大統領と会談予定と聞いております。機密情報の共有の枠組みにつきましてもですね、我が国が現在参加できていない枠組み、例えばファイブアイズのような、枠組みにもですね、しっかり日本が参加できるよう、アメリカに協力の合意を取り付けていただきたいと考えますがご所見いかがでしょうか?
岸田内閣総理大臣
情報分野における関係国等と具体的な連携のあり方、これはですね現状も、詳細までは明らかになっていないこういったものであると思います。ご指摘のファイブアイズについても、ご指摘、存在これは指摘をされているわけでありますが、どこまで明らかになっているか。
こういった点については明らかになっていない点も多い。こういった状況にあります。この情報分野における関係国との関係はそういうものだと思います。ですから、日米首脳会談等においてさらに、こういった関係を深めるかどうか、こういったことについて情報分野における関係をどのように深めるかということについて、これをお答えすることは控えなければならないと考えています。
その上で、国際情勢が一層厳しさを増す中で、政府全体の情報収集、そして分析能力を向上するとともに、関係国との連携を深めていく。これは重要な取り組みであると認識をいたします。米国は初め関係国とも緊密に連携しながら、我が国の情報収集分析能力の充実および情報の保全、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。その中で米国は重要な関係国であると認識をしております。
阿部司議員
はいよろしくお願いします。この法案ですね、成立したとしてもですね、情報漏洩のリスク、残ると思います。先ほど高市大臣とも議論させていただいたんですけども、ますます厳しさを増す国際情勢の中でですね、安全保障上これ経済安全保障も含まれますけれども、どのような課題が残されているのか、いると認識されているか総理大臣、お伺いします。
岸田内閣総理大臣
まずは両法案成立に向けて全力で取り組んでまいりたいと思いますが、今安全保障の対象が、経済分野でも低い経済分野でも拡大している。こういったことで、こういった法案の議論も行われているわけでありますから、これ引き続き法案成立がもしなったとしても、その後も多岐にわたる課題に取り組んでいくこれは必要であると思っています。
例えば、この技術流出対策は、我が国の技術的優位性を確保・維持する観点から、経済安全保障上、重要な課題であり、この不正競争防止法や外為法など用いた機微情報の流出防止、こうしたことに取り組んでいるわけですが、今後とも、安全保障を確保するために政府として今言った取り組みを含めてどんな取り組みを具体的に進めていくのか。
これは常に検討し、そして見直していかなければならない課題であると認識をいたします。
阿部司議員
はい依然として課題は残っているわけであります。関連して次の質問に今入りたいんですけれども、先日ですね、再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォースで、公益財団法人自然エネルギー財団の事業局長を務める民間構成員が提出した資料2中国国営企業のロゴマークが入っていた。この問題、エネルギー政策という国家の根幹に関わる議論の場にですね、中国の影響力が及んでいたという疑惑がですね、浮上しております。
我が党の音喜多議員もですね、質問させていただきまして、総理からもですね、まず事実確認と、不適切な内容があると判断、判明すればですね、厳正に対応していくというご答弁をいただいておりますが、この調査の進捗を伺いをいたします。
岸田内閣総理大臣
エネルギーセキュリティ、これは言うまでもなく国の安全保障の中核の一つです。関連政策の検討に当たっては、他国から干渉されない体制を確保しなければならない。これは当然のことだと思います。
そしてご指摘の事案については、現在河野大臣の下、内閣において、厳正に調査を行っている。まさにその最中であると承知をしております。そその上で、さらに詳細が知りたいということであるならば、調査を行っている内閣府から答弁をさせますが、いかがでしょうか?
阿部司議員
内閣府政府参考人お願いします。
内閣府 稲熊規制改革推進室次長
お答えいたします。お尋ねの内閣府の歳出エネタスクフォースの構成員が提出した資料に中国企業のロゴの記載があった件の調査につきましては、内閣府におきまして、同資料を提出した大林元構成員および同氏が所属する自然エネルギー財団等がその意思決定に当たって、中国政府、企業から不当な影響力を行使されうる関係性があったか否かなどにつきまして、引き続き詳細な事実関係の確認などの調査を行っております。
具体的には聞き取り調査の他、大林元構成員または自然エネルギー財団が中国政府企業から受けた資金提供などの経済的利益の有無およびその程度等につきまして報告を求めているところでございます。本件につきましては、内閣府といたしまして、速やかにしっかりと調査を進めてまいります。
阿部司議員
しっかり調査するというご答弁いただきました。調査中ということですが、総理、これですね全省庁でこの他国の影響力工作が行われていないか、改めて点検すべきではないでしょうか?いかがでしょうか?
岸田内閣総理大臣
政府の審議会等の運営については各決定された審議会等の運営に関する指針において、まず一つは、委員構成が公正かつ均衡のとれたものとなること、そして委員の氏名等について公表すること、透明性の確保を図るため議事録を原則公開することこういったことを定めております。
審議会等の適正な運営に当たってはこの指針を徹底することが重要だと思います。改めて関係府省において、この指針の徹底を図ることによって、政策形成のプロセス確保していきたいと考えております。
阿部司議員
指針の徹底だけで私、たりないと思います。実態調査をぜひ進めていただきますようお願いします。この中国ロゴ問題ですね、3月31日の産経新聞の記事によりますと、財団の主張は、再エネを進めると同時に火力発電は駄目というもの。
中国やロシアを含めた東アジアで、送電網を整備するアジアスーパーグリッド構想を掲げ、日本の電力が足りなくなれば中国やロシアから融通すればいいと提言をしていた。河野大臣は外務大臣の平成30年に気候変動に関するですね、有識者会議の民間構成員を登用したと。そして河野大臣は防衛省を時代の令和元年に全ての防衛省そして自衛隊施設の電力調達で再エネ比率100%を掲げ、基地によっては100%達成した。
ある基地では、タイ資本のエネルギー小売事業者から再エネ供給されて、その経営者は華僑系でありまして、自衛隊の電力使用状況が把握できる状況にあったとこのような記事がありました。
総理、閣僚がですね、他国の影響力工作を受けて政策決定が歪められる。または機密情報を漏洩するような事態も、これ懸念される事態だと思います。従ってですね、政務三役のこの法案における適正評価、再度検討すべきだと思いますが、ご見解いかがでしょうか?
岸田内閣総理大臣
ご指摘の点、そして少なくとも政策決定プロセスが歪められたこういった事実については承知はしておりませんが、いずれにせよ、国務大臣副大臣、政務官などについて、特定秘密保護法においても、あるいは今ご審議いただいている法案においても、これ適正評価を受ける受けることは要しない。
このように規定をされています。そして、これについては従来ずいぶん議論をいただいたことだと思います。内閣総理大臣がその任命に当たり必要な考慮を行っていることから、適正、評価の対象外としている。こうしたことであります。こうした任命時、この必要な考慮、これを今後とも、より徹底してまいりたいと考えております。
阿部司議員
私、政務三役の、この適正評価についてですね、この法案の穴だと思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。そしてですね、重要経済安保情報のを保全を行うための制度を作ることこれ自体は評価いたします。
しかしですね、更なるカウンターインテリジェンスの強化が必要だと思います。
このセキュリティクリアランスの有資格者に対する懸念国からの工作、先ほど高市大臣と議論させていただきました。こちら懸念されます。で、防諜カウンターインテリジェンス懸念国の諜報活動の取り締まり、こちらですね、国連憲章の51条、第51条に基づく自衛権の一環としてもですね、独立国として固有の権利でありまして、各国はスパイ防止法をそして国家機密法、刑法等の形でですね、スパイの取り締まりのですね、根拠を規定を設けて、防諜カウンターインテリジェンスを行っていますが我が国にはですね、他国のスパイ行為を取り締まる法律そのものが欠落をしております。
我が国はスパイ天国等を揶揄される所以であります。本来的には長年の課題であったスパイ防止を設けることでですね、懸念国からの工作を取り締まるべきだと考えております。ちなみに各国ではスパイ行為に言い対する刑罰は、アメリカ連邦大法典794条死刑イギリス国家機密法一条拘禁刑フランス刑法72条-73条無期懲役などなどですね、割愛しますが、死刑無期懲役とすることでスパイ行為の抑止を行っております。
G7でいわゆるスパイ防止法、未だに設けることが設けることができてないの我が国だけでありますがこのセキュリティクリアランスの保有者をですね懸念国の工作から保護するために、このスパイ防止法をですねぜひ検討をすべきだと思いますが、総理ご見解をお願いします。
岸田内閣総理大臣
まず委員ご指摘のようにカウンターインテリジェンスの考え方にたって対応を強化していく。これは大変重要な取り組みだと思います。そしてその議論の中でご指摘のようにスパイ防止法の必要性についても議論されてきた従来も議論されてきた。こういったことであると認識をしています。
ただスパイ防止法そのものについては、議論は行われてきましたが、様々な課題もあるという議論が続けられていると承知をしています。この議論は大事なことであるとは思いますが、ただ、今現実はどんどん動いておりますので、その一方で政府の立場としては、こうしたカウンターインテリジェンスに関する取り組み、これを重要な情報等を保護することが極めて重要であるという観点から、取り組みを充実させていく。具体的に充実努力を強化していきたい。このように考えております。
阿部司議員
最後にアクティブサイバーディフェンス法制実現のスケジュール、そして総理の意気込みをお伺いしたいと思います。
岸田内閣総理大臣
我が国のサイバー対応能力を強化するこのこれは今の現在の安全保障環境を考えますとますます重要になっている。こうした現状にあると思います。
そして我が国の国家安全保障戦略においても、内閣サイバーセキュリティセンターリスクを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に統合する新たな組織を設置し、能動的サイバー防御を含むサイバー安全保障分野における新たな取り組みの実現のために法整備、そして法制の整備、そして運用の強化を図る。これを明記しているところであります。
本年度はその第一段階として、NISCの予算や人員、これを大幅に増額、増員したところでありますが、この際はこの能動的サイバー防御の実現に向けた法案については現行法令との関係を含め様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっておりますが、可能な限り早期に法案を示しできるよう検討を加速するべく、私からも直接指示を出したところであります。
阿部司議員
時間が来ましたので終わります。ありがとうざいました。
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