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閣議とは?閣議の基本と開催の流れを簡単に説明

投稿日2022.9.20
最終更新日2023.02.16

閣議(かくぎ)とは、内閣の意思決定を行う会議です。
内閣は国家の行政権を担当する最高機関であり、閣議での決定は我が国の政策の土台になります。

閣議ではどのような話し合いが行われているのでしょうか?
本記事では

  • 閣議とは
  • 閣議の運営方法
  • 閣議の公表方法

などについて解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

閣議決定について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

閣議決定とは?何が決まるのか・閣議決定の流れを簡単解説

「閣議決定」とは内閣の会議における意思決定のことです。 閣議決定という言葉は国政に関するニュースで、たびたび耳にするかもしれません。 今回は 閣議決定の概要 閣議決定で決まること 法律の制定と閣議決定の関係 について解説します。 1、閣議決定とは 例えば、政府の予算案(国家公務員の給与や公共事業の費用など)がつくられる時にはまず省庁が必要な予算を作成し、財務...

1、閣議とは

閣議
閣議とは、内閣を構成する内閣総理大臣と国務大臣の会議です。
閣議を定めている内閣法第4条を見てみましょう。

内閣法第4条より

第四条 内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。

2 閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。この場合において、内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。

3 各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。

引用:内閣法 e-Gov 電子政府の窓口

内閣法第4条をまとめると、閣議とは

  • 内閣総理大臣をリーダーとし、議題を発議する
  • 国務大臣が開催を求めることもできる

などの特徴を持つ会議であることがわかります。
閣議での決定事項は、その後国会へ提出されるものもあります。

例えば法律案は、閣議で検討された後、内閣総理大臣が国会に提出するのです。
これは法律を作る立法権は内閣にはなく、国会にあるためです。

閣議

画像出典:ミミズク博士と社会科を学ぼう! 首相官邸きっず

(1)閣議の構成員

閣議に参加する内閣のメンバーは、内閣法第2条に記載されています。

内閣法第2条より

第二条 内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。

2 前項の国務大臣の数は、十四人以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、三人を限度にその数を増加し、十七人以内とすることができる。

引用:内閣法 e-Gov 電子政府の窓口

つまり、閣議の構成員は、内閣総理大臣と国務大臣です。
ちなみに国務大臣の数は内閣法の改正により変わることがあります。

2015年には、東京オリンピックとパラリンピック競技大会推進本部が置かれたため、閣議には16名以内(特別な場合は19名以内)の国務大臣が参加できるようになりました。

参考:内閣制度の概要 首相官邸

(2)閣議の運営

閣議は内閣総理大臣が主宰します。
閣議の進行は、内閣官房長官の担当です。

案件の説明や閣議の運営補助は、内閣官房副長官及び内閣法制局長官が行います。
案件によっては、担当の大臣が説明する場合もあります。

閣議の意思決定の際には全大臣の署名が必要であり、多数決は採用されていません。
この全員一致の意思決定は、内閣法第1条の連帯責任に基づいています。

内閣法第1条より

第一条 内閣は、国民主権の理念にのつとり、日本国憲法第七十三条その他日本国憲法に定める職権を行う。

2 内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う。

引用:内閣法 e-Gov 電子政府の窓口

参考:閣議 首相官邸

(3)閣議の公表

閣議の概要は内閣官房長官の記者会見で発表されます。
しかし、国会のように閣議の状況が放送されることはなく、閣議自体は非公開です。

閣議が非公開である理由には

  • 各大臣が自由に意見を交換するため
  •   全員一致の一体性や統一性を確保するため

などが挙げられています。
閣議の議事記録については、3週間後から首相官邸のホームページで閲覧可能です。

参考閣議 首相官邸

2、閣議の種類

閣議には以下の3つの種類があります。

  • 定例会議
  •  臨時会議
  • 持ち回り会議

それぞれ解説していきましょう。

(1)定例閣議

定例閣議とは、決まった曜日に開催される閣議です。
毎週火曜日と金曜日の午前10時から開催されます。

開催場所は総理官邸の閣議室ですが、国会が開会されている間は国会議事堂内の閣議室が開催場所になります。

2020年11月13日の定例閣議では

  • 一般案件(諸外国の大使への対応について)
  • 国会提出案件(衆議院議員からの質問に対する答弁書について)
  • 人事(特命全権大使の任命や叙位(じょい)又は叙勲(じょくん)について)

などの3つの議題が話し合われました。

参考:令和2年11月13日(金)定例閣議案件 首相官邸

(2)臨時閣議

臨時閣議は、緊急に話し合われる必要がある場合に開催される閣議です。
定例閣議とは異なり、日時は関係なく開催されます。

2020年10月26日(月曜日)に開催された臨時閣議では

  •  一般案件(国会での菅内閣総理大臣の所信表明演説案について)
  • 国会提出案件(国会の会期前に逮捕された国会議員の氏名等の通知について)

の2つの議題が話し合われました。

参考:令和2年10月26日(月)臨時閣議案件 首相官邸

(3)持ち回り閣議

持ち回り閣議は、名前の通り、閣議書を各大臣に持ち回り開催する閣議です。
大臣が閣議室に集まる必要がないため、定例閣議や臨時閣議よりも素早く対応できる点が特徴です。

臨時閣議よりも早急に処理する案件がある場合に開かれます。
閣議書に大臣全員の署名がそろうと、閣議決定となります。

2020年11月6日の持ち回り閣議では

  • 一般案件(公務員の給与改定の取り扱いについて)
  • 法律案(一般職と特別職の職員、防衛省の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について)

の2つの議題が挙がりました。

参考:令和2年11月6日(金)持ち回り閣議案件 首相官邸

3、閣議での意思決定の形式

閣議
閣議では、3種類の意思決定の形式があります。
それぞれ解説していきましょう。

(1)閣議決定

閣議決定は

  • 憲法や法律で閣議の決定が必要とされるもの
  • 法令上の規定はないものの、特に重要とされるもの

の2つの案件への方針決定を指します。
閣議決定について更に詳しく知りたい方は以下の関連記事も併せてご確認下さい。

閣議決定とは?何が決まるのか・閣議決定の流れを簡単解説

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(2)閣議了解

閣議了解とは、各府省が関係を持つ案件への意見調整です。

本来は主任大臣が決定できるものの、他の府省にも影響する重要な案件については、閣議で他の大臣の意見も聞き、了解を得るのです。

(3)閣議報告

閣議報告とは、国務大臣による報告の場です。
各大臣が担当している仕事(行政事務)について、他の閣議参加者に伝えます。

閣議報告には、国の審議会への答申(意見を述べること)や調査結果の報告も含まれています。

参考:閣議 首相官邸

4、閣議付案件とは

閣議付案件とは、閣議が必要とされる案件(内閣の意思決定が必要なもの)を指します。
内閣官房の資料から引用した閣議付案件は以下の通りです。

  • 法律案・政令の決定及び法律・政令の公布

  • 詔書(国会の召集、衆議院の解散、総選挙等の施行)

  • 国会提出案件(議員の質問に対する答弁書、年次報告書)

  • 条約の締結、批准及び公布  内閣総理大臣、最高裁判所長官の任命にかかる内閣の助言と承認

  • 国務大臣の任免の認証にかかる内閣の助言と承認

  • 内閣官房副長官,副大臣、検事総長、特命全権大使,最高裁判所判等の任免

  • 人事官、検査官等の国会の同意を要する人事

引用:閣議及び閣僚懇談会について 内閣官房

上記の閣議付案件を見てみると、ほとんどの案件が法律や人事など、行政の土台となる案件であることがわかります。

また、そのほかにも政府声明や国会での内閣総理大臣の演説案など、法令上の規定がなくても閣議の決定が必要と考えられている案件もあります。

閣議に関するQ&A

Q1.閣議での意思決定の形式は?

閣議では、3種類の意思決定の形式があります。

  • 閣議決定
  • 閣議了解
  • 閣議報告

Q2.閣議付案件とは?

閣議付案件とは、閣議が必要とされる案件(内閣の意思決定が必要なもの)を指します。

Q3.閣議の構成員は?

閣議の構成員は、内閣総理大臣と国務大臣です。
ちなみに国務大臣の数は内閣法の改正により変わることがあります。

2015年には、東京オリンピックとパラリンピック競技大会推進本部が置かれたため、閣議には16名以内(特別な場合は19名以内)の国務大臣が参加できるようになりました。

まとめ

今回は閣議について解説しました。
閣議をひも解いていくことで、内閣と国会、内閣と府省など、さまざまな機関の関係性への理解がより深まったと思います。

閣議は我が国の将来の土台となる大切な会議です。

閣議に興味を持たれた方は、首相官邸ホームページ内の『閣議の案件リスト』や『総理の1日』もぜひのぞいてみてください。

 

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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