政治ドットコム内閣その他の職務政府インターネットテレビとは?役割や政府の広報戦略について

政府インターネットテレビとは?役割や政府の広報戦略について

投稿日2020.9.3
最終更新日2020.09.03

「政府インターネットテレビ」とは、内閣官房内閣広報室と内閣府大臣官房政府広報室という、2つの行政機関が共同で運営している「政府版の動画配信サービス」です。

開設されたのは2005年ですが、昨今の動画ブームと共に動画内容の品が上がってきました。

そこで今回は政府インターネットテレビについてご紹介致します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、政府インターネットテレビとは

政府インターネットテレビ
政府インターネットテレビの基本コンセプトは、政府の動向や重要政策を国民に動画で紹介することです。
数分から30分程度の動画を多数配信しています。

政府インターネットテレビの運営を担っている内閣官房と内閣府は、いずれも首相をトップとする組織で、首相や内閣の仕事をサポートする政府の司令塔です。

(1)政策を丁寧に説明するためのツール

政府は法律に基づいて活動しているわけですが、国民の理解を得たうえでないと政策をスムーズに遂行することはできません。

そこで、動画という視覚的に理解しやすいメディアツールを使って、政策を丁寧にわかりやすく説明しています。

(2)重要情報の提供

政府インターネットテレビには、重要情報を提供する機能もあります。
例えば、新型コロナウイルス関連の情報は、政府インターネットテレビでもかなり詳しく紹介されています。

政府が公表したいと考える重要情報はこれまで、新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアが報道することで、国民に周知されてきました。

しかし、新聞社、出版社、テレビ局は民間企業なので、政府はニュースの内容や届け方をコントロールすることはできません。

当然ですが、政府に「この情報を報じなければならない」とマスメディアに命じる権限はないためです。

ちなみにNHKは政府から公共放送事業体として独立しています。
しかし政府インターネットテレビを駆使することで、政府は国民に知らせたい情報を正確に直接提供することができるのです。

参考:政府インターネットテレビ

2、政府インターネットテレビで取り扱われる内容

政府インターネットテレビのコンテンツには、以下のようなものがあります。

  • 総理演説・会見等
  • 地方創生・地域再生
  • 社会保障
  • 防災・減災
  • 暮らしの安全・安心
  • 新型コロナウイルス関連
  • 皇室チャンネル

1つずつみていきましょう。

(1)総理演説及び会見の様子

「総理演説及び会見の様子」では、例えば2020年8月6日に「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式についての記者会見」、同年8月9日には「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典についての記者会見」を放映しています。

テレビニュースでもこの会見は報じられましたが、政府インターネットテレビでは、記者の質問などの細かな部分も放映され、より臨場感のある映像になっています。

また、首相の会見では隣に手話通訳者がいることが多いのですが、テレビではカットされることも少なくありません。
そこで政府インターネットテレビでは、手話通訳に焦点を当てた映像も流しています。

参考:内閣総理大臣記者会見【手話版】

(2)地方創生・地域再生

「地方創生・地域再生」では、例えばスーパーシティ構想に関する解説動画を流しています。
この動画は、内閣府地方創生推進事務局審議官という役職の官僚の講演を撮影したものです。

スーパーシティとスマートシティの違いや、スーパーシティをつくるために必要なIT化について解説しています。

普段の生活やニュースでも、官僚の話をじっくり聞くことのできる機会は多くはないので、参考になるかもしれません。

参考:スーパーシティ構想について

(3)社会保障

「社会保障」では、「第9回社会保障制度改革推進会議」といった、かなり専門的な内容の動画も紹介されていますが、「日本人が生涯でがんにかかる確率をご存じですか?」というタイトルの、一般の人でも親しみやすい話題を取り上げた動画もあります。

(4)防災・減災

「防災・減災」では、津波や自宅の災害、地震のときの通電火災などの自然災害や二次災害の紹介とその際の適切な対応方法がまとめられています。

また、地方の民放テレビ局が制作した、大地震で被災した人の再起の軌跡を追ったドキュメント番組を借用している動画もあります。

民放の優れた番組を政府が取り上げているわけです。

参考:この場所に戻ってきたい…。厚真町の自然に魅せられた移住者の挑戦

(5)暮らしの安全・安心

「暮らしの安全・安心」の内容は、かなりバラエティ豊かです。

例えば

  • CO2排出ゼロ
  • 休眠預金
  • 法律相談の法テラス
  • 接触確認アプリ(2020年新型コロナウイルス感染拡大を受けて)
  • 魚がおいしくなった理由
  • 新型コロナウイルス感染防止策
  • マイナンバーカードのマイナポイント

などがテーマになっています。

参考:政府インターネットテレビ暮らしの安全・安心

(6)新型コロナウイルス関連

「新型コロナウイルス関連」の動画のタイトルには、次のようなものがあります。

いずれも質の高い内容で、例えば「新型コロナウイルス対策:医療・介護・障害福祉に従事されている方へ」という動画では、国立国際医療研究センターと全国老人福祉施設協議会が動画制作に協力しています。

(7)皇室チャンネル

政府インターネットテレビには「皇室チャンネル」もあります。
皇室チャンネルのリンクボタンは、他のコンテンツと比べて、ひと目でわかるようになっています。

政府インターネットテレビ

画像引用:政府インターネットテレビ

皇室チャンネルの「天皇皇后両陛下~令和を迎えて」では、202年ぶりとなるご譲位による皇位継承の様子や上皇陛下から剣璽・御璽・国璽が天皇陛下に受け継がれる様子などを見ることができます。

天皇陛下の「肉声」も流れています。
また「新年をお迎えになった皇室のご近況(令和2年)」では、皇室の方々が和やかに談笑している様子を見ることができます。

皇室チャンネルは、政府インターネットテレビが最も力を入れているコンテンツの1つであることがわかります。

3、政府の広報戦略について

政府インターネットテレビ
政府インターネットテレビは、政府の広報戦略の1つになります。
ここでは政府の広報戦略について見ていきましょう。

(1)法律で定められた仕事

内閣府大臣官房政府広報室の活動は、内閣府設置法に規定されていて、そこには次のように記されています。

内閣府設置法第4条第3項38

  • 内閣府は、次に掲げる事務をつかさどる
  • 政府の重要な施策に関する広報に関すること

政府(内閣府)による広報活動は法律できちんと定められていることがわかります。
政府が広報に力を入れるのは、

  • 重要施策の適切かつ詳細な内容
  • 施策に至るまでの背景
  • 施策を行う必要性

等を伝え、国民の理解と協力を得るためです。

(2)広報室の機能

内閣府大臣官房政府広報室の機能について紹介します。
内閣府大臣官房政府広報室は内閣府のことだけをPRするわけではありません。

同広報室は各省庁から広報を希望するテーマを集め、PRするテーマとそのテーマに適した媒体を決めます。

また、どの省庁のどのテーマを先に扱うか、といったことも決めます。
広報活動は、新聞やテレビの広告を使うとより効果が高まりますが、そのためには民営のメディアなどに広告料を支払わなければなりません。

そこで同広報室は国の予算を確保して、効率的に広報活動を推進しています。
2016年度の政府広報予算は83億円にものぼり、その内訳は国内広報47億円(56.6%)、国際広報36億円(43.4%)となっています。

国内広報よりも国際広報の割合が多いことがわかります。
そして同広報室には、企画力も求められます。
国民の関心を引くために「見せる」工夫をしなければなりません。

参考:政府広報室の業務について

(3)政府広報のネット戦略

政府インターネットテレビのコンテンツが充実しているのは、内閣府大臣官房政府広報室の戦略によるものです。

同広報室は、伝統的なメディアである新聞、雑誌、テレビと並んで、サイトのバナー広告といったWeb広告にも力を入れています。

同広報室は、スピーディーな広報の展開と、政府広報のブランド力向上を目指していますが、どちらもネット戦略が重要な柱になっています。

参考:政府広報室の業務について

まとめ

政府の広報というと、お堅い内容を発信していると感じるかもしれませんが、政府インターネットテレビでは国民の生活に寄り添った親しみのあるコンテンツも扱っています。

フリーアナウンサーや芸能人を出演させたり、アニメーションを使ったりして「見せる」工夫や「楽しませる」仕掛けが施されています。

見応えがあるので、ぜひチェックしてみてください。