内閣改造とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
2022年8月10日に内閣改造が行われ、第2次岸田内閣が発足しました。
今回の内閣改造により、今後の岸田内閣の方向性も変化することが見込まれます。
岸田総理が内閣改造に踏み切った経緯や背景にはどのような理由があるのでしょうか。
今回は内閣改造について詳しく解説します。
1、内閣改造とは
(1)内閣改造の定義
日本国憲法第68条に内閣総理大臣は国務大臣を任命し、また任意に罷免できると定められています。
内閣改造とは内閣総理大臣がこの任免権を行使し、組閣を除く時期に国務大臣(閣僚)の相当数を一度に替えることです。
また、内閣改造によって成立した新しい内閣を改造内閣と呼びます。
(2)内閣改造の具体的な流れ
次に内閣改造が行われる手順は以下の通りです。
①辞表の取りまとめ
②組閣本部の設置
③内定者の呼び込み
④閣僚名簿の発表
⑤皇居での認証式
⑥新国務大臣の就任会見
それぞれの手順について説明していきます。
①辞表の取りまとめ
内閣総理大臣は臨時閣議を開催し、国務大臣から辞表を取りまとめます。
留任する国務大臣には、内閣総理大臣から辞表を返還します。
②組閣本部の設置
内閣総理大臣は国務大臣の辞表を取りまとめた後、閣僚人事を行う組閣本部を設置します。
組閣本部は内閣総理大臣を筆頭に、与党幹部、内定している内閣官房長官らによって構成されます。
③内定者の呼び込み
組閣本部にて新国務大臣が確定した後、新国務大臣を首相官邸に呼びます。
④閣僚名簿の発表
新内閣官房長官が官邸において閣僚名簿を発表します。
今回の内閣改造で閣僚名簿の発表を行ったのは松野博一官房長官です。
⑤皇居での認証式
国務大臣の任命には天皇による認証が必要です。
そのため、閣僚名簿の発表によって正式に内定した新国務大臣は、皇居にて閣僚認証式に出席します。
皇居での認証式を経て、正式に新しい内閣が発足します。
⑥新国務大臣の就任会見
内閣改造について、内閣総理大臣が記者会見を行います。
この会見で、新国務大臣を選定した背景や新たな内閣で取り組む重点分野などの説明があります。
2022年8月に行われた内閣改造は以上の工程が1日で行われました。
(3)内閣改造と組閣の違い
「内閣改造」と似た意味を持つ言葉に「組閣」があります。
意味を混同しやすい2つの単語なので、違いを確認しましょう。
内閣改造とは、内閣総理大臣は辞めずに、閣僚の一部を入れ替える行為です。
一方で、組閣とは国会により指名された内閣総理大臣が内閣を組織するために国務大臣を任命し、与党内での協議を踏まえ人事を決定する行為です。
つまり、内閣総理大臣が変わったタイミングで行われます。
「内閣改造」も「組閣」も内閣を構成するメンバーを新たに任命する点では同じ意味合いですが、実際に行われるタイミングが異なります。
2、内閣改造を行う理由・背景
では、内閣改造を行う理由はなんでしょうか?
大きく分類すると3種類挙げられます。
- 政権の基盤強化を図るため
- 内閣支持率の低下を改善するため
- 政党内派閥のバランスの考慮のため
(1)政権の基盤強化を図るため
内閣改造では、内閣総理大臣自らが役職に適当と考える人材を登用したり、配置換えしたりします。
その目的は内閣の行政遂行能力を向上させることです。
閣僚の人選にあたっては能力だけではなく、人間関係の面においても考慮することもあります。
例えば自らの後継者候補に重要ポストを任命することもあります。
これにより内閣総理大臣が政権運営を行いやすい環境を整えます。
また人事管理によって内閣総理大臣自らの求心力を高めることも、内閣改造の狙いとして考えられます。
(2)内閣支持率の低下を改善するため
景気がよくならない、外交の成果があがらないなど、さまざまな要素により内閣支持率が低下している時に内閣改造が行われることがあります。
内閣改造を行うと一時的に国民による政治への関心が上がります。
そのため、内閣改造後はフレッシュなイメージを国民に想起させることができるでしょう。
内閣支持率の改善を狙い、内閣改造に踏み切ることがあります。
(3)政党内派閥のバランスの考慮のため
与党内の人間関係・派閥関係を改善する狙いがある場合もあります。
政策を実行するとき、与党内の政治家同士の利害を調整する必要があります。
内閣改造により対立する派閥のメンバーを入閣させることで、政党内の障壁を取り除き、政党内での政治活動をより円滑に進めることができるでしょう。
まとめ
今回は「内閣改造」について解説しました。
内閣改造は内閣総理大臣自らが内閣のメンバーを一部交代させることを指します。
内閣改造の主な目的は内閣全体の執務能力の向上や首相自身の政治的求心力の向上、イメージの一新などさまざまです。
2022年8月には岸田文雄首相が内閣改造に踏み切り、第二次岸田内閣が発足しました。この内閣改造がどのような政治的影響をもたらすのか引き続き注目していく必要がありそうです。