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児童福祉法とは?概要と2023年の変更点を分かりやすく解説

投稿日2024.3.6
最終更新日2024.03.06

すべての児童が安心して健やかに過ごすための法律である「児童福祉法」は、1947年に制定されてから、時代の変化とともに改正を続けてきました。

本記事では、以下について分かりやすく解説します。

  • 児童福祉法とは?
  • 児童福祉法の主な条文
  • 2024年4月施行の改正点

1.児童福祉法とは、全ての児童を守るための法律

児童福祉法とは、すべての児童が持つ権利と支援を保障する児童福祉の法律です。

児童福祉法の制定は1947年。戦後間もない日本は、身寄りのない子供も安全に健やかに成長できるように最低限の生活を保障しようと児童福祉法を制定しました。

1947年の制定から、子供がよりよい環境で生活できるようにと改正が行われ、現在の児童福祉法が存在します。

児童福祉法は、以下の4つで構成されています。

  • 第一章 総則
  • 第二章から六章 実態的規定
  • 第七章 雑則
  • 第八章 罰則

下記で詳しく解説していきます。

引用:児童福祉法

(1)児童福祉法とは?|第一章 総則

児童福祉法の総則では、児童福祉法全体に関係する規定について述べられています。

国や地域の自治体は、子供が健全に愛されて育つよう保護者の支援をしたり、子供の安全を守るために保護したりする必要があると明記されています。

他にも児童の定義や福祉施設の規定、児童福祉士や保育士、児童委員の資格に対しての規定が定められています。

(2)児童福祉法とは?|第二章 福祉の保証

第二章では、小児慢性特定疾患に罹患している児童や、心身に障害を抱えている児童に対しての療育について述べられています。

様々な理由によって、学習から遠ざかってしまわぬように適切な療育を選択・提供する必要があるため、該当する児童に対して誰がどのような支援を行うのかといった内容となっています。

また小児慢性特定疾病医療と診断された児童が、必要な治療を受けられるような支援についても述べられています。

(3)児童福祉法とは?|第三章 事業・養育里親及び養子縁組里親並びに施設

第三章では、放課後デイサービスや保育園などの事業に関する権利についての内容が書かれています。

保育園等の福祉施設は自治体毎に運営されているので、自治体が中心となって事業を行うにあたり、必要な権利について書かれています。

(4)児童福祉法とは?|第四章 費用

第四章では、支援や事業を運営するにあたり必要な費用をどこから捻出するのかを定めています。

現在、児童福祉法で運営されている事業の予算の出所は以下の通りです。

  • 市町村
  • 都道府県

予算の負担は細かく分類されており、児童福祉を必要としている全ての人に満遍なく行き渡る様にしています。

(5)児童福祉法とは?|第五章 国民健康保険団体連合会の児童福祉法関係業務

第五章では、健康保険や障害を持っている児童に関する業務について明記されています。

日本の国民は、必ず健康保険に加入する義務があります。国民健康保険団体連合会は、各都道府県に設置されており、診療報酬の支払義務と保険者義務共同処理業務を主な業務としています。

引用:厚生労働省

また、障害を持っている子供の通所サービスや障害児育児支援などの支払いに関する業務も国民健康保険団体が行うと定めています。

(6)児童福祉法とは?|第六章 審査訴求

第六章では、審議請求について述べています。審議請求とは、行政の決定に対して不服がある場合に、下された決定が本当に適切なのか再度審査をするための手続きを指します。

児童福祉法の場合は、市町村で給付される障害児、または障害児に関する費用に対して保護者が不服を感じた場合に審査の請求ができる権利があるとしています。

(7)児童福祉法とは?|第七章 雑則

第七章では、第六章までの内容の更に細かい部分の規則について明記されています。

(8)児童福祉法とは?|第八章 罰則

児童福祉法で禁止・制限されている行為を行った場合に課せられる処罰についてまとめられています。

2.児童福祉法の改正点を分かりやすく解説(2024年4月施行)

児童福祉法とは?

児童福祉法は、それぞれの時代の背景に合わせて改正されてきました。最新の改正は2022年6月8日に行われ、2024年の4月1日に施行となります。

今回の改正では、子供が生活を送る場である家庭の環境の支援がより強化され、子供の権利を守るための施策が盛り込まれています。

2024年4月1日に施行となる児童福祉法の改正点については、以下の通りです。

  1. こども家庭センターの設置
  2. 児童や困難を抱える妊産婦に対する支援の質向上
  3. 社会的養育経験者・障害児入所施設の自立支援
  4. 児童の意見聴取等の仕組みを整備
  5. 児童の一時保護の判断に司法審査を導入
  6. 子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上
  7. 子供をわいせつ行為から守る環境の整備

下記で詳しく解説します。

引用:厚生労働省

(1)子育て世帯への包括的支援に向けた体制の強化と事業の拡充

①こども家庭センターの設置

今まで子育ての相談場所は「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の2つがありました。どちらも子育て世代の保護者や子どもの生育をサポートする機関として働いていましたが、「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の連携が不十分な背景がありました。

そこで、「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」を一体化させた「こども家庭センター」を新たに設置する運びとなりました。

こども家庭センターの設置により、それぞれの機能はそのままでより全ての子育て世帯と妊産婦、子供に対しての相談や支援が可能となりました。

新たな事業として、

  • 子育て世帯訪問支援
  • 子供の居場所支援
  • 親子関係の形成支援

上記の3つの事業が始まります。

また、子育ての短期支援事業や、レスパイトケアの支援拡充も開始します。

引用:こども家庭庁

②児童、困難を抱える妊産婦に対するより良い支援

現在、保護者への養育支援が必要、または保護者の養育が不適当に該当する児童は約23万人います。また、出産前後で養育の支援が必要とされる妊婦は約0.8万人とされており、支援の充実が必要となっています。

今回の改正により、以下の充実を図ります。

  • 訪問型支援
  • 通所型支援
  • 短期入所支援
  • 親子関係の構築に向けた支援

そして現在よりも良い環境改善を図り、民間とも協力して親子再統合の事業の実施を始めます。

支援が必要な家庭には、市町村が利用の推奨や措置を実施し、子供が安全に過ごせるよう関わりを行います。

引用:こども家庭庁

③社会的養育経験者の自立支援

現在、児童養護施設に入所する子供は18歳を迎えると、児童養護施設を出なくてはなりません。最長でも22歳までという決まりがありますが、22歳までの延長が適用されるケースは少ないという現状がありました。

施設を出た18歳以上の子供は衣食住を全て自分で賄う必要があります。しかし、学費や生活費を自分1人で工面するのは難しい場合が多く、誰かに相談できる環境も少ないということを専門家により指摘されました。

改正後は、都道府県知事が認めた年齢まで自立支援の援助の実施を可能とし、児童養護施設に在籍基準であった「在学している学生」という要件が緩和されます。

引用:こども家庭庁

④児童の一時保護の判断に司法審査を導入

司法審査とは、裁判所が行う仕事の一つです。法律や行政行為が憲法に適しているか、国の一番大切なルールである憲法に反していないかどうかを確認するためにあります。

虐待の可能性がある場合、原則として48時間以内に子供の安否確認が必要です。その際に、その保護が適正かどうかを司法審査で判断します。

安否確認の結果、虐待が強く疑われたり子供をその場にとどめておくのを不適切と判断した場合は、司法審査を行ってから児童相談所によって原則2か月の間一時保護を行います。

一時保護が望ましいと児童相談所が判断した際に、裁判所へ「一時保護状」を請求し、裁判官の判断により、一時保護が開始されます。

裁判所が一時保護に介入すると、親権者とのトラブルを最小限にとどめ、迅速に子供の身の安全が確保できるメリットがあります。

引用:厚生労働省

⑤児童の意見聴取等の仕組みを整備

児童相談所は入所していたり、一時保護したりする子供に対して、子供に最善になるように考えて措置を行います。子供の意見に耳を傾けて、意向や権利擁護に努めます。

⑥子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上

児童虐待を受けた子どもの保護等の専門的な対応をする場合、十分な知識や技術を持っている人を新たに児童福祉司の任用要件に追加します。

この改正に伴い、子ども家庭福祉の実務経験者向けに認定資格を導入、取得した資格を活かした環境を準備することも決定しています。2026年を目途に組織や資格のあり方について必要な措置を取ります。

⑦子供をわいせつ行為から守る環境の整備

子供にわいせつな行為を行った保育士の資格の管理を従来のものより、より厳格な管理を行います。

該当した保育士に対して、ベビーシッターなどの事業停止命令や情報の公開、共有を可能とし、国の定める基準で子供の安全の確保ができるよう改正を行います。

3.児童福祉法が改正された背景

児童福祉法とは

児童福祉法の改正は、いくつかの重要な背景に基づいて行われました。まず、児童虐待の相談や対応の件数が増加していることが挙げられます。これは、社会における児童虐待問題の深刻化を示しています。加えて、子育てが困難な家庭が顕在化してきたことも、法改正の背景として重要です。

これらの問題に対処するため、厚生労働省は特に以下の取り組みを強化することを目指しています。まず、子供の権利養護が挙げられます。次に、児童相談所の設置を促進し、その体制を強化することです。

児童相談所は、児童虐待の報告を受け対応することはもちろん、子育てに関する相談や支援を提供することで、困難な家庭を支える役割を担います。これらの施設の数を増やし、質を高めることで、より多くの子どもや家庭が必要な支援を受けられるようになることが期待されています。

PoliPoliで公開されている教育関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、すべてのこどもが幸せになれる社会を作る政策について、以下のように公開されています。

あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|すべてのこどもが幸せになれる社会を作る!

(1)すべてのこどもが幸せになれる社会を作る政策の政策提案者

議員名 牧原 秀樹
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/3Or29mOLgoahAWUnTTg9/policies

 

(2)すべてのこどもが幸せになれる社会を作る政策の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • こどもたちが愛されて健やかに育ち、のびのびと活動・幸せに輝ける社会作り
  • こどもを産み育てることが幸せだと思える社会環境づくり
  • 「こども基本法」を制定、こどもの権利が守られる社会作り。

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • こども政策に関するデータ収集分析能力を向上
  • こどもや子育て世代が抱える様々な課題に早急に対応
  • こども政策を実現するために十分な予算を確保
  • こども庁を創設

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

すべてのこどもが幸せになれる社会を作る政策

まとめ

本記事では、児童福祉法について条文や2024年の改正点について解説しました。

子どもや妊産婦に対する支援や課題は、今後も向き合っていかなければなりません。

今後も日本の社会背景に応じてこどもの人権や権利を守り、健やかに過ごせる社会を目指した政策や、法律の改正が求められます。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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