政治ドットコム国会国会の仕組み臨時国会とは?臨時とはどのような場合か簡単解説

臨時国会とは?臨時とはどのような場合か簡単解説

投稿日2020.7.27
最終更新日2020.08.03

国会はいつも開かれているわけではありません。
会期が決まっていて、そのときだけ衆議院議員と参議院議員の国会議員が国会にやってきて、法案を審議したり採決したりしています。

「国会」は立法機関の名称であると同時に、「集まり」の名称でもあります。
国会の集まり方には、

  • 常会(通常国会)
  • 臨時会(臨時国会)
  • 特別会(特別国会)
  • 参議院の緊急集会

の4種類があります。

そこでこの記事では特に、臨時国会に注目します。
臨時国会を開かなければならない事態とはどのような状況なのでしょうか。

本記事がお役に立てば幸いです。

1、4種類の国会

国会のルールは憲法で定められています。
例えば、誰が国会を開くのかというと、憲法第7条には「天皇が国会を召集する」と書かれてあります。

これはとても珍しいルールで、日常生活では「会合を開こう」と言ってメンバーを集めた人がその会合を仕切る傾向にありますが、国会を召集する天皇は、国会での議論や採決に参加しません。

国会には衆議院と参議院があって、2つの院の構成メンバーは選挙で選ばれた議員だけです(憲法第42、43条)。
4種類の国会についても憲法に書かれてあります。

(1)常会(通常国会)

憲法は常会と表記していますが、マスメディアなどは通常国会と呼んでいます。
通常国会は年1回召集しなければなりません(憲法第52条)。

通常国会は毎年1月に開かれ、開催期間(会期)は150日です。
通常国会では、翌年度(その年の4月から翌年の3月まで)の総予算を審議します。
その他、さまざまな法律案を審議して、法律をつくっていきます。

通常国会を「1月に開く」と定めているのは国会法第2条です。
憲法で「年1回」と決めて、国会法で「その時期を1月にする」と決めています。

(2)臨時会(臨時国会)

臨時国会は、内閣が召集を決定します(憲法第53条)。
臨時国会はこの記事のメインテーマにあたるので、次の章で詳しくみていきます。

(3)特別会(特別国会)

特別国会は、衆議院の解散後に行う総選挙を行った日から30日以内に開かなければならない国会です(憲法第54条第1項)。総選挙とは、衆議院議員選挙のことです。

特別国会での最も重要な仕事は、内閣総理大臣を指名することです。

(4)参議院の緊急集会

「参議院の緊急集会」は、他の3つの国会とは性質が異なります。
他の3つの国会は衆議院と参議院が一緒に開かれますが、「参議院の緊急集会」では文字通り参議院しか開かれません。

そして「参議院の緊急集会」だけ「国会」とつかず「集会」となっています。

衆議院が解散すると、参議院も同時に閉会になります。
そうなると、緊急事態が発生したとき、国会を開くことができず問題に対処できません。

そこで衆議院が解散したあとに緊急事態(災害やテロなど)が起きた場合に、内閣が参議院に緊急集会を開くよう求めることができるようにしたのです(憲法54条第2項)。

こうすることで緊急事態への対応を、「参議院の緊急集会」で審議することができます。

衆議院は解散したので、衆議院の国会議員(衆議院議員)はもう国会議員ではなくなっています。
したがって、緊急事態が起きても「衆議院の緊急集会」は開くことができません。
それで緊急集会は参議院「だけ」で開くことになるわけです。

ここで、「重要なことを参議院だけで決めてよいのか」という疑問が湧くと思います。
国会では衆議院のほうが参議院より優越的な立場にあります。

そこで「参議院の緊急集会」で決めたことは、次に開かれる国会で衆議院が同意しないと無効になるという仕組みになっています。

衆議院が同意して初めて、「参議院の緊急集会」で決めたことが有効になります(憲法第54条第3項)。

衆議院を解散すると衆議院議員は職を失いますが、衆議院議員の内閣総理大臣やその他の衆議院議員の大臣は、内閣の職務を続けます(憲法第71条)。

この特殊な状態にある内閣を「職務執行内閣」といいます。
このように「参議院の緊急集会」は、かなり特殊な事態を想定した国会といえます。

国会の4つの種類に関してはこちらの記事でも異なる角度から解説を行なっています。

国会の4つの種類をわかりやすく解説

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2、臨時国会とは

臨時国会について憲法は、次のように定めています。

<憲法第53条>

内閣は、国会の臨時会(臨時国会)の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

また、国会法も、臨時国会について規定していて次のように書かれてあります。

<国会法>

第2条の3

第1項:衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。ただし、その期間内に常会が召集された場合又はその期間が参議院議員の通常選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。

第2項:参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。ただし、その期間内に常会もしくは特別会が召集された場合又はその期間が衆議院議員の任期満了による総選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。

第3条

臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。

(1)憲法第53条に基づく召集

憲法第53条を平易な言葉で要約すると「内閣でも、国会議員でも、国会を開くことができる」となります。

国会は唯一の立法機関なので、法律をつくるには国会を開くしかありません。
もし国会を開けず新しい法律をつくることができなければ、行政機関は新しいことは何もできません。

行政機関とは、省庁、地方自治体、警察などのことです。
行政機関のすべての行動、活動、予算は、法律で規定されています。

そこで憲法は、通常国会以外に臨時国会という国会をつくり、内閣でも国会議員でも臨時国会を開くことができる道を用意しました。

ではなぜ、臨時国会を開くことができる権限を、内閣と国会議員の両方に与えているのでしょうか。

内閣は行政機関のトップなので、行政機関を適正に動かすためには法律が必要です。
したがって、内閣に臨時国会を開くことができるのは理解しやすいでしょう。

国会議員にも臨時国会を開く道を与えたのは、内閣の行動について国会で審議する必要が生じたときのためです。
ただし、国会議員が簡単に臨時国会を開いては、さまざまな支障が出てきます。

そこで憲法では

  • 「衆議院議員の4分の1の議員の要求」
  • 「参議院議員の4分の1の議員の要求」

がなければ、臨時国会を開けないようにしました。

衆議院議員の定数は465人なので4分の1は約116人です。
参議院議員の定数は248人なので4分の1は62人です。

(2)国会法に基づく召集

国会法第2条の3を平易な言葉で要約すると「大きな選挙が終わったら、国会を開きなさい」となります。
大きな選挙とは、衆議院の任期満了による総選挙と参議院の通常の選挙のことです。
衆議院が解散したあとの総選挙後に開かれる国会は特別国会です。

(3)どのようなときに臨時国会を開くのか

臨時国会はどのように使われているのでしょうか。

首相官邸は、「緊急を要する災害対策のための補正予算や法律案の審議などが必要なときに、内閣は臨時国会の召集を決定する」と説明しています。

3、臨時国会の会期

臨時国会の会期(開催期間)は憲法でも法律でも定められていないので、そのつど国会で決めます。
そして一度決めた会期は2回まで延長できます。

通常国会の会期は150日で、1回延長できます。
以下は、2011~2020年の10年間に開かれた国会の一覧表です(2020年は7月現在まで)。

臨時国会はほぼ毎年開かれていることがわかります。

国会回次 召集日 会期終了日 会期 当初会期 延長
第201回

通常国会

2020年1月20日 2020年6月17日 150日 150日
第200回

臨時国会

2019年10月4日 2019年12月9日 67日 67日
第199回

臨時国会

2019年8月1日 2019年8月5日 5日 5日
第198回

通常国会

2019年1月28日 2019年6月26日 150日 150日
第197回

臨時国会

2018年10月24日 2018年12月10日 48日 48日
第196回

通常国会

2018年1月22日 2018年7月22日 182日 150日 32日
第195回

特別国会

2017年11月1日 2017年12月9日 39日 39日
第194回

臨時国会

2017年9月28日 2017年9月28日 解散 1日 1日
第193回

通常国会

2017年1月20日 2017年6月18日 150日 150日
第192回

臨時国会

2016年9月26日 2016年12月17日 83日 66日 17日
第191回

臨時国会

2016年8月1日 2016年8月3日 3日 3日
第190回

通常国会

2016年1月4日 2016年6月1日 150日 150日
第189回

通常国会

2015年1月26日 2015年9月27日 245日 150日 95日
第188回

特別国会

2014年12月24日 2014年12月26日 3日 3日
第187回

臨時国会

2014年9月29日 2014年11月21日 解散 54日 63日
第186回

通常国会

2014年1月24日 2014年6月22日 150日 150日
第185回

臨時国会

2013年10月15日 2013年12月8日 55日 53日 2日
第184回

臨時国会

2013年8月2日 2013年8月7日 6日 6日
第183回

通常国会

2013年1月28日 2013年6月26日 150日 150日
第182回

特別国会

2012年12月26日 2012年12月28日 3日 3日
第181回

臨時国会

2012年10月29日 2012年11月16日 解散 19日 33日
第180回

通常国会

2012年1月24日 2012年9月8日 229日 150日 79日
第179回

臨時国会

2011年10月20日 2011年12月9日 51日 51日
第178回

臨時国会

2011年9月13日 2011年9月30日 18日 4日 14日
第177回

通常国会

2011年1月24日 2011年8月31日 220日 150日 70日

第194回臨時国会(2017年9月28日召集)は、1日しか開かれませんでした。
臨時国会は会期が1日でも問題ありません。

臨時国会の初日に首相が衆議院の解散を表明したため、最短国会になりました。

4、臨時国会の召集に関する判例

那覇地裁が2020年6月に、臨時国会の召集のルールに関して重要な判決を下しました

事の発端は、2017年6月22日にさかのぼります。
この日、衆参双方の4分の1以上の国会議員が、森友学園・加計学園問題を審議するため臨時国会を開くよう、内閣に要求しました。

憲法第53条は、衆議院か参議院のいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならない、と定めています。

しかし内閣が召集したのはそれから98日後の9月28日で、しかもその日に首相が解散を決めたため、森友学園・加計学園問題を審議することができませんでした。

これが1日会期の第194回臨時国会です。
沖縄選出の国会議員たちは、首相が3カ月以上臨時国会の召集を決定しなかったことは憲法第53条に違反するとして、訴訟を起こしました。

那覇地裁は、「内閣は召集する法的義務を負う」と判断しました。
さらに那覇地裁は、今回の件が「憲法違反になる」とは認定しませんでしたが、内閣が要求に応じなかったら「違憲と評価される余地がある」と指摘しています。

原告が求めた損害賠償の訴えは退けました。

まとめ

臨時国会は「臨時」とついていますが、かなり頻繁に開かれています。

日本は今、政治でも経済でも国民生活でも、重大な問題を多数抱えています。
国会はそれらの解決に大きく貢献します。

しかし「通常国会年1回ルール」は憲法で定めているため、憲法を改正しないと回数を増やすことができません。
憲法を改正することはとても難しいので、臨時国会がほぼ毎年開かれているわけです。