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国会の種類とは?4つの種類をわかりやすく解説

投稿日2022.10.17
最終更新日2023.11.06

「国会ってどんな種類があるの?」
「常会?臨時国会?違いが分からない」

国会と聞くと、堅くて難しいイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。
今回は、国会についての基本を誰もが理解できるように、分かりやすく説明します。

衆議院と参議院の違いについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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1、国会とは

三権分立

そもそも「国会」とはなんなのでしょうか。
大人でも正確に答えられる人は少ないかもしれません。
国会について、日本国憲法では次のように定められています。

(1)国会は法律をつくる場

「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」(日本国憲法第4章・第41条)

国会とは「立法機関」、すなわち「国の法律をつくる機関」になります。
日本で唯一、国の法律をつくることができる機関です。
国会は、「衆議院」と「参議院」の両議院で構成されます。

構成 任期
衆議院 465名 4年
参議院 245名 6年

私たちが国政選挙で選ぶ議員数は「衆議院議員」465名と、「参議院議員」245名です。
衆議院は4年、参議院は6年と任期が決まっていて、どちらも最近、選挙権(選挙に参加できる人の権利)が18歳以上に引き下げられました。

その国会議員で集まる「国会」では、私たちの日常生活の取り決めとなる「法律」をつくります。
具体的には、国会議員や内閣が提出した「法案」について国会で審議を重ね、制定するのです。

こうして国会で制定された「法律」に基づいて、「行政機関」である国や地方自治体(県や市など)がサービスを運営しています。

(2)国の予算の取りまとめ

国会の2つ目の役割は「国の予算の取りまとめ」です。
テレビなどで「予算委員会」が開かれているのを見聞きしたことはありませんか。

あれは、衆議院や参議院で予算委員会(国会議員で構成される予算に関する委員会)という、国のお金(税金)の使いみちについての方向性を決める会議を開いているのです。

私たちが納めた税金をどんなことに使うかについて、国会議員が議論しています。

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(3)予算策定

予算に関しての国会の役割は、会計年度(4月1日から翌年の3月31日)ごとに、税金などから得られる歳入(収入)と、社会保障や公共事業などで出ていく歳出(支出)を決定することです。

国会は私たち国民の代表の集まりですから、国会で税金の使いみちを決めない限り、各府省庁は私たちの税金を自分勝手に使うことはできません。

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①国の予算が決められていくまでの大まかな流れ

国家予算策定

毎年6~7月頃に、各府省庁が次年度に行う施策にかかる経費を見積もります。
「うちの省では、この施策にこれくらいのお金がかかりますよ」という概算を出しています。

国のお金(税金)の使いみちを統括するのが、「財務省」です。
財務省は、各府省庁から受けた予算案を査定・調整し、各府省庁に内示を出す役目を担っています。

この財務省からの内示を元に、政府が予算案を最終的に調整します。
「政府は、次年度はこういうお金の使い方を考えています」という政府案が閣議決定されます。

そして年が明けて1〜3月頃には、政府が予算案を国会に提出します。
その後国会で審議にかけられます。

最終的には、衆議院、参議院でそれぞれ予算案が賛成過半数で可決すると、晴れて予算が成立する、という流れです。

(4)国会の仕事

国会の仕事はこれだけではありません。
たとえば、内閣総理大臣の指名。

内閣総理大臣は、私たちの代表である国会議員による選挙で決まります。
憲法改正の発議や衆議院による内閣の不信任決議、裁判官弾劾裁判所の設置(国会法より)なども国会の役割です。

外国との条約承認も国会の大事な仕事になります。
条約とは、内閣が外国の政府などと結んだ約束事を文書にすることで、この条約を正式に結ぶには、国会の承認を受ける必要があります。

2、国会の種類

国会の種類

国会は、大きく分けると4種類あります。

招集 会期
常会(通常国会) 毎年1月 150日間
臨時会(臨時国会) 150日間の会期以外に国会議員を招集したい場合 両議員の議決の一致により
特別会(特別国会) 衆議院議員の解散総選挙が行われた場合
参議院の緊急集会 災害や予算審議など至急国会の議決が必要な場合 不定期

選挙の有無や時期、状況に応じて必要な「会」が開かれるのです。
なお、会の召集は原則内閣が決め、「招集詔書の公布」によって実施されます。

どれくらいの期間集まるかという「会期」や、その会期の延長は、衆参両議院一致の議決によって決定されます。

衆議院と参議院とで議決が違う場合や、参議院が議決を行わない場合には、「衆議院の議決に従うこと」とされていて、これを「衆議院の優越」と呼びます。

(1)常会(通常国会)

常会は、国会において最もオーソドックスな会です。毎年一度、1月中に国会議員を招集します。
会期は150日間と定められており、この間に政府から提出された翌年度の総予算案や、たくさんの法律案について審議します。

なお、会期は、一度だけ延長することができます。
延長日数についての明確な規定はありません。

常会では、会期の始めに内閣総理大臣による施政方針演説があるほか、経済財政政策担当(内閣府特命担当大臣)による経済演説、財務大臣による財務演説、外務大臣による外交演説をそれぞれ実施します。

これらの演説について、衆議院と参議院では、各会派がそれぞれ質疑を行います。
「代表質問」と言われるもので、その時々の争点となっている政策についての質疑が出るため注目を集めます。

(2)臨時会(臨時国会)

国会種類

常会の150日間の会期以外に国会議員を招集したい場合、臨時会(臨時国会)を招集することができます。

①内閣が招集を決めた場合

緊急的に対策が必要になったときに、補正予算や関連する法律案などについて審議するのが目的です。
たとえば災害対策のための補正予算や、法律案の審議が必要になった場合などに招集されます。

②総議員の4分の1以上からの要求

要求が出たら、内閣は臨時会を招集しなければなりません。

③大きな選挙があった場合

衆議院の任期満了による総選挙や参議院の通常選挙が行われた後には、30日以内に臨時会を招集しなければなりません。
ただし、同じ期間内に常会や特別会がある時には、臨時国会を招集する必要はありません。

ちなみに、ここ10年で見ると、臨時会が招集されなかったのは平成27年の一度だけ。
「臨時」と聞くと珍しいことのようにも思えますが、臨時会は毎年のように招集されています。
なお、臨時会の会期は衆参両院の議決で決定されます。

たった1日で終わることもありますし、3か月以上に及ぶ”ロングラン国会”となることもあります。会期の延長は2回です。

(3)特別会(特別国会)

特別会(特別国会)は、衆議院議員の解散総選挙が行われた際に招集される国会のことです。
「選挙後30日以内に招集しなければならない」と定められています。

特別会の主な目的は、内閣総理大臣の指名を行うこと。
ほとんどの場合、会期の始めに内閣総理大臣の指名選挙が実施されます。

特別会の会期は臨時会と同じく、衆参両議院一致の議決で決定。
会期の延長も、臨時会と同じく2度です。
なお、解散した時期の都合で常会と招集時期が重なるときは、常会を特別会に置き換えられます。

特別会の主な役割は首相指名選挙なのですぐに終わりますが、過去には1973年(280日)のように、ロングランとなるケースもあります。

(4)参議院の緊急集会

参議院は、衆議院が解散したら自動的に閉会されます。
しかし、閉会中に起きた災害や予算審議など、いち早く国会の議決が必要となった場合、参議院を招集できる、と決められています。

これを「参議院の緊急集会」と呼びます。
国の緊急事態には、参議院は衆議院に代わって国会の権限を代行できます。
ただし、この参議院の緊急集会で決められた措置には制限が設けられています。

参議院での議決後、新たに国会が開会されてから衆議院で同意を得られなかった場合や、10日以内に議決されないまま経過した場合、効力を失ってしまいます。

なお、招集条件は「内閣の要請」、内閣総理大臣が会期を決め、事案を示します。

ちなみに、参議院の緊急集会はかなり珍しく、過去には2例しかありません。
それも1952年(昭和27年)と1953年(昭和28年)に行われただけで、近年は見られません。

国会の種類に関するQ&A

Q1.国会の種類はいくつある?

国会は4種類あり、以下の通りです。

  1. 常会(通常国会)
  2. 臨時会(臨時国会)
  3. 特別会(特別国会)
  4. 衆議院の緊急集会

Q2.常会の会期は?

常会の会期は150日間と定められています。
基本的に毎年1月中に招集されます。

Q3.臨時会はどの様な場合に招集されるのか?

臨時会は以下の様な場合、招集されます。

  • 内閣が招集を決めた場合
  • 総議員の4分の1以上からの要求
  • 大きな選挙があった場合

 

まとめ

今回は国会の種類をご紹介しました。

国会の種類を把握しておくことは、国会の運営スケジュールを把握する一助になることでしょう。
国会では、私たち国民の代表である「国会議員」が集まり、国の法律や予算案など大切なことを話し合って決めています。

小難しいイメージがあったかもしれませんが、私たちの生活に直接関わる重要事項の決定の場ですので、これを機会に国会について、より深く考えてみてもいいかもしれません。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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