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ICT教育とは?メリットや学校種別の教育内容について簡単解説

投稿日2021.3.24
最終更新日2021.03.24
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

ICT教育とは、教育現場でITを導入する新しい教育方法の総称です。
世界が急激に情報化社会へ進展するなか、ICT教育は今後さらに需要が高まることが予想されます。

そこで今回の記事では

  • ICT教育の概要
  • ICT教育のメリット・デメリット
  • 小学校・中学校・高等学校でのICT教育

について、分かりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、ICT教育とは

ICT教育
ICT教育とは、パソコンやインターネットなどの情報通信技術を用いた教育手法です。

ICTとは、「Innovation and Communication Technology」の略称になります。
ICTを活用することで、生徒の興味や理解度を上げ、より質の高い教育を図ります。

一例としては、以下のような取り組みが当てはまります。

  • プロジェクターに関連資料を提示する
  • シミュレーションソフトでグラフを提示する
  • 電子掲示板を使う(黒板の代わり) 

(1) ICT教育が推進される背景

政府が掲げる「社会全体のICT化へ」という方針のもと、文部科学省を中心に教育のICT化が促進されています。

ICT教育の主な背景である

  • 情報過多の時代を切り拓く人材の育成
  • 学力向上への期待

について見ていきましょう。

①情報過多の時代を切り拓く人材の育成

従来の「詰め込み教育」では、黒板の文字を書き写し、多くの情報を暗記することが一般的な教育でした。

しかし昨今では、膨大な情報がすぐに得られる環境にあるため、求められているのは記憶力以上に情報を選び抜いて活用するスキルであると言われています。 

ICT教育では、調べた情報を取捨選択する能力の育成を重視しています。
こうしたSociety5.0時代に対応できる力を身につけるため、ICTを利用した授業が検討されるようになったのです。

 参考:第11章ICTの活用の推進:文部科学省

②学力向上への期待 

知識は文字だけでなく、映像や音などで五感を刺激する方が理解しやすく、記憶も定着しやすいと言われています。

文部科学省による調査結果では、「ICTを使うことで、学力向上に効果が見込める」という結果が出ています。

2006年度のメディア教育開発センターが行った全国752件の授業の分析結果によると、教員の約98%が、ICTを用いた授業において、生徒の「意欲・関心・態度」に効果的であることを認めています。

この事から、ICT教育の普及は授業そのものの質の向上や学習意欲の育成につながると見込まれているのです。 

また、2020〜21年における新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、オンラインでも学べるICT教育のニーズはさらに高まっています。 

参考:第5章初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省

参考:「学びのイノベーション事業実証研究報告書」|文部科学省

2、ICT教育のメリット・デメリット

ICT教育を採用した場合、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
ここからは、その両面について見ていきましょう。 

(1)ICT教育のメリット

ICT教育の主なメリットには以下のものがあります。

  • 授業への理解が高まる
  • 学習の効率が上がる
  • 個別・グループ学習が容易になる
  • 情報活用スキルの向上が見込める

①授業への理解が高まる

動画や画像などを活用することで、文字以外のより多くの情報を伝えられるようになります。
教師の説明や教科書だけでは伝えにくかった内容もより分かりやすくなり、生徒の理解を助けることにつながります。 

たとえば、

  • プロジェクターで拡大投影する
  • インターネットを使って学習をする
  • アニメーションを用いて内容を説明する
  • ビデオ会議で英会話をする

など、幅広い学習ができるようになります。

②学習の効率が上がる

ICT機器を使うことで教師側・生徒側の負担が少なくなれば、効率的な学びにつながるかもしれません。

たとえば、黒板に書く説明図や複雑な図形など、手間のかかる作業も、電子黒板などを使うことで、より簡単に正確な図を用意できます。

③ 個別・グループ学習が容易になる

ICT機器を用いることで、教師と生徒の間で情報交換がスムーズになれば、一人一人のレベルに合った問題の提案や生徒ごとのサポートが可能になるかもしれません。 

また、自分の考えをデジタルデータなどで共有しやすくなれば、グループ学習にもチャレンジしやすくなります。 

④情報活用スキルの向上が見込める

ICT機器を積極的に使うことで、情報活用スキルの向上も見込めます。
情報を判断・識別する力やメディアの扱い方を習得することは、色々な情報に振り回されないために非常に重要なスキルです。

また、ICT機器は多くの企業で使われているため、基本的な操作に慣れておくことで、実務的なスキルの習得にもつながるかもしれません。

(2)ICT教育のデメリット

ICT教育の主なデメリットには以下のものがあります。

  • インターネットによるトラブル
  • 思考力・文字を書く力の低下

①インターネットによるトラブル

有害なサイトや悪意ある第三者の脅威など、インターネットを介して生徒がトラブルに巻き込まれる可能性があります。

このような事態を防ぐためには、情報モラルの教育や、教師・保護者のICTへの理解を高めることが重要でしょう。

また、通信障害などが発生した場合には、授業が中断してしまう恐れもあります。 

② 思考力・文字を書く力の低下

気になることはネット検索すれば、すぐに答えが得られるため、生徒が自分で考える力や想像力を養えないなどの可能性が危惧されています。

また書く機会が減ることで、文書の記述力や漢字を書く力などの低下にもつながりるのではないと言われています。

参考:第5章初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省

3、ICT教育の整備状況

ICT教育
全国の公立学校を対象とした文部科学省の「令和元年度調査結果」によると、
コンピュータ1台あたりの平均児童生徒数は

  • 2018年:5.6人
  • 2019年:5.4人
  • 2020年:4.9人

であり、児童に対するコンピュータの数は増加傾向にありますが、まだ1人1台という目標値には届いていません。

また普通教室の無線LAN整備率は

  • 2018年:34.5%
  • 2019年:41.0%
  • 2020年:48.9%

と年々増加傾向にあります。

参考:令和元年度学校における教育の情報化の実践等に関する調査結果|文部科学省

4、学校種別のICT教育

教育現場でのICT活用は少しずつ浸透していますが、取り入れ方は各学校によってさまざまです。

最後に、

  • 小学校
  • 中学校
  • 高校

におけるICT教育についてみていきましょう。

(1)小学校

小学校では

  • 電子黒板に写した図形を使い、指で動かして公式を確かめさせる
  • プロジェクターを使い、よりリアリティのある映像を見せる

など、主に生徒の感覚的イメージを育むためにICT教育が取り入れられています。

教科書の挿絵を見るよりも、驚きや感動を与えやすく、授業に参加しやすいといった効果が期待できるようです。
東京都の宝仙学園小学校では、すべての教室に電子黒板やプロジェクターなどを配置しました。

2019年からは、3年生に個人用iPadを配るなど、さまざまな教育場面でICT活用が図られています。

参考:宝仙学園小学校ホームページ‐豊かな情操と高い学力‐

(2)中学校

中学校では、小学校と比べてやや複雑な概念を扱うため

  • シミュレーションソフトを使って1次関数のグラフを図示する
  • インターネット等で調べたことを根拠に考えをまとめる
  • プレゼンテーションソフトを活用して発表する

などでICTが活用されています。

三重県三雲中学校では、多くの教師がICTを用いた授業を行い、生徒の「意欲」と「理解」に高い効果があるとの報告をしました。

参考:フューチャースクール推進事業三重県松阪市成果報告書|総務省

(3)高等学校

高等学校では、

  • プログラミング言語を使って作曲する(音楽の授業など)
  • 表計算ソフトウェアなどを使ってデータを集計・比較・分析する

など、より実践的なICTの活用が授業として導入されています。

埼玉県教育委員会の研究開発校である川越高校では、化学の課題に対してアプリを利用する能動的授業が行われているようです。

大学受験向けの学習アプリや動画学習コンテンツなども増えてきており、ICTを使った学習が一般的になりつつあります。

参考:埼玉県が目指す「主体的・対話的で深い学び」とは? 協調学習でのICT活用が進む、川越南高校公開授業レポート

参考:第3章教科指導におけるICT活用|文部科学省

参考:教育ICT活用実践事例|文部科学省

参考:高等学校情報化の指導におけるICT活用について|文部科学省

まとめ

今回はICT 教育について解説しました。
人工知能やロボットなどの技術革新が進む中、ICTを活用した主体的な学習が広がりつつあります。